第32回「肝寿会」肝臓教室

講演:肝疾患とおクスリ

2016.12.3

講師:近岡 伸悟

要旨

 肝臓の働きには大きく分けて3つあります。

@消化液である胆汁を作り食べ物の消化を助ける。
A食べ物を栄養素として体が吸収できるように変化させ、それらを蓄える働き。
Bからだにとって毒となるものを中和する働きです。

ウイルスや薬剤が原因で発症する肝炎や脂肪肝、肝硬変、さらには肝臓癌により肝機能が低下した状態ではこれら3つの働きが当然悪くなり、それによってさまざまな症状がでます。例えば胆汁うっ滞による黄疸、血中アンモニアの上昇による肝性脳症(羽ばたき振せんや昏睡)などがあります。

病態が急性期の場合は安静にすることで改善することもありますが、慢性化してしまうと薬に頼らざるを得ない場合がほとんどです。

主に使用される薬には肝庇護療法としてウルソデオキシコールやグリチルリチン製剤、高アンモニア血症を改善するカナマイシンやラクツロース、血中のアルブミンを上昇させるBCAA製剤、適した栄養状態の改善を目的とし症状を改善させるアミノ酸製剤などがあります。

しかし、薬の数が多い、飲みにくい、まずいなど苦痛を感じている患者も少なくありません。
現在ではさまざまな味のフレーバーをつけたり、ゼリー製剤が販売されたりとあらゆる工夫がされていますので、興味のある方は主治医または薬剤師に聞いてみてください。
また、最近では慢性肝疾患による血小板低下を改善するルストロンボバグや掻痒感を改善するナルフラフィンなど新たな薬も開発されているため、昔はやわらげることが不可能であった患者の苦痛を緩和させることが可能となりました。

一方で薬によって肝臓の機能が低下してしまう可能性があります。その場合はほとんどの場合は薬を中止すれば改善します。
解熱鎮痛剤として市販薬の中の成分としてもよく含まれているアセトアミノフェンは副作用として肝機能障害があるといわれていますが、決められた用法・用量を守って服用すれば安心です。

スライド

目次

ページ 1 肝疾患とおクスリ

ページ 2 肝臓の働きって

ページ 3 肝臓の働き

ページ 4 肝臓の働き

ページ 5 クスリが患部に届くまで

ページ 6 肝臓の病気にはどんな種類があるの?

ページ 7 肝機能と血液検査

ページ 8 肝臓の病気で肝機能が低下すると

ページ 9 肝臓の病気の治療にはどのような薬を使うの?

ページ 10 肝臓の病気にはどんな種類があるの?

ページ 11 肝庇護療法とは?

ページ 12 @ウルソデオキシコール酸

ページ 13 Aネオファーゲン静注20mL(SNMC)

ページ 14 偽アルドステロン症

ページ 15 肝機能が低下して問題となる症状は

ページ 16 アミノ酸のバランスが崩れる!

ページ 17 肝性脳症

ページ 18 バリン・ロイシン・イソロイシン(BCAA)顆粒

ページ 19 ラクツロース シロップ

ページ 20 カナマイシン カプセル250mg

ページ 21 アミノレバンEN 50mg/包

ページ 22 夜寝る前にアミノレバン

ページ 23 夜食療法(Late Evening Snack(LES))

ページ 24 肝臓病によるかゆみの特徴

ページ 25 レミッチRカプセル2.5μg

ページ 26 ムルプレタR錠

ページ 27 これらクスリの共通点

ページ 28 アセトアミノフェンを含有

ページ 29 アセトアミノフェンの摂取量

ページ 30 アセトアミノフェンの摂取量

ページ 31 アセトアミノフェン肝障害 リスク因子

ページ 32 ご静聴ありがとうございました

要旨(PDF)

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