第31回「肝寿会」肝臓教室

講演:肝臓を疲労させない食事のとり方について

2016.4.23

講師:矢後 恵子

要旨

肝臓は、糖質・脂質・タンパク質などの栄養素を身体が利用できるように分解したり合成したり、蓄えたり他の臓器へ送り込んだり、不要なものを排泄したり、食事面からみただけでも様々な働きをしています。もちろん、薬剤やアルコールなど、本来身体にとって異物であったり有害である物も、代謝したり解毒したりしています。肝臓の働きは、生命維持のために多種多様であり、一時の休みもなく働いています。その肝臓に負担をかけないように食事(栄養)をとっていくことが肝臓病の治療や健康な身体の維持にとても肝心なことなのです。

私たちの身体に必要な三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)は、それだけでは体内で健康な身体を維持するための役には立ちません。三大栄養素が利用されるためには、ビタミン類が潤滑油の働きをします。ポリフェノールやビタミンC・Eなどは、強い抗酸化力を持ち、体内で発生する活性酸素を消去する働きがあります。食物繊維は、腸内環境を改善し、アンモニアなどの有害物質の排出や排便を促す作用があります。さらに、糖質の吸収を緩やかにし、血糖の上昇を抑えてくれます。オリゴ糖は、腸内で善玉菌の栄養源となって善玉菌を増やします。腸内環境を整えることは、排便をスムーズにしてくれるだけでなく、血糖コントロールや免疫機能の向上など、様々な効能がわかっています。

しかし、食生活の乱れにより、食物繊維やビタミン・ミネラルなどの不足が原因となり、身体の不調が起こってくることもわかっています。少ない食品でいろいろな栄養を得ようとするのは無理があります。いろいろな食品をとることによってさまざまな栄養素の利点を偏らずに取り入れることができると思います。バランスよく食べること、それは毎食、「主食・タンパク質食品・野菜類」を組み合わせてとることに始まり、適量の油脂類、乳製品、果物をとることなのです。

改めて、食事をとる注意点として
@規則正しく、1日3食の食事をとる
A栄養バランスの良い食事をとる
B適量のエネルギーをとる(過剰な摂取をさける)
C良質なタンパク質を適量とる
D脂肪分、糖分を摂り過ぎない(質を選ぶ)
E食物繊維を充分に摂取する(野菜、海藻、きのこ類)
F果物は適量とる
G禁酒、禁煙
をお勧めします。
日頃から肝臓に無理をさせないように、適正な食習慣を実践するよう心がけましょう。

要旨(PDF)

講演一覧表へ

トップページへ