第28回「肝寿会」肝臓教室

講演1:新しい肝炎治療−C型肝炎はインターフェロンを使わずに治る時代へ−

2014.11.29

講師:峯村正実

要旨

肝寿会の方々の中には、肝炎を治すため今までインターフェロンを用いた治療を頑張って受けて来られた方が多いと思います。1年にも渡る長期のインターフェロン治療は、患者さんにとって大変なご苦労であったでしょうし、副作用のため治療を諦めざるを得ない場合もあったと思います。医学が進歩し、インターフェロンを使用しなくてもC型肝炎が治る時代がやってきました。今回の肝臓教室では、『新しい肝炎治療−C型肝炎はインターフェロンを使わずに治る時代へ−』と題して、主にインターフェロンを使用しないC型肝炎の最新治療(インターフェロンフリーの経口2剤の治療)についてお話します。

そもそもB型肝炎やC型肝炎にかかると徐々に肝細胞が壊され、線維が増えてきて肝臓が硬くなります。かなり線維化が進んだ場合状態を肝硬変といいますが、肝硬変になると非常に高い確率で肝臓がんが出てきますので(C型肝硬変の場合は年率8%)、肝臓がんが出来ていないか定期検査を受けるとともに、できるだけ早く肝炎ウイルスを退治することが重要です。また、年齢が高くなるほど肝臓がんの発生頻度が上がりますので、高齢の人は要注意です。

つまり、最も治療を早く受けなれればならないのは、@線維化の進んだ人(肝硬変)とA高齢の人(66歳以上)ですが、今までのインターフェロンを用いた治療では、体に負担がかかり、白血球や血小板の減少や貧血があるため、『最も早期に抗ウイルス治療を受けなければならない人の方が、むしろ治療が受けれない』というジレンマがありました。

治療薬 この秋に承認されたC型肝炎ウイルスに直接作用する薬剤(DAAs: direct-acting antivirals)は、今までインターフェロンが効かなかった人や高齢の方にも使用が出来るようになってきたのです。
直接作用型の抗ウイルス薬(DAAs)とはいったいどのような薬剤なのでしょうか?今回インターフェロンフリーの治療として使用可能となった薬剤は2つあり、一緒に内服することが必要な薬剤です。1つはNS3/4Aプロテアーゼ阻害剤といって、C型肝炎遺伝子から作りだされた大型の蛋白を適切な部品に切り離す役割をするプロテアーセを働かなくする薬剤です。例えていうと、C型肝炎ウイルスの複製に必要な道具“ノコギリ”を使えなくしてしまう薬剤です。もう1つの薬剤はNS5A阻害剤といって、C型肝炎が肝細胞膜の近傍で複製するときに重要なNS5A蛋白の働きを阻害して、ウイルス粒子をうまく作れなくする役割する薬剤です。例えれば、C型肝炎ウイルスを作る際の“足場を組めなくする”ようなイメージです。この2つの飲み薬を一緒に24週間(半年間)内服するのが、基本的な治療方法です。

治療効果 この経口2剤の治療のすごいところは、今まで治療が難しかった肝硬変(代償性)方のウイルスの完全排除率がなんと91%、65歳以上の高齢の患者さんの完全排除率が90%です。さらにインターフェロン治療が全く効かなかった人でも80%以上の効果があります。

適する人 では、どのような人がこの経口2剤の治療の適応になるのでしょうか? H27年4月頃からは適応も拡大されそうですが、現時点でこの治療が使えるのは、@インターフェロンが使えない理由がある人(不適格例)、Aインターフェロンに耐えれない人(不耐容例)、B以前のインターフェロン治療が全く効かなかった人(無効例)です。

先ほど肝硬変の人にも非常に有効であると説明しましたが、腹水や黄疸があったりする進行した肝硬変(非代償性肝硬変)では、この治療はできませんので、肝臓専門の主治医の先生に確認してみてください。

薬剤耐性ウイルスの存在 また、この薬剤には大きな弱点が1つあります。もともとこの薬剤が効かないC型肝炎ウイルス(薬剤耐性変異ウイルス)をもっている人が、約14%程度おられ、薬剤が十分に効かないのです。最初から薬剤が効かないウイルスだと判明した場合は、将来発売されるさらに新しい薬剤の方が望ましいことが報告されています。肝臓の分野の薬剤の進歩は非常に早いので、よく主治医の先生と相談して、最もあった治療法を選び、C型肝炎を治しましょう。

要旨(PDF)

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