第26回「肝寿会」肝臓教室

講演2:肝臓病の食事について

2013.12.7

講師:矢後恵子

要旨

私たちの肝臓は食事からとる栄養と深い関係があります。栄養素には、糖質、脂質、タンパク質、ミネラル、ビタミンがあります。糖質、脂質、タンパク質は、エネルギー源となり、脂質やタンパク質、ミネラルは、体の構成成分となります。また、ミネラルやビタミンは、体の働きを整える役割があります。肝臓は、糖質や脂質及びタンパク質代謝、胆汁の生成と分泌、ビリルビンの代謝、解毒作用などを行っています。肝臓の働きが悪くなると、糖質・タンパク質・脂質の代謝異常がおこります。

肝臓の病態別に食事での注意点を考えてみましょう。 肝臓病食といっても、症状が無い状態であれば、高タンパク質・高エネルギー食である必要はなく、「適量のエネルギーとバランスの良い食事」が基本です。
○脂肪肝・耐糖能異常・糖尿病:肥満の解消、食べ方の改善
○アルコール性肝障害:禁酒とバランス良い食事
○肝硬変(代償期):特に制限はなく、バランス良い食事
○肝硬変(非代償性):腹水・浮腫がある場合、塩分の制限。肝性脳症がある場合は、タンパク質の制限も必要になり、少量頻回に食べながら、空腹の時間を長くしないようにしましょう。就寝前に夜食(200kcal程度)や肝不全用栄養剤を飲用することも良いでしょう。 食道静脈瘤がある場合は刺激の強いものや硬いものは避け、よく噛んで飲み込むようにし、暴飲暴食は避けましょう。。

○C型慢性肝炎:肝組織内に鉄の沈着が多くなり、酸化ストレス(活性酸素など)が産生され、肝炎を増悪させることから、鉄制限食や瀉血療法が有用であるといわれています。日本では、50〜60歳代で鉄分の摂取量が8〜8.5mg/日と全体の平均摂取量7.5mg/日に比べ、多い傾向があることから鉄分をとり過ぎないように注意が必要です。。

鉄制限食のポイント:1)一日の鉄分量は6mg以下。2)鉄分の多いレバー・牛肉の摂取を避ける。3)小魚や貝類、その佃煮類の摂取を避ける。4)大豆製品等は一度に食べる量を少量にする5)毎食、野菜類を多めにとる。6)鉄製品の調理用具は避ける。7)緑茶・紅茶・コーヒーなどは適量摂取する。8)ビタミンCの多い果物は鉄分の吸収を助けるため、食後すぐより食間にとるなど工夫するとよい。。

肝臓病食は、特に大きく制限することや高栄養にするのではなく、食事摂取基準に沿った栄養バランスの良い食事をとりましょう。1度に多量摂取することを控えて、食事を抜いたりせず、規則正しい食習慣を実践することが肝臓に負荷をかけないことになり、生活の質を維持することにつながります。

要旨(PDF)

スライド

目次

ページ 1 肝臓病の食事について−病態別注意点と食事の基本−

ページ 2 栄養素の働き

ページ 3 肝臓の働き

ページ 4 肝臓の働き

ページ 5 肝臓病の食事とは?

ページ 6 肝臓を守る食事

ページ 7 慢性肝炎

ページ 8 脂肪肝・耐糖能異常・糖尿病

ページ 9 アルコール性肝障害

ページ 10 肝硬変:代償期(重篤な症状なし)

ページ 11 肝硬変:非代償期

ページ 12 肝硬変:非代償期

ページ 13 C型肝炎と鉄

ページ 14 鉄分の摂取状況

ページ 15 鉄分を多く含んでいる食品

ページ 16 レバー・肉類

ページ 17 豆  類

ページ 18 貝  類

ページ 19 その他

ページ 20 鉄分の少ない食品

ページ 21 鉄制限食のポイント

ページ 22 身体の酸化を防ぐ

ページ 23 1日3食、バランス良く食べましょう

ページ 24 一日の食品目安量@

ページ 25 一日の食品目安量A

ページ 26 塩分の摂りすぎには注意

ページ 27 控えたい塩分の多い食品

ページ 28 バランス良い食事が基本

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