いきなり複雑な絵やカラーイラストを描けるようになるのはよっぽどの天才だと思いますので、とりあえずここでは『あんまり絵が上手くない普通の人』を対象に話を進めていきたいと思います。

今回、完成目標とする絵は左の絵。
「えぇ！難しすぎるじゃん！」と思う人も、
「なんだ、この程度か」と思う人もいるでしょうけども、全くの素人にとってはかなり難しいと思います。

なぜこの絵にしたか。
一つは、人間の体のつくりを覚えるため。
とはいえあんまり詳しく正確に覚える必要はないです。絵として不自然に見えないレベルでオッケー。
体をひねったり足を曲げたりといったポーズを将来的に描けるようになるためにも、基本形をちゃんと覚えておこう。
もう一つは、バランス感覚を鍛えるため。
人間は基本的には左右対称。そうじゃない絵を描く時も、このことを把握した上でじゃないと描けません。なので左右対称の仁王立ちなわけです。
ただし、手は非常に難しい部分なので今回は無しです。腰にあててることにして手は処理しましょう（笑）

個人的に思うことですけども、細かいところまで完璧に描こうと思うより、多少適当でも良いから沢山描くほうが上達早いと思います。

とはいえ、いきなり左の絵を描け！とか言っても難易度が高いので上達する前に嫌になってしまうと思います。
一つ一つ段階を追ってやっていきましょう！

今回は、左の絵まで描けるようになろう！

上の絵と比べて、この左の絵ならちょっと頑張ればなんとかなる気がしませんか？
ところが、ここまで描けたら顔はもう75%くらい達成です。
これを基本に色々デコレーションしていけば、完成図の顔になるわけですね。

とはいっても、まだいきなり描けと言われてもハードルは高いと思います。
なので、この顔が出来るまでを順番にやっていってみましょう。

誰でも一度は見たことがあると思うこの図。やっぱり基本はこれです。慣れてきたらこれ無しでいきなり描けるようになりますが、とりあえずは面倒でもこれ描いときましょう。

タマゴの細い方を下にした形を描き、真ん中にまっすぐ縦の線を引く。それに交差するように、タマゴの下三分の一あたりの場所に水平に線を引きます。

俺はフリーハンドで綺麗な線引くのが苦手なので汚いですけど、所詮目安なので実際このくらいで問題ないです。ただし、できるだけまっすぐ立ったタマゴを意識して描きましょう。

説明しておくと、タマゴが頭蓋骨の目安。
縦の線が左右対称の目安。
横の線が目線です。
縦の線はいつでも変わりませんが、横の線は目の大きさにより上下します。とりあえず今はそんな細かいことは忘れてて問題なしです。

輪郭と目を描きます。なるべく左右対称を心がけましょう。

輪郭について。
まず、アゴは必ず縦線上にくるように。こめかみあたりからアゴへかけて輪郭を描くわけですが、この時左右のラインが垂直に近くなるほど骨太になり、水平に近くなるほど頭でっかちになります。タマゴが頭蓋骨であることを意識しつつ、完成図がなるべくこのタマゴの形に近くなるように描きましょう。

目について。
目の形を決める「へ」の部分ですが、「へ」の端の折り返し部分（左図の赤い矢印）が目線にかかるようにします。そうすると目線に瞳を持ってきやすいです。
「へ」の折り返しの角度ですが、瞳の下部外側の端のやや外側へあわせましょう。青い線を目安にしてください。
目の描き方に関しては、また後日詳しく書こうと思います。とりあえず今は、左の絵を参考に似せて描いてください。

どうしても人間の手の構造上、左右対称に描くのは難しいです。描いた紙を裏からすかして見て、表から見たときと印象が違えば左右対称になってません。何度でもやり直しましょう。

鼻を縦線上に描き、にっこり口をその下に描きます。
鼻は縦線上に描く。口はその形によっていろいろ変わるんですが、今回のようなにっこり口なら鼻のすぐ下に描いてオッケーです。

次に、前髪と横髪を描きます。
前髪の生え際は、目線とタマゴ上部の真ん中より少し上あたり。髪の流れは髪型によって全く違うんですが、今回のような髪型であれば瞳のあたりまで伸ばしてやります。
あまり上手く見えない絵にありがちなことなんですが、前髪と横髪の生え際が横一直線なケースがあります。しかし、横髪のほうの生え際を上にしたほうが綺麗に見えると思います。というのも、実際横髪は前髪とは違う場所の髪の毛だから。
髪型も初心者が手こずるところなので、このへんもまた後日詳しく書きます。
とりあえず、横髪の内側の部分はこめかみをかする感じ、外側の部分はタマゴに外接する感じで伸ばしてもらえれば自然な感じになるかなと思います。

髪全体を描きます。
頭頂部はタマゴの上部。側頭部の髪はタマゴを若干離れても問題ないです。

耳は、目線から始まって、鼻の若干下あたりの高さで終わります。

首は思わず細く描いてしまいがちですが、そうすると体が妙なバランスになるので注意です。意外としっかり描きましょう。

髪を裏からすかして見て、変じゃなければオッケー。
最後に新しいA4紙を重ねて、上から清書して完成！
線を何度も重ねて描いたりして太くなってる場合は、この時に１本の線でキメてしまいましょう。