2013/3/18(月)
【盗賊になりたいけどきっとすぐに捕まるから僕は普通に生きる】
実は最近、非常に感動的な物語を見る機会がありましてね。
10年以上前に公開された作品なんですが、僕は当時も感動して胸のときめきを抑えられないほどに興奮したんですが、いつしかそのことも忘れてしまっていて、最近ふとその作品に触れた際、やはり芸術だと。中国が文化大革命の際に消し去りたかったのはこういう芸術作品なのではなかろうかと思うような、そんな作品の完成度の高さに改めて心揺さぶられたんです。
みなさん、ファイナルファンタジーって知ってます?
「おい、なんだそのナイツみたいな前フリは」というツッコミがそこかしこから聞こえてきますが、まぁ良いじゃないですか。ファイナルファンタジーですよ。しかもその9ね。
最近PSPのアーカイブでプレイしたんですが、この9は非常に良い。大好きなんですよ。ファイナルファンタジー最後のプレイステーション作品なんですが、7と比べると圧倒的なまでにグラフィックが綺麗。ほんと、絵本を見ているかのようなクオリティーなのです。そして、話も傑作と言われた7とはまた違うテイストなんですが、やはりこちらも傑作だと僕は思うのです。キャラクターの魅力に半端なく魅せられるのです。そしてこの藤月、30をぽーんと越えた齢でありながら、そのキャラクターに恋いこがれて胸が痛いという末期の病を抱えております。国はこういうおっさんのために医療保険を用意すべきだと思うんだ。
■ここより以下、FF9のネタバレを含みます■
いやー、ダガーを抱きたい。
たまらん、ダガーを抱きたい。抱きしめてチュッチュしたいんや。自分でも気持ち悪いのは自覚しているし、読者が遠浅の海のようにみるみるサーッと引いていっているのも分かっているんだ。だけどたまらんのや。医療保険頼むわ日本国。
ネタバレ構わんという人に向けて話しますけどね、このダガーっていうのはもともとガーネット姫という、アレクサンドリア国のお姫様だったわけですよ。だけど、ブラネという母親が唯我独尊の権力至上主義者で、近隣諸国を脅かそうとするわけです。それに疑問と焦りを覚えたガーネットは、主人公であるジタンという盗賊に自分を誘拐して欲しいと頼む。自分では自国を抜けさせないがために、誘拐されたということで他国の知り合いの王様に相談しようとしたわけです。
紆余曲折を経て、無事誘拐されたガーネット姫。しかし、母親ブラネは他国への侵略をやめようとはせず、むしろ我が娘ガーネットを危険にさらすことも構わずどんどん手を伸ばしていきます。もともと女好きだったジタンは美しいガーネットを自分に振り向かせるため、惜しみない協力をするんですが、彼女はというと、ジタンのことが少し気にはなるものの自分と自分の国と、お母様のためにそれどころではない。なんとかブラネが目を覚ますように、自国アレクサンドリアが平和になるようにとの一心で行動するわけです。にもかかわらず、やがてブラネは部下を使ってガーネットを捕らえ、彼女の中に秘められていた召還獣の力を無理矢理に取り出してしまう。その力で他国を滅ぼしてさえしまうのです。
母親の行動に愕然とするガーネット。
自分が実はブラネの実の娘ではなく、嵐の中遭難した船から救出された召還士の娘が養子となったことを分かっていてなお、娘として信じ続けた母に裏切られた悲しさ。そして時を同じくして、その母を裏で操っている存在を知る。それが、クジャという異世界の人間なのです。やがて肥大したブラネの欲望はクジャすら邪魔になり、両者は対決。そしてその戦いの中でブラネは命を落とします。死の間際、正気に戻ったブラネはガーネットに娘として接するんですが、最後まで母を信じたガーネットとのやりとりは切なくてたまらないのです。
ブラネ女王亡き後、アレクサンドリアの頂点として立たねばならなくなったガーネット。母親が果たしていた責務を身をもって感じ取り、重圧に潰されそうになりますが、仲間の、とりわけジタンの励ましによって吹っ切ります。それまで他国で身分を隠すために名乗っていたダガーという名の元となった短刀、ダガーを手に、自らの美しく長い髪をバッサリと切り、新しい自分として生まれ変わることを誓うのです。このあたりから、ダガーはジタンにはっきりとした恋心を抱くようになったのだと思うのですよ。僕は。ちなみに、ジタンはこの頃にはもうダガー一途な男になってます。
その後、物語の主役はダガーからジタンへと移り変わります。
ブラネを影で操っていたクジャという人物が、世界の破滅を望んでいること。そして、そのクジャがジタンの義兄弟であるということが次々と判明していきます。クジャには彼なりの世界を滅ぼす理由があり、ジタンも自分がクジャと血を分けた存在であるということを認識してからはその理由に頷いてしまう可能性も否定しないのですが、それでもジタンは世界を選ぶ。仲間と、ガーネットと共に暮らす世界をこよなく愛してクジャと戦うのです。
クジャを倒したあと、ファイナルファンタジー史上でも類を見ないほどよく分からない「誰だお前は」という感じのラスボスが出現するのですが、そいつをフルボッコした後現場が大爆発。命からがら逃げ出した一団は、さらなる衝撃に備えて飛空挺で逃げようとします。しかし、ジタンだけは立ち止まる。決別したとはいえ、義兄弟であるクジャをこのまま死なせるわけにはいかない。「誰かを助けるのに理由はいらない」という自らの言葉通り、彼はみんなと別れて宿敵クジャの救出に死地へ赴くのです。
というところで、エンディングはこちら。
ここ一週間ほど、ガーネットが愛おしくて胸が張り裂けそうになっている僕は、どこの病院にいけば薬を処方してもらえるのでしょうか?
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