2003/09/29 (月)
池山日記 【ロード・オブ・ザ・メガネ4〜アロンアルファな勇気】
〈前回のあらすじ〉
中学生になって一気に花開いた望ちゃん。
しばらくは疎遠だったものの、選挙管理委員にて久しぶりの再開となった二人。
その夜の帰り道での何気ない池山の一言が原因?で再び望ちゃんがめがね+三つ編みの姿に。
これは、池山への愛情表現なのか?それとも・・・
〈前回の続き〉
体育館の壇上の前でポツンと立っている望ちゃんの姿に、俺はしばらく呆然としてしまった。
まるで、小学生時代にタイムトリップしてしまったかのような望ちゃんの格好。めがね+三つ編み。
一瞬、人違いかとも思った。だけど、その遠くからでも分かる望ちゃんの雰囲気が俺を現実から離さなかった。
そんな具合に、ぼうっとして体育館の入り口で立ち止まっている俺に向かって、望ちゃんが手を振ってきた。
俺は、まだ状況が理解できていなかったけど、これ以上望ちゃんを待たしたらあかんと思って全速力で望ちゃんのところへ走っていった。
池「はぁはぁ、・・・ごめん、遅れてしまった。」
望「遅刻やで、池山君。」
少し意地悪な口調でそう言った望ちゃんを見てみると、顔を真っ赤にしていた。
おそらく、久しぶりに元に戻した自分の姿を見られるのが気恥ずかしかったんやろうと思う。
俺は、そういう気持ちをなんとなく察して、あえてその部分について触れることをしなかった。
池「よし、じゃあやろうか。」
そういって、二人は半分ずつ分担して垂れ幕をかけていった。
仕事は、垂れ幕をかけて斜めになってないかチェックするだけやったから、思ったよりもすぐに終わった。
その日は、朝が大体選挙の時間になっていて、委員である俺と望ちゃんはクラスに参加せず、委員の仕事をすることになっていた。
が、俺と望ちゃんの委員としての仕事はあとは放課後の開票と票の集計の手伝いだけだったから、朝のそれからの時間、随分暇だった。
とりあえず、俺と望ちゃんは選挙管理委員が使っていた教室に行くことにした。
他の委員は全員仕事中だから、教室内には二人だけ・・・
なんとなく、怪しい話になりそうな予感がするけど、精神力「羊」の俺にそんな勇気があるわけもなく、しごく健全な会話が続いた。
そういう風に、少しいつものような馬鹿げた会話をしていたこともあって二人の間の空気も和んでたから、俺は思い切って核心をついてみた。
池「望ちゃん、そういえば今日めがねかけてるねんな。コンタクト割れたん?」
朝の出会いから2時間以上たってて「そういえば」もくそもない気がするけど、女心にあんぽんたんな俺はそう言ってしまった。
望「ううん。コンタクトは置いてきたん。」
池「めがねの方が見やすいの?」
ここにきて、まだこんなことを言う俺が心底憎い。
望「ううん、めがねの方が、めんどい・・・かな。」
池「それやったら・・・」
ここまで言って俺は口をつぐんだ。
さすがに「俺が前のほうがいいって言ったから?」とは、純情ボーイの俺には言えなかった。
それに、そこまで自分に自信がなかった。
そうやって、言葉が続かない俺をじっと見つめながら望ちゃんは少し顔を赤らめてこう言った。
望「やっぱり、池山君はこっちのほうがいい?」
なんとなく言おうとしてたことが見抜かれたような気がして、俺も顔を赤らめながら答えた。
池「うん、そうやな。うん。そっちのほうがいいな。」
けど、
正直、もうどっちでも良かった。
それが望ちゃんであるなら。
そのとき既に、
俺は、完全に望ちゃんに惚れていたから。
その後は望ちゃんと普通に話して、昼から普通に授業を受け、放課後に開票作業などを行った。
それで、俺の選挙管理委員会の仕事は全て終わった。
これは、俺と望ちゃんの唯一の接点を失ったことと同義やった。
また、普段の生活が始まる。
俺の中に諦めの気持ちが膨らんだ。
次の日、望ちゃんのことをぼうっと考えながら授業時間が過ぎていき、俺はたまたま廊下で会った藤月と一緒に帰ることにした。
二人でトロトロ歩いてると、学校から100mくらい離れたジュースの自動販売機のところに望ちゃんが立ってた。
俺は嬉しくなって、話し掛けた。
池「よぉ!望ちゃん、誰か待ってんの?」
望「うん、・・・池山君待ってたん。」
池「へ!!??」
顔をめっちゃ赤らめながらそう言う望ちゃん。
また、その突然の言葉の意味を考えて自らも顔を赤らめる俺。
なんとなく雰囲気を察したのか、藤月は
藤「俺、ちょい体操服忘れてきたし取りに帰るわ。」
と、体育なんかなかったくせに、変な言い訳をして学校に走って戻っていった。
このナイスガイめ!!
そして、俺と望ちゃんはその日をきっかけに大体毎日二人で帰ることになった。
一度は千切れた二人の接点
それをもう一度繋いだのは、望ちゃんの勇気だった
既に望ちゃんにべた惚れな池山はどうでるのか?
ここまでいって、なぜ二人は付き合わなかったのか?
そして、あの鈍感極まりない藤月がやたらめったら気がきく不思議・・・
そんな数々の疑問と謎を引きずって、
次回
「ロード・オブ・ザ・メガネ5〜妖怪大戦争・父さん僕の目玉返してください」
に続く
お楽しみに〜!!
〈池山謝罪コーナー〉
ごめんなさい、「今回で最終回」って言ってたのに、終われへんかった。
なんか、書いてるうちに色んなことを思い出してしまって・・・
もうちょっと続きます。
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