尾道市瀬戸田町に本格的な夏の訪れを告げる船祭り「ホーランエンヤ」は19日夜、瀬戸田水道で繰り広げられる。御座船を引く櫂伝馬(かいでんま)を造った同町高根の船大工長光泰司さんは昨年9月、75歳で死去した。櫂伝馬が進水して20年目。今年の祭りは長光さんを追悼する行事ともなる。
ホーランエンヤの正式な呼び名は高根厳島神社管絃祭。宮島(廿日市市)の大鳥居の造営に高根島の神社の大クスノキを差し出したとの言い伝えから、宮島の管絃祭に合わせ旧暦6月17日に行われている。一時中断していた祭りは1980年代半ばに大崎上島町から櫂伝馬を借りて復活。89年、長光さんが櫂伝馬たちばな丸を完成させたことにより、自前のホーランエンヤがよみがえった。
管絃祭を運営する奉仕団団長の根角一寿さん(54)=農業、同町高根=は「最後の船大工といわれる長光さんのおかげで今のホーランエンヤがある。感謝を込めて大事に船を使っていきたい」と話す。
【写真説明】艇庫に納められた櫂伝馬たちばな丸を点検する長光さんの長男耕司さん
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