九月議会報告 決算反対討論
今週から九月議会最終日に行った討論を掲載します。
スウェーデンの年金制度のあらまし1
個別課題に入る前に情勢認識について述べます。
市長は合併の説明会で、市町村合併が避けられないとする理由づけを国際情勢と国内情勢から論じられました。経済のグローバル化、そのもとでのスウェーデンの年金改革などを聞いた市民は「それが時代の流れか」と納得せざるを得なかったかもしれません。それらの話が市民に明るい展望を与える内容であればよいのですが、そうではありませんでした。「あのスウェーデンでさえ国民負担が重くなり、年金制度も後退している」といった内容でした。はたしてそうでしょうか。そこで手元にある資料をもとにスウェーデンの国民負担と年金について見てみたいと思います。
ねじまげられる北欧情報
スウェーデンは二百年近く戦争をせず、同じ資本主義国でありながら国民生活を第一とする政治が実行され、私たちから見たらケタ違いの暮らしの豊かさを実現しています。私自身、十二年前にスウェーデンとデンマークを視察したことで平和の尊さを実感し、目指す政治の具体的な目標ができたと感動しました。残念ながら北欧は日本から遠く、その気にならなければ正確な情報が手に入らず、逆にマスコミや官僚によってねじまげられた情報のために誤解が広げられているように思います。実態を知れば日本の政治の遅れが分かります。
スウェーデンの予算規模はGDP(国内総生産)比でみると日本の約二倍ですから大きい政府といってよいでしょう。OECDの2000年の統計では所得課税、これは法人所得課税と個人所得課税がありますが、その税収はGDP比23.4%で、日本の9.2%の二・五倍です。ただ、法人所得課税は税を納める力がある大企業の負担は大きく、個人所得課税は、最低限の生活費には課税しない制度があり、これも高額所得者ほど負担割合を増やす累進税率があります。ひとくくりにしていえば国民負担は高いのですが、これで医療・教育・老後などが保障されますから、残ったお金はほとんど可処分所得であり、生活を守るために貯金をする必要はありません。国民は納得して税金を納めています。社会保障に占める企業の負担はGDP比11.9%で、日本の5%の二倍以上です。それは年金制度によく現れています。
老後の生活保障はあたりまえ
七年という長い検討期間を経て1998年に法律が成立し、段階的に導入され、2003年から全面実施された新しい年金制度は1938年以降に生まれた人に適用されます。これまでの基礎年金は生活保障年金に変わりましたが、日本円に換算して単身者で約13万5000円、夫婦で19万2000円、現役時代の半分程度という水準は変わりません。これで普通の生活はできますが、その上に勤労所得に比例して算定される所得年金が支給されます。その資金は事業主負担で支払った人件費の16%、年金額は従前の所得の10%程度といわれますが、ここにリスクを伴う新しい運用方式が取り入れられているので、額は不透明になっています。