櫛形山のアヤメ祭りは…

 18日、「赤旗」読者の山の会「遊峰」主催の櫛形山登山に参加しました。「選挙に勝って山に行こうね」と言っていたTさんは参加しませんでした。ひがむ私に同行者は「忙しい人だから、ほかに用事があるのよ」。それでも総員で十六人、少なくない参加者でした。この日がアヤメ祭りだったとは企画時点では事務局のYさんも知らなかったようです。辻々に安協の人たちが立つ林道を出発点の「みはらし台」に向かいました。
ヤナギランが真っ盛り
 登山口は標高一三三〇b、めざすは櫛形山の一つのピーク、裸山の二〇〇三bです。標高差は六六〇b余り、立派な「登山」です。アヤメ「祭り」の舞台はこの山の山頂付近です。
 この日はなぜか曇天で今にも降りそう。参加者は私のことを「雨男」と決めつけます。理不尽な決めつけですが、みんなに言われるとそんな気持ちになってしまいます。しかし猛暑の続いたあとの曇り空、しかも登山道は木陰続きで、むしろ快適な山歩きになりました。
 「みはらし台」から北尾根コースに入りましたが、そこでは役場の職員でしょうか、麦茶のサービスがありました。儲かるとも思えない仕事に日曜出勤だとしたらご苦労なこととありがたく麦茶をいただきました。
 登山道で驚いたのは樹齢もわからないカラマツの古木でした。幹まわりは三bもあるかという大木が何本もありました。山の歴史を物語っているようでした。しかし祭りの主役アヤメは二週間も前に盛りが過ぎていたということで、見られたアヤメはわずかでした。 そのかわり花は亜高山のものがたくさん見られました。筆頭は真っ盛りのヤナギラン、同行したK子さんからその名を教わりました。やはり真っ盛りのクガイソウは田中澄江さんの碑文の「色」でわかりました。嬉しかったのはグンナイフウロ、レンゲショウマとの出会いでした。グンナイフウロは唯一グンナイ=郡内の名を冠した花、レンゲショウマは今倉山から赤岩の稜線で出会った可憐な花です。
 多くの登山者でにぎわう裸山直下の広場で昼休み、花を愛(め)で蝶と遊びました。
 登山口に戻ったのは午後2時45分。解散しかかっていたテントサービスでしたが最後の麦茶と桃をご馳走になりました。雲の上がった「みはらし台」で集合写真を撮り、ひとしきり甲府盆地を眺めました。
櫛形山の花たちは
 アヤメの紫
 キンバイソウの黄
 クガイソウのうす紫
 ヤナギランの紅と咲いて
 色とりどりの
 豊かさは日本の誇り
 東洋のほこり
 櫛形山の花たちよ
 ひとの心の優しさに
     護られて
 いついつまでも美しく
 いついつまでも清らかに
 花のいのちを
     輝かして下さい
        田中澄江