石川英輔さんの
大江戸うんちく学


 5月25・26日付の日刊「赤旗」に標題の記事が載りました。副題は「『道中でござる』を2倍楽しむ」です。石川さんはNHKテレビの公開コメディー「道中でござる」(木、後8時)のコーナー「大江戸おもしろ事情」を担当しています。楽しい番組です。
 日曜版読者と、日刊紙読者で見逃した人のために、紹介したくなりました。

平和な大軍縮≠フ世の中
 「江戸時代は封建時代で武士が威張り、人々は土地に縛りつけられた『暗黒の時代』とお思いでしょうか」と問いかけた石川さんは、江戸時代を「とても学ぶべきことが多い、興味ある時代」と云います。
 「第一に平和な時代でした。天草の乱(一六三七年)以降戦争はありません」。「戦国から豊臣政権にかけて、日本は世界最大級の重武装国家で、秀吉は朝鮮侵略のとき四万の鉄砲隊を送りました」。ところが徳川の時代になると鉄砲への情熱が急速になくなり、代わりに熱中したのは「武力としては実用性が無くなっていた刀」でした。刀は「武士のシンボルへ、さらに美術品」へと変質します。石川さんの話を読んで、鉄砲がピストルになり腰に下げられる、西部劇のような世の中にならないでよかったとつくづく思います。
 石川さんは「治安の良さ」も強調します。「江戸の町人人口が五十五万人であったとき、司法、行政を担当する町奉行所の役人は二百九十人、うち警察担当者二十四人、町をパトロールする定回り同心はわずか十二人。幕府には人民を武力で押さえつける財力もなかった。町の治安、行政を担ったのは町年寄、町名主と呼ばれた民間人です。その下に長屋の大家さんたちがボランティアで働いていました。幕府は支配すべき民間に治安・行政をまかせた、というより押しつけていた」「国民をがんじがらめにし、外国侵略に乗り出していったのは明治になってからなのです」

質素・リサイクル社会、豊かさ
 石川さんは「江戸時代は太陽エネルギーだけを利用した自給自足社会」で、それを支えたのは「リサイクル構造」だといいます。
 「使い捨ては知らず、実用品は丈夫に作り、修理、再生しました。あらゆる品物に修理業者がいました。紙も布も何度も再利用しました。人間の排せつ物はほぼ全部が肥料として利用される循環系が確立していたのです」「江戸時代は現代の百分の一のエネルギー消費で『富国強兵』でない独特の文化を発展させました。芝居、浮世絵、植木、各地の名産品、外食産業の隆盛、その多彩さに驚かされます」
 石川さんはよい治安のもとで旅が盛んだったことも強調します。東海道は「十九世紀前半には参勤交代を別にして年間、二百万人の旅人が通ったといわれます。日本の人口が三千万人の時代です。お伊勢参りも盛んでした」「貧しい人々も道中で施行(せぎょう)=無料サービスを受けながら旅ができたのです。一八三〇年、遷宮の年は何と五百万人が訪れ…」
 石川さんがいうとおり、江戸時代は学ぶところが多い。とりわけ、平和がもたらす心豊かな社会、それを壊したその後の政治、平和を守る今の活動の重要性を痛感します。