三人が解放されました

 先週の木曜夜、この「手紙」を書いている最中に「イラクで日本人三人拘束。武装集団が自衛隊の撤退を要求」のニュースが入りました。土曜日に街頭から自衛隊の撤退を訴えました。十一日未明に「二十四時間以内に解放する」という声明が発表されましたが、実際の解放まで一週間かかりました。今週も、この「手紙」を書いている最中に、イラクのテレビ「アルジャジーラ」が「三人解放」を報じました。

初めに「撤退なし」とは
 今週の「赤旗」は日刊も日曜版も「三人救出」がキーワードになっています。「人の命は地球よりも重い」という倫理観に立てば当然のことでしょう。
 ところが小泉首相と政府与党の反応は違いました。「三人の救出に全力をあげる」という一方で、「テロの脅しには屈しない。自衛隊は人道支援をしている。撤退しない」でした。 
 こうした問題に精通する国際政治評論家は「拙劣な対応」と批判しました。こういう場合、結論は言わずに相手を交渉の場に引き出すのが作戦の常道だというのです。ところが小泉首相は、人質の状態も誘拐した犯人の正体もはっきりしない段階で、ほとんど反射的に「自衛隊は撤退しない」と言明したのです。こういう態度を見て、小泉首相の頭には人の命よりもアメリカに向ける顔しかないことが、誰にも分かったのではないでしょうか。 
 事実、小泉首相は来日したアメリカのチェイニー副大統領に、とくとくと「自衛隊は撤退しない」と報告したのです。これでは「人質救出に全力」どころか誘拐した武装集団に対する挑発ではありませんか。「自分の家族が拘束されても同じようにするのか」というのが、私のまわりの人たちの怒りの声でした。しかし、その怒りは小泉首相には通じないのではないでしょうか。もしかしたら小泉首相は自分の家族が拘束されても「自衛隊は撤退しない」と言うのではないか、それほど「アメリカとの関係は絶対」に見えます。もちろん、小泉首相の家族はイラクに「人道支援」には行かないでしょうが…。
 しかし、自衛隊が本当に「安全な所」へ「人道支援」に行っているなら、小泉首相も家族も、真っ先にイラクに行けばよいではありませんか。

国の関係を私人の関係に
 エンゲルスの「国家の関係を私人の関係に」という言葉を覚えています。国と国の関係を私人の関係、友好的な隣近所の関係にしていかなくてはならないという意味でしょう。
近所に横暴な亭主がいて、家族に暴力を振るっていると聞いても、私たちはその家にむやみに乗り込んだりしません。もちろん武器を持って乗り込むなど考えもしないでしょう。家族の問題は家族で解決すべきだからです。もし相談を受ければ家族の相談に乗り、ご亭主を諌(いさ)めるでしょう。手に負えなければ公的機関に訴えます。家の問題を国に置き換えればよいのです。他の国がどうこう言うべきではありません。
 自分が気に入らない国を武力攻撃する、アメリカは異常です。近所にこんな人がいたら大変、ましてやその子分になるなんて。