全国紙のイラク報道に批判の声が高まっています。憲法と国の命運を左右する事態が生じているのに、政府批判の声があまりにもか細いのです。「かつら川」も再三指摘しています。同じことはNHKテレビにも言えます。時事問題ではラジオのほうがよほどましです。たとえば毎日新聞です。
毎日新聞といえば知る人ぞ知る、創価学会の聖教新聞の印刷を請け負っている新聞社です。この話を聞いた友人は「それじゃイラクも書けないわ」と胸に落ちたという顔をしました。不買運動でも起こされたら大変です。
合併後の実態を突く記事
その毎日新聞が珍しく「これでも合併するか」という内容の記事を書いたのです。二月十四日付の山梨版です。見出しを並べてみましょう。
「三位一体改革」に苦心
南ア市初の本格予算
交付税が大幅減 82億円見込み→実質68億円に
合併特例債の「アメ」甘くなく
記事は「02年秋に策定した合併初年度移行(以降?)10年間の建設計画では、交付税を今年度が82億円、09年度に85億円を突破し、12年度には97億円超と試算する。しかし、68億円だった今年度実績をベースにすると、来年度も70億円超で『御の字』。」と地方交付税の大きな見込み違いを指摘します。今年度の交付税は予想より14億円も少なかったのです。
南ア当局は「合併特例債の七割は交付税で補填される。だから交付税は増える」と見込みました。ところが交付税は増えるどころか減り、「借金の返済で独自に使える財源は縮小」という事態です。
「職員の給与カットなど徹底的な経費節減を目指す一方、市制誕生時には財政調整基金など計14億円あった基金を12億円取り崩し、何とか来年度予算を編成」と深刻です。
南ア市幹部は背任罪?
収入役は「計画の大幅な見直しが必要だ」と語り、市長は「『合併して良かった』ということに悩みを感じさせる改革でよいのか」と「交付税減らし一辺倒の国に、疑問を投げかけ」ます。
しかし、私は彼らに同情する気にはなれません。「合併してもしなくても交付税は減る」、そんなことは分かっていたことだからです。だからこそ全国町村会などは国に対して抗議の大会を開いているのです。国いいなりに合併を進め、いまさら泣き言もないものです。それどころか深く考えずに合併して財政運営を困難にし、結果として住民に損害を与えたことは背任罪に値するとさえ思います。
先行した南ア市の例を都留市は他山の石とすべきです。合併促進には国いいなりのほか理由はなく、「道志村と合併しても特に良いことはない」ことは市の職員を含めてほとんどの人が承知していることです。無理な合併は愛郷精神に欠ける者の所業です。
背任罪=他人のためにその事務を処理する者が、自己もしくは第三者の利益をはかりまたは本人に損害を加える目的で背任行為をし、本人に財産上の損害を与える罪(広辞苑)。