新しい年に世界と日本を見るA

 (前号より)
 アメリカの同盟国とされているフランスやドイツがイラク攻撃に反対したのもこうした立場からでした。
 さらに、90年代半ばからはEUとASEANがASEM(アジア欧州会合)というテーブルで交流を強めています。
 インドとパキスタンはカシミール地方の領有権をめぐって激しい対立がありましたが、今年になって平和的解決へ新たな一歩が踏み出されました。「話し合いで解決」はここでも大きな流れになっています。
 イスラエルとパレスチナの紛争ではアメリカが同盟国イスラエルの無法行為に寛容だと世界から批判の声が強まっています。
 アメリカ一国の覇権主義、力の支配に反対する流れが確実に広がっていることがわかります。

野党外交が結実しつつある
 この間、日本共産党は野党外交を積極的にすすめるなかで、「安保のない日本をめざす党」「アメリカの横暴に反対する党」「ソ連の大国主義とたたかった党」と、その姿が多くのアジアの国々、イスラムの国々から受け入れられ、友好の輪が大きく広がりました。各国の在日大使館からは日本の各政党の動向が本国に細かく発信されていると思われます。
 03年8月に開かれた東アジア会議に日本共産党が招待され、笠井亮 (あきら)党中央国際局次長が出席しました。
 東アジア会議というのはASEAN10カ国、中国、日本、韓国などの政府関係者、学者、民間研究者、ジャーナリストなど1,500人が参加した大きな会議です。そこでは「我々がバラバラでは覇権主義に立ち向かえないが、みんなで手を組めばできる」と東アジア共同体づくりへ向けた活発な議論が交わされました。
 実はこの会議に政党で招待されたのは日本共産党だけだったのです。日本の政府関係者もこの会議に参加しているのですが、何かを決めようとすると、日本政府代表はすぐ「アメリカの意見もよく聞いて」と乗り気でない発言をするので「日本政府は何を考えているのか」と不評で、逆に笠井さんが発言すると拍手喝采だったそうです。日本の対米追随は世界から見てまったく異常なのです。

「問題は小泉首相と北朝鮮」
 アジア各国の参加者は、笠井さんに「ASEANは力をあわせて平和のために活動している。アジアの平和のために、あと問題なのはアメリカいいなりの小泉首相と北朝鮮だ」と語りかけたそうです。
 その日本で、ASEANの運動を支持し、ASEANと同じような目で世界を見、同じような立場で世界に働きかけている党があると知って、日本共産党との交流が始まったのです。そして交流の中で、日本共産党が戦前、侵略戦争に命がけで反対した党であり、戦後はソ連の横暴と勇敢にたたかった党だということを知って、ますます信頼関係が深くなっているのです。そのことが政党では日本共産党だけが招待された背景にあります。 アジアで唯一、日本共産党だけ招待という事実に驚きと感動を覚えるのは私だけではないでしょう。(つづく)