仕掛ける人、狩り出される人
以下は公示前日の、私の最後の訴えです。
私たちの世代は子どものころに戦争の愚かさを十分に教えられた。貧しさのなかで、戦争がすべてのものを奪うと教えられて育った。同世代の人間でありながら、憲法九条をないがしろにする小泉首相は我々とはまったく違う環境の中で育ったとしか言いようがない。おそらく小泉首相の親も、その親も、戦争の被害など体験しなかっただろう。ブッシュはマイクの前にしかいない。いつの時代にも戦争を仕掛ける人と戦争に狩り出される人がいる。戦争を仕掛ける人は戦争には行かず、戦争で悲惨な目にあうのはいつも庶民だ。政治を国民の手に取り戻すということはこの「戦争に狩り出される人たち」が政治の主人公になるということだ。いまは日本が戦争をする国になる危険がせまっている時であると同時に、「国民が主人公」の政治に転換するチャンスでもある。(前に「手紙」に書きました)
候補者名を書くと無効です
「私はちゃんと『赤旗』を読んでいるわよ」
街頭演説のあと、読者のT子さんから声をかけられました。先週の「手紙」の「赤旗をこそ読んでください」にこたえたものです。
このT子さんはよく喋る人(失礼!)と、自他ともに認めています。かつて先輩から「よく表現(書く、喋る)する人はよく理解する」といわれたことがありますが、T子さんはその例にもれず聡明な人です。演説のあとの短いやりとりで、T子さんはこのほかに二つのことを言いました。
一つは「小泉首相は戦争の悲惨さなんか知らないよ」という感想。これは私の演説への嬉しい反応です。問題は最後に出された「どういうふうに投票するの?」という質問です。
この間、「応援するよ。がんばって」などの声をかけられます。しかし、話し合ってみると「比例代表選挙は政党名を、選挙区選挙は候補者名を書く」ことを知らない人が少なくありません。これは参院選の比例選挙が前回から政党名でも候補者名でもよいという方式に変わったための混乱です。衆院選の比例選挙は候補者名を書くと無効になってしまいます。T子さんは率直に質問されましたが、T子さんでさえと思わずにはいられません。広く誤解があるようです。
マスメディアの大罪
新聞やテレビは「二大政党」を前面に出すことによって重大な争点を隠しています。
自民党が「憲法改正に踏み出す」といい、民主党が「創憲」と言い出す、まさに憲法が危うくなっているのに、そしてそれは日本の政治の危険な大転換が問われているのに、さらにそれは郵政民営化や道路公団の民営化などとは比ぶべくもない大問題なのに、新聞やテレビでは同列なのです。
いまでさえ、軍事費は約五兆円、アメリカに次ぐ軍事費大国が平和憲法を踏みにじってつくられているのに、九条がなくなったらさらに軍事費の大膨張が行なわれ、「アメリカと一緒に堂々と戦争をする国」になることは容易に想像できるのに、その重大性はまさに歴史的なことなのに、新聞やテレビは報道しないのです。
マスメディアが犯しつつある犯罪です。