どんな育ち方をしたのか



 「アメリカは野蛮な国」と言ってしまってはいけないと知らされました。
 ニューヨークでの大規模な「イラク戦争反対」の集会をテレビで見ました。集会参加者が言っていました。「アメリカにも戦争反対の人は大勢いると報道してください」と。さらにニューヨーク市議会がイラク爆撃反対を議決しました。

戦争をどう教わったか
 小泉首相もブッシュ大統領も私などと同じ世代です。物心ついたのは第二次大戦後です。
 私の場合で言えば、1949(昭和二四)年が小学校入学です。当時は反戦気分・貧困が時代の象徴でした。学校は反戦映画を見せに映画館に連れて行きました。先生はあの戦争は間違っていたと教えてくれました。
 私は家に帰って母に聞いたことがあります。「なぜ戦争を止められなかったのか」と。母は「教育の力かねえ」とボソッといいました。
 「戦争はすべてを破壊する」「人間のもっとも野蛮で愚かな行為」「人の命は地球より重い」「有為の青年の前途をすべて奪う」「一人の人が亡くなっても多くの人が悲しむのに第二次大戦では何千万人もの人が亡くなった」など、ありとあらゆる言葉をもって戦争に反対しなければならないことを教えられたように記憶しています。そして、前にも書きましたが、中学三年の夏休みの宿題の憲法の全文書き取りが義務教育の仕上げでした。学校でなにを教わったという記憶もありませんが、平和だけは学校で教えられたような気がします。
 そんな気持ちが強いものですから、小泉首相は子どものころ、戦争についてどんな教育を受けたのか不思議に思います。どうして考え方の土台に「戦争反対」が据えられていないのだろうと。

アメリカ支持が国益か
 小泉首相がアメリカのイラク攻撃を支持するのは「同盟国だから」ということに尽きるようですが、同じく同盟関係にあるカナダがアメリカを厳しく批判しているのと比べられてぐうの音も出ないといった形です。
 一部に「北朝鮮が攻めてきたときにアメリカに守ってもらうため」という論調があります。議員の中にもそういう人がいました。
 日本共産党の市田書記局長はイラクの人々の犠牲と引き換えにするのかと批判しました。本当に勝手な理屈です。
 アメリカのいうことがすべての自民党や公明党にはアジアの情勢の変化が見えません。アジアは平和の流れが大きな奔流となっているのです。北朝鮮が戦争をしかけるような条件はありません。それこそ孤立への道です。
 この数年、日本共産党は独自の野党外交をすすめてきました。そのなかでアジア諸国がそれぞれに自主性を大切にし、非同盟、非核兵器、話し合い解決の道を歩んでいることを実感しています。
 各国は日本にたいして共通して、政権与党のなかに侵略戦争と植民地支配の真剣な反省がない、アメリカ言いなりで独自外交がなく、どんな問題にも軍事的対応が中心になり平和戦略がない、という声があげられています。
 いま憲法九条をもつ国として、アメリカにイラク戦争やめよと言えばアジア諸国から尊敬されることは間違いありません。