●このマシンの位置づけ
はっきり言って原始的なマシンです。
至れり尽くせりの製品ではありません。が、しかし
あなた次第でどのようにも使いこなせるツールとしてのマシンです。
このマシンは、自分の机の上に置いてNC加工もどき(と言いつつ、
かなりの切削ポテンシャルはあり)をして楽しむのを目的に開発しました。
この機械を作り始めたのは、何を隠そう自分が欲しかったからです。
プラスチックが切削出来、しかも安価で、あわよくば金属も切削出来るような
マシンが欲しかったからです。
自分が使用するときに欲しいと思う性能オンリーにしぼって製作したため、
業務用ではありません。あしからず。
消耗品を交換してゆけば永遠に使えるマシンと言えます。
DCモータ、タイミングベルト、スクリューナット、スクリュー等が本体の
消耗品と言えるでしょう。
このマシンを改造するのは、大歓迎です。穴を明けたりタップを切ったり
自作の部品と替えたり・・・。あなたが使いやすいマシンにして下さい。
万が一マシンの調子を狂わせてどうにもならない時は、(若干有料ですが)
復旧させていただきます。
現時点では、Gコードをサポートしていないので、教育用には・・・
不向きかも知れません。
ただし、Gコードに比べれば少しは覚えやすいコマンドになっています。
●誰がどんな風に作っているのか
右の写真は私の家の近くの景色です。
自分が欲しかったマシンを作るため、サイドジョブとして一人で開発を始め
ました。
私はFA等の機械設計屋ですので、市販のリニアベアリング等をペタペタ
とくっつけてしまえば、実現出来るのですが、とんでもなく高価で、
重たい代物になってしまいます。
パソコンを買うぐらいの価格で、机の上で使える物を目標にしました。
初期の試作で、そこそこ行けそうだという感触を得たので、電気、ソフト
に堪能な知人に開発をお願いすると、快く引き受けて頂けました。
彼も、サイドジョブです。
自宅の狭い一室で、”モコモコ”と部品作り、組立、調整をしています。
コストを抑えるために、大きな部品のどうしようもない所を機械加工屋にお願
いし、出来るだけ自分で細かい作業をやるようにしました。
結果としてメカも電気も、手作り的要素が多い製品になりました。
こんなマシンですが、よければ使って下さい。
●性能面
加工精度は、プラスチックなど負荷が軽い場合、かなり期待に応えます。
(当然ながら、重負荷になるほど悪くなりますが。)
ABS、塩ビ等のプラスチックではさほど重負荷にはならず、φ2のエンドミルで、
切り込み深さ5mm、送り1.5mm/secでも、±0.1以下です。
アクリルは多少(2倍ぐらいの感じ?)硬いです。
なおこの値は目安で、マシンによっても、切削条件によっても異なってきます。
希望の寸法に近くなる様工夫してみて下さい。
鉄は削れないことは有りませんが、マシンの剛性が、十分でないので、
エンドミルの持ちが悪いです。(例:φ2のHSSエンドミルで、切り込み
0.5mm送り0.2mm/secで連続切削すれば、約1時間動いた後
材料にエンドミルが食らいこんでマシンはストップ。)
加工精度は、±0.3(エンドミルのセンターが、進行方向とは左側に0.3mm
押されてずれる。)程度になります。
例えば、10mmの正方形で右回りで切削すると一辺が10.6mmに、
左回りで切削すると9.4mmほどになるという意味です。
長物の材料を取り付け可です。
マシンのX軸の両側はオープンになっていますので、幾ら長い材料でも
取り付け可能です。
材料取り付けデーブルの大きさは、120×100mmですが、120mm
方向へのテーブル移動ストロークは、MAX150mm程度動きます。
●金属加工に関して
どの程度切削出来るのか? 非常に関心のある所だと思います。
鉄は、このマシンにとっては非常に硬いと言わざるを得ないでしょう。
従って真鍮と、アルミ合金ではどの程度かを述べる事にします。
真鍮とアルミと言ってもそれぞれ多くの材質があり、一概には言えないので
ここに書いた事は、目安としておいて下さい。
ともかくも、私が行ったとおりの事を書きます。
テスト材料はホームセンターで買った、1センチ角の真鍮バーと、
0.3×2センチ角のアルミフラットバーです。
切削形状は、六角形とします。材料にエンドミルを突っ込んで六角形に右回りと
左回りにそれぞれ一個づつならべます。(写真を参照下さい。)
島状になっている六角形の対辺の寸法を4mmとします。
一回に0.5mmづつ材料にエンドミルを突っ込んで、送りは0.2mm/secで
六角形を回ります。それを四回、合計2mmの深さまで掘ります。
スタートボタンを押してから二個の6角形完成まで約14分でした。
真鍮は、さくい感じ。アルミは、ねばい感じ。ですが、切削抵抗的にはほとんど
同じぐらいで、強いて言えばアルミ合金が、少し小さいかな?と言う感じです。
アルミも真鍮も、4mm(対辺)の寸法が、右回りが4.05〜4.15で、
左回りが3.85〜3.95の寸法内で対辺によりバラついていました。
エンドミルの切れ味等によっても変わってきます。
真鍮とアルミの、最高切削速度(送り)に大きな違いがありました。
アルミの場合、0.4mm/secが限度でそれ以上はスピンドルモータに負荷が
かかり過ぎ、モーターが止まろうとします。
真鍮の場合、2.5mm/secでもザクザクと削れていきました。
つまり、アルミは送りを上げると急に切削抵抗が増える様です。
荒削りと、仕上げ削りと送り速度を選べば効率が良くなりそうですね。
大体のフィーリングは解って戴けたでしょうか?
サンプルを送りますので、「加工品サンプル差し上げます」を見て下さい。
写真を二枚付けておきます。(約65K × 2枚です。)
●メカ部重さ:約15kg 大きさ:約310×250×310mm
制御部重さ:約2kg 大きさ:約140×170×100mm
●マシン外観
縦型に置くと。
横型に置くと。
この方が切りくずが直接下に落ちて好都合。
電気制御部はこんな風に取り付け可です。