パノラマ写真の研究
35mmフィルムを使ったフルパノラマに挑戦
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35mmのフィルムを使ってパノラマ写真を撮るというと、だいたいがコンパクトカメラに付属するパノラマモ−ドを使い、24×36mmの画面を水平に切り取った偽パノラマを思い浮かべると思う。
しかし、これは本当にパノラマといえるだろうか?
確かにそれなりのラボシステムが確立していて、安くて簡単、きれいに仕上がるわけで、別段これで問題はないように思える。

しかし、これだとフィルム画面を半分に切っただけでのことで、僕としては納得がいかなかった。
そこで考えたたのが、中判カメラを使い、35mmのフィルムを使い本当のパノラマができないものだろうか。
以下はその記録であるが、これはすでに10年前に考えて実行したことである。この後マミヤが僕とまったく同じ考えでアダプタ−をマミヤ7用に発売したので、いまさら発表することもないのだが、手作りという点とコストの点では間違いなく僕のシステムに軍配が上がるだろうと自負している。

今回はフジのレンズ交換式の中判69カメラ、フジカG690BLを使っている。
部品点数は写真のとおりである。パトロ−ネ軸2本、画面マスク、ファインダ−マスクの4点である。
これだけの部品で、本格的パノラマ写真のシステムが完成する。費用はパトロ−ネ軸はタダとして、接着剤、カッタ―などの小道具も家にあるとしたら、買ったのはプラスチックの黒い学童用下敷き一枚である。
ある程度の厚みが必要なので、厚さを検討して一枚200円のものを購入している。
つまり、改造費用総額200円でできてしまったということである。
1、パトロ−ネ軸の製作
 
これはブロ−ニ−の軸を加工したものである。
プラスチックなので加工は簡単である。
もともとの軸に長さを合わせて加工して35mmのパトロ−ネにはめ込むだけである。
プラなのでカッターと半田ごてがあれば誰でも簡単に作れる。
コツは、長さのところをきちっとカッタ−で刻むことである。後は多少いい加減でもよい。

次に巻き取り軸であるが、35mmパトロ−ネの中軸を使い同じように両端を差し込めばよい。
こちらは固定式でよいので接着剤で止めるほうがフィルムが巻きつけられたとき安定する。





これがパトロ−ネの両端にアダプタ−をつけた状態である。

以上この2本が作れれば、もう半分は完成したようなものである。
  
2、フィルムマスクの製作
まずカメラ側のマスクである。広幅のブロ−ニ−に対して35mmフィルムは細いので、どうしてもフィルムの安定に問題が出てくる。
そこで厚みを確認してから、黒い下敷きを買ってくる。
カメラの画面に合わせて下敷きをカッタ−で切る。
次に35mmのフィルムの位置を確認して印を付けて、パノラマの画面をくりぬく。
このあたりはちょっとコツがいるかもしれない。

3、ファインダ―マスクの製作





これは、余った黒い下敷きを利用して、同じくファインダ−に合わせて外寸を切り、次に二つの内寸をくりぬく。
こう簡単に書くと、楽にできそうであるが、ここが一番むずかしいところである。


4、スタ−トマ−クへの連動

ここが悩んだ場所であるが、ブロ−ニ−フィルムがこの軸と連動してスタ−トマ−ク位置を出すようになっていて、この軸がフィルム送りのときに一緒に回らないと自動的に巻き上げストップとはならない。
この軸は両端は太いのだが、中心部は細くできている。
しかし、ただ太くしただけではフィルム幕面に傷がつく。
そこで考えたのが、35mmパトロ−ネに付いている隙間の遮光用の布である。これをはがして両面テ−プで貼り付けた。
これで厚みは確保できる。もちろん両面テ−プなので簡単にはがせる。


5、完成

問題点

これで完成である。問題はフィルム装てんは明るいところでできるが、まき戻しはダ−クバックか暗室で行わなければならないということである。

もう一点、カラ−ネガの場合、ラボが対応してくれるかということである、そのまま出せば間違いなく断られるので、懇意にしているラボによく事情を説明しておくことである。
僕は行きつけのカメラ店に説明して、サ−ビス判パノラマ(サ−ビス判を横に2枚並べたサイズ)と、キャビネ2枚横長サイズが可能であることを、実写ネガを見せて確認している。

モノクロの引き伸ばしの場合は、69用のガラスつきネガキャリアを使えばまったく問題なく引き伸ばすことができる.ガラスのないものは平面性に問題がでるので無理ではないかと思う。

このカメラの場合、スタ−トマ−クから順次巻き上げていくオ−トマットにすると、フィルムがかなり無駄になるので、ロ−ルではなく、シ−トフィルムに設定して2回巻上げで撮影している。

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