あれから数日、ケ艾は欠かさず鍾会の部屋に通っていた。
鍾会は体調が優れないので暫く休むようだ、と報告しておいたので、それを怪しく思う者もいな
かった。
「鍾会殿。」
部屋の扉を開けてケ艾が姿を見せると、鍾会は少しだけ肩を震わせた後、複雑そうな表情を
浮かべた。
「……」
「…随分と大人しくなったものだ。」
そう言うとケ艾は、当たり前のように寝台に上がり、鍾会の上に覆い被さった。
そして、そのまま着物の裾を捲り上げ、足を開くように促す。
「ぅ……」
鍾会は目に涙を浮かべながら、渋々といった様子で足を広げた。
「……それだけでは駄目だと言ったはずだが?」
ケ艾が怒気を含んだ声で言うと、鍾会はビクッと体を震わせ、酷く怯えながら自らの足を抱え
上げた。
「…言う通り、するから…、もう、叩くのだけは…っ……」
鍾会の尻たぶの辺りには、細長く赤い跡が幾つも残っていた。
それは、行為の時以外は傲慢な態度を示し続ける鍾会に業を煮やしたケ艾が、何度も鞭で打
ち据えた跡だった。
…それからというもの、鍾会はすっかり大人しくなってしまった、というわけだ。
「…あぁ、鍾会殿が言う事を聞いていれば叩いたりしない。」
その怯えようを見て、さすがのケ艾もやり過ぎたと思ったらしく、先程とは打って変わって語気
が穏やかになっていた。
「よし…、そのままじっとしていろ。」
ケ艾がイチジク浣腸の箱を取り出したのを見ると、鍾会は微かに身震いをした。
「…どうした? そんなに欲しいのか?」
「っ……」
論うように言われ、鍾会は顔を真っ赤にしながら目を逸らした。
元々敏感な身体を持っていた彼は、ここ数日毎日のように浣腸をされた事で、排泄行為での
妖しい快感を自覚するまでになっていたのだ。
「う…うぅ…、もう…、浣腸…は…、許して、くれ…っ……」
それでも、排泄を見られる事に対する抵抗感と、浣腸で感じてしまう自分への嫌悪感があるよ
うで、必死に中止を訴えている。
しかし、ケ艾は構わず尻たぶに片手を添え、肛門がよく見えるように広げながらイチジク浣腸
のノズルを潜り込ませた。
「んっ…!」
中身が腸内に流れ込むと、鍾会はそれに反応して小さな声を上げた。
彼は身体に力を入れ痴態を晒すまいと耐えているようだったが、堪えきれない悩ましげな吐息
が口から漏れていた。
「っ…、はぁ…っ……」
程なく全てが注ぎ込まれると、今度はノズルの代わりにアナルプラグが押し当てられ、ゆっくり
と挿入される。
「んぅっ…!」
ケ艾はプラグがしっかり嵌ったのを確認すると、一旦鍾会から離れ寝台の端に腰掛けた。
「鍾会殿。」
「…あ、あぁ…。」
鍾会はそう返事をすると、フラフラと寝台から下り、ケ艾の前に跪くような格好になった。
するとケ艾は、俯く鍾会の眼前に逞しく反り返る肉棒を突き付けた。
「うぅ……」
隆々と静脈が浮き出たそれを真正面から向けられ、鍾会は悲しそうに目を伏せるが、奉仕をし
ないと排泄を許可してもらえない事をここ数日で嫌という程教え込まれた彼は、やむなくといっ たようにそれに手を伸ばし顔を近づけた。
「…んっ、く……」
おずおずと舌を伸ばし、先端の部分を口に含む。
すると、それはますます質量を増し、先端から粘液を滲ませ始める。
「ふ…うぅ……」
口の中に広がる牡の味と匂いが、鍾会の身体の奥深くを疼かせ理性を削り取っていく。
「んんっ…、ふぁ…、んむぅ……」
嫌悪感しかなく嘔吐までした事のあるこの行為も、今では嫌がるのは最初だけで、いざ始めれ
ば寧ろ喜んで受け入れているようだった。
今にして思えば、そんな心境の変化を認めたくないから傲慢な態度をとっていたのだろうな…
と、ケ艾は鍾会の様子を見ながら思っていた。
「…さすが、鍾会殿は覚えるのが早いな。」
そう言われ頭を撫でられると、鍾会は笑みすら浮かべながらますます奉仕に熱を込める。
「ん…、っ……」
腹痛に耐えている所為か身体に汗が滲み、髪が額や頬に張り付いて被虐的な色香を感じさせ
ている。
そんな光景に興奮を煽られたのか、ケ艾の肉棒は限界まで張り詰めていた。
「ぅ……、ぷはっ…、こんなに…大きく……」
鍾会は一旦肉棒から口を離し、目の前でドクドクと脈打つそれを見つめる。
暫くそうして眺めた後、竿の部分を擦りながら鈴口を舐め上げ、再び先端を口に含んだ。
「んん…っ、ぐっ……」
便意が強くなってきたのか、太股をしきりに擦り合わせている。
その上、呼吸も荒くなっていて、肉棒の根元を握っている手も目に見えて震えていた。
ケ艾はそれを見て、これ以上我慢させるのは無理だと判断し、慌てて盥を手繰り寄せた。
「鍾会殿、これを。」
「ぁ…、うぅ……」
尻たぶの下に盥が置かれると、鍾会は縋るような視線をケ艾に向けた。
「…どうした? 出してもいいぞ。」
「っ…、でも……」
何度も見られたとはいっても、やはり排泄を見られるのはまだ強い抵抗があるようだ。
だが、仮に厠へ行く事を許されたとしても、今の状況ではとても辿り着けないだろう。
「っく…、ぅ……」
鍾会が諦めたように身体の力を抜くと、プラグが少しずつ抜けていき、ぐちゃっという音と共に
飛び出し盥に叩き付けられた。
「んぁっ…! い、嫌だ…っ、見るなぁっ!!」
栓が抜けると、堰き止められていた排泄物が音を立てながら吹き出した。
鍾会は耐えられないとばかりに耳を塞ぎ、ギュッと瞑った目からボロボロと涙を零していた。
「ひっ…く…、う…うぅっ…!!」
ケ艾はそのあまりにも惨めな姿に興奮を覚えながらも、鍾会の様子が落ち着くまで辛抱強く待
った。
「ぁ…うぅ……、ぐすっ……」
「…鍾会殿。」
ケ艾はある程度落ち着いた所を見計らって鍾会の腕を掴むと、そのまま身体を抱きかかえて
自分の膝の上に乗せた。
「あっ…、い、嫌だ…、ケ艾殿っ…!」
鍾会の性器は先端から透明な液を滲ませていて、先程までの行為で快感を覚えていた事を示
していた。
それを見られたくないと身を捩る鍾会を押さえつつ、尻たぶの間に手を滑り込ませる。
「ひぅっ…!」
薬液で滑る肛門に指を埋め込まれ、中を確かめるように掻き回されると、鍾会は小さく声を上
げ身体を小刻みに震わせた。
「んんっ…、嫌だっ…、い…やぁ……、っ…!」
ケ艾は一頻り腸内を弄り回してから指を抜き、代わりに拍動する肉棒を押し付けた。
「ひっ……」
先端でつつくように刺激され、鍾会は恥ずかしげに身体を震わせる。
ケ艾は震える背中に腕を回してしっかりと抱きしめながら、鍾会の中に少しずつ肉棒を埋め込
んでいった。
「ん…ぐっ……、うあぁ…っ!」
鍾会はどうにかして声を押さえ込もうとしていたが、肉棒の最も太い部分が肛門を押し拡げる
と、たまらず身体を反り返らせて悲鳴を上げてしまう。
排泄行為によって身体が昂ぶっていた所為か、内部がいつにも増して敏感になっているようだ
った。
「…動くぞ。」
ケ艾はそれだけ告げると、寝台の弾力を利用して思い切り腰を突き上げた。
「ひあぁっ…!!」
太いモノが奥の方を拡げる感触に、鍾会は叫び声を上げながら目を見開いた。
半ば強引に根元まで埋め込み抽送の勢いを強めると、内部が肉棒の動きに合わせるように吸
い付く。
「…だいぶ慣れてきたな。」
激しい突き込みにも関わらず、柔軟な粘膜がそれを問題なく受け止めている。
突けば突くほど肉棒に絡みつく内部の反応は、初めの頃とは明らかに違うものだった。
「ふぁっ…、んん…っ、ケ艾殿ぉ……」
鍾会の表情も戸惑ったものから恍惚としたものへと変わり、次第に甘い声も漏れ始めた。
それに加え、性器の先端からは透明な液が更に多量に分泌され、ケ艾の腹の辺りを濡らして
いた。
「んぁうっ…! ふ、深いぃ…っ…、ひあぁ…、変に…なるぅっ…!!」
鍾会はいつの間にかケ艾にしがみつくように腕を絡ませていて、一際身体が密着するような状
態になっていた。
「…変になっても構わないぞ、鍾会殿。」
そう言うとケ艾は、串刺しにするかのような勢いで深々と肉棒を突き込み、腰を大きく動かして
腸壁を擦り上げた。
「うあぁ…っ!! 中…っ、こ、擦れて……、あ…あぁ…!!」
寝台が軋むほどの激しい抽送だったが、鍾会の内部は直ぐにその動きに順応し、快楽を貪る
かのように肉棒に絡みついていく。
「鍾会殿…、気持ち良いか?」
「あ…、う…うぅ……、き、気持ち…いい…! んぁ…っ、ケ艾殿ぉ…!」
鍾会が懸命に絞り出したその言葉に、ケ艾は思わず口元を緩めた。
…というのも、鍾会が素直に「気持ち良い」と口にしたのはこれが初めてだったからだ。
「ふ…、そうか、それは良かった。」
ケ艾はそう言って笑みを浮かべながら、鍾会の中を蹂躙し射精欲を高めていく。
「あぁっ…!? だ、駄目だ…、ケ艾殿っ…、んひぃっ…、激しすぎるぅ…っ!」
鍾会は嬌声を上げながら激しく乱れ、今以上の快感を求めるようにケ艾の身体に回した手に
力を込める。
今までにはなかったその反応に、ケ艾も興奮を煽られ射精欲が限界まで膨らんでいく。
「…中に出すぞ、鍾会殿…っ!」
そう言われた瞬間、鍾会の内部がこれまでにないほどに締め付けを強めた。
「ふあぁっ…、中…ぁ…、い…やぁ…、らめえぇっ!!」
鍾会は身体の反応とは裏腹に拒否の言葉を叫ぶが、ケ艾はそれに構わず腸内の奥深くまで
肉棒を押し込み精を放った。
「ひっ……、あああぁ…っ!!」
ほぼ同時に鍾会の身体が激しく痙攣し、ケ艾の腹の辺りに白く濁った液を吐き出していた。
「んあぁ……、まだ…、出てるぅ……」
内部が肉棒の根元をぐいぐいと締め付け、ケ艾にも痺れるような快感が走る。
その感触を味わいつつ、最後の一滴まで腸内へ吐き出していく。
「ぅ……、あぁ…っ……」
鍾会はケ艾にしがみついたまま、恍惚とした表情を浮かべていた。
これまでの調教の成果を一層実感し、ケ艾は満足気に笑いながら鍾会の頭を撫でた。
「(…順調だな。そろそろ次に移るか…。)」
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