諸葛亮は自室の寝台の上で、仰向けに寝転がったまま茫然と天井を見つめていた。
だいぶ前に目は覚めたのだが、そこから起き上がる気力が沸かず、毛布にくるまったまま放
心していたのだ。
そんな事をしている間に、昨日のことが少しずつ思い出されてくる。
「私…は……」
例のテープを処分させようと姜維の部屋に訪れて、話をして…、それから…。
諸葛亮は顔を強ばらせ、その後の事は思い出したくない、とばかりに頭を振った。
昨日の夜、姜維が眠っている間に逃げるようにして部屋を出て、自室へ駆け込んだ事は覚え
ている。
それから毛布を被り泣いている間に眠ってしまったのだろう。
「……、姜維に…あんな所、見られるなんて…、私…もう……」
思い出してはいけない、と必死になればなるほど、昨日の情景が鮮明に思い出されてしまう。
あの後、姜維に犯され何度も絶頂に達して、そのうち抵抗する気力も失いされるがままになっ
ていた。
終いには自分から淫らに強請るような言葉を口走っていた事を思い出し、諸葛亮は顔を真っ
赤にして俯いてしまった。
「んっ……」
諸葛亮は不意に鼻に掛かったような声を漏らし、太股を摺り合わせていた。
昨日の出来事を思い出した所為で、ようやく冷めた身体がまた熱く火照ってしまったのだ。
「いけない…、こんな、事……」
しかし、そう思っていても、恥ずかしい場所が触って欲しいと言わんばかりに疼いてしまう。
「違う…、私は…そんな……」
『違いません。丞相は虐められて悦ぶ変態なんですよ。』
諸葛亮の頭の中で、姜維の声が響いた。
彼の声を思い出しただけでも、身体が疼き熱くなってくる。
「こんな……、だめ、なのに……」
諸葛亮にはもう、自分の手が恥ずべき場所に伸びていくのを止めることは出来なかった。
指を舐めて濡らし、唾液を潤滑油代わりにして肛門を解していく。
「っ…あ、あぁ……」
今まで何度もしてきた事なのに、何故か物足りなさを感じてしまう。
もっと熱く逞しいモノを欲しているのだと気付いてしまい、諸葛亮は涙ぐんだ。
「そ、そんな…、私…、どうして…!」
二本の指を埋め込んで動かしてみるが、感じる場所を上手く刺激することが出来ずもどかしさ
が募るだけだった。
「嫌…ぁ…、届かない…、おかしく…なる……」
中をグチュグチュと掻き回しても、前のように絶頂に達する事が出来ない。
諸葛亮は指を一旦抜き取ると、毛布を取り払うようにして起き上がり、何かを探すように部屋を
見回し始めた。
机の上に羽扇を見付けた時、諸葛亮は思わずそれに手を伸ばした。
「…これなら……、きっと……」
諸葛亮は食い入るように羽扇を見つめたかと思うと、こともあろうにその羽扇の柄を唾液で濡
れている肛門にねじ込んでしまった。
「うあぁ…っ!! す、凄い……、擦れ…る……」
姜維のモノには遠く及ばないが、指よりも強い刺激を得る事は出来たようだ。
それに加え、自慰をするために自分の所有物を使ってしまったという背徳感が、諸葛亮の理性
を削り取っていく。
「んぁ…、くぅっ…、う…ぅっ……」
羽扇を手でしっかりと持ち、柄で腸内の感じる部分を探すように何度も出し入れを繰り返す。
やがてその部分を見つけると、諸葛亮はそこをぐっと抉りながら背中を丸めて身悶えた。
「あひぃ…! う…ぐぅっ……、い…いっ…! 感じるっ…!!」
卑猥な音を立てながら抜き差しされている羽扇の柄が、分泌物で濡れ光っている。
「んん…っ…、姜維……」
諸葛亮は無意識のうちに、姜維にされた事を反芻するように手を動かしていた。
『丞相、ここが気持ち良いんですか?』
「う…あぁっ…、姜維…、そこ、気持ち良い…です…、」
姜維にされているのだと思えるように、彼の声を何度も頭の中で再生しながら羽扇を握る手の
動きを加速させる。
すると、次第に諸葛亮の身体が小さく震え始め、追いつめられたような声が漏れ出す。
「っぐ…、うぅ……、もう…すぐ……、っん……!」
柄をぎりぎりまで抜き、一気に埋め込むと同時に、諸葛亮の背筋が大きく仰け反った。
「ひ…ああぁっ……! 姜維…っ!!」
思い人の名前を叫びながら、諸葛亮は白濁液で敷布を汚していた。
小刻みに痙攣を繰り返す身体が頽れ、肛門に突き立てられていた羽扇が抜け落ちていく。
「あぁ…ぁ……、はぁ、はぁ……」
絶頂の余韻と、少しの物足りなさを感じながら、深く呼吸をして息を整える。
頭の中の靄が晴れていくに連れ、彼の目から涙が溢れ出て、敷布を濡らしていった。
「う…、ううぅ…っ! 姜維…が…、欲しい…!」
もう、自分を誤魔化すことなど出来なかった。
昨日のように、何も考えられないくらいに激しく犯して欲しい。
不意に、初めて犯された時に姜維に言われた言葉が諸葛亮の頭の中で響いた。
『…丞相のお望み、私なら全部叶えてあげられます。』
「私…っ…、本当は…、嬉しかったのに…! ひ…っく…、姜維…っ……、う…わあぁっ……、
ごめん…なさい……」
諸葛亮は敷布に顔を埋めたまま、震える声で謝罪の言葉を口にしながら暫く泣き続けていた。
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