「……開いてますよ、どうぞ。」
自室の扉を叩く音が聞こえると、郭淮は書簡に目を通しながらそれに応えた。
しかし、入ってきた人物の姿を確認すると、あっ…と小さく声を漏らした。
「…夏侯覇殿……」
「……」
夏侯覇は何も言わず、険しい表情のまま郭淮に近づいていく。
殴られると思った郭淮はギュッと目を瞑るが、夏侯覇はそんな郭淮に縋るように抱きついた。
「えっ……!? か、夏侯覇殿っ!?」
押し倒されるような形になり、鈍い痛みを感じる位強く抱きしめられる。
郭淮が思いもよらない事に戸惑っていると、夏侯覇が何かを訴えかけるような目を向けた。
「ぅ…!?」
「………して、欲しい……」
「え…? 何と……?」
大きな瞳を見つめたまま困ったように聞き返すと、夏侯覇は頬を赤く染めながらもう一度声を
絞り出した。
「…あの時みたいに…、して欲しい…!」
「な…っ、何を…言って……」
夏侯覇は郭淮が困惑しているのを見ると、目に涙を浮かべながら矢継ぎ早に訴え始めた。
「だって…、自分でしてもあの時より気持ち良くなれなかったんだ…! だから、郭淮…、何して
も良いから…、俺のこと、気持ち良くして…!」
涙声で訴える夏侯覇に、郭淮は恐る恐る質問を投げかける。
「夏侯覇殿…、私で良いのですか…? …あんな事をした私を許して下さるのですか…?」
先日の行為自体も勿論だが、行為の後置き去りにした事や、ここ数日彼を避けるような行動を
取っていた事もあり、激しい罪悪感を感じているようだった。
だが、夏侯覇は気にしていないとばかりに笑みを浮かべ、郭淮の問いに対して頷き返した。
「…ん。あの時の郭淮…ちょっと怖かったし、何でこんな事するんだろうって思ったけど…、俺
さ、郭淮の事…好きだから。…それに、凄く気持ちよかったし……。」
夏侯覇が照れながら言ったその台詞は、郭淮の理性を焼き切るには充分すぎた。
郭淮は自分にしがみつく夏侯覇の身体に腕を回すと、あっさりと上下を逆転させてしまう。
「ありゃ…、…そっか、郭淮って結構力あるんだよな。」
「はは…。では、寝台に乗せますね。」
郭淮はいとも簡単に夏侯覇を抱え上げ、寝台の上にそっと横たえた。
そのまま上に覆い被さり着物に手を掛けた所で、夏侯覇の懐に何かが入っている事に気が付
いた。
「……?」
「…あ、これ…は…、その…、郭淮の薬箱にあったのを勝手に持って来ちゃった…。」
懐から転がり出てきたのは、数日前郭淮が厠に置いていってしまった薬箱に入っていたイチジ
ク浣腸だった。
夏侯覇は青色の小箱を握り締めながら、頬を赤く染めて謝罪の言葉を口にした。
「ご、ごめん……」
「…そ、それは、もしや……、私に…して貰おうと…!?」
郭淮が震える声で言うと、夏侯覇は更に顔を赤くして控えめに頷いた。
「(ああぁっ! か、可愛い…!!)」
郭淮は悶絶しそうな所を必死に我慢し、夏侯覇の手から小箱を抜き取った。
「郭淮…?」
「とても嬉しいですが…、勝手に持って来てしまった事に関しては、お仕置きをしなければなりま
せんね。」
「お仕置き」と聞いた途端夏侯覇の表情が期待するようなものに変わり、郭淮は少し驚いた後
わざとらしく溜め息をついた。
「…まったく、お仕置きだと言っているのに…。」
郭淮はそう言いながら、夏侯覇に四つん這いになるように促す。
すると夏侯覇は、嫌がる素振りも見せず言われた通りの姿勢になり、自分で着物の裾を捲り
上げた。
「ご自分で捲るとは…、まぁ、手間が省けましたが……、ん?」
毛を掻き分けるようにして肛門に触れた時、郭淮の手が止まった。
その部分がまだ何もしていないというのに滑っていて、柔らかく解れていたからだ。
「…何故、貴方のここはこんな風になっているのですか?」
「っ……!! …それは…、その…、…さ、さっきまで、自分で………」
四つん這いにさせたため夏侯覇の顔は見えなかったが、語尾が震えていて、彼が恥ずかしが
っている事だけははっきりと分かった。
「(…自慰を途中で止めて、わざわざ私の所に…!? 何といじらしい…!!)」
郭淮はまた悶絶しそうになるのを堪えつつ、手に力を込めて指を埋め込んでいった。
「あ…っ!」
夏侯覇の中は熱を持っていて、滑った粘膜が待ち構えていたかのように吸い付いた。
つい先程まで自分で弄っていたと言うだけあって、そこはすぐに馴染んで指を根元まで咥え込
んだ。
「(ふむ…、浣腸をするだけならこれで充分ですが…、もう少し拡げましょうか。)」
中の感じる部分を擦るようにしながら、指を二本に増やして軽く抽送する。
夏侯覇はそれだけでも体を震わせ、腸壁を痙攣させて甘い声を漏らした。
「ふぁっ…、そ、それ…、もっと…!」
夏侯覇に催促されるがまま、郭淮は更に指を増やして内部をグチャグチャと掻き混ぜ始めた。
「あ…あぁっ…、やっぱり…、自分でするより…気持ちいい…!」
「…多分、ご自分ではなかなか指が届かないからでしょうね…、こことか。」
郭淮がそう言って内部の敏感な部分を指先で擦り上げると、夏侯覇の背筋から首にかけて痙
攣が走った。
「うあっ…!? そこ…、だめぇ…っ!」
「おや、駄目ですか? それなら抜きますが……」
「…っ! や、やだ…! 抜かないで…、もっとして…!!」
自分の中から指が抜かれるのを感じた夏侯覇は、必死に括約筋を食い締めてそれを止めよう
とする。
郭淮はその様子に満足気な笑みを浮かべ、引き抜きかけた指を再び埋め込んでいった。
「んうぅ…っ!」
三本の指を根元まで埋め込み、敏感な部分を撫でるように擦ると、夏侯覇の身体がビクビクと
小刻みに震え始める。
「う…ぁっ……、もう…、い、イキそう……」
しかし、その言葉を聞いた郭淮は、夏侯覇が達する寸前という所で指を引き抜いてしまった。
「ぁ…、え…っ?」
絶頂寸前で意識を引き戻され、夏侯覇は戸惑った目を後ろにいる郭淮に向けた。
「うぅ……、何で…、俺、もう少しで……」
「…まだお仕置きも済んでいないというのに、自分だけイクだなんて許しませんよ。」
そう言いながら青色の小箱を開けイチジク浣腸を取り出した郭淮を見て、夏侯覇は先日の事
を思い出し期待するように体を震わせた。
「(やれやれ、夏侯覇殿にしてみればこれはお仕置きではなく御褒美でしたね…。まぁ、どちら
でも構いませんが。)」
そんな事を考えつつも、郭淮は嬉しげな表情を浮かべながらイチジク浣腸を近づけていく。
「では、入れますよ。」
ノズルを奥まで潜り込ませて容器を握り込み、火照った粘膜に冷たい薬液を浴びせると、夏侯
覇は悩ましげな声を漏らしながらそれを受け入れた。
「ひっ…、あぁ…んっ!」
「(浣腸されただけでこんな声を出すとは…。)」
空になった容器を抜き取り、部屋の隅に置いてあった盥を寝台の上に乗せる。
それが丁度臀部の下に置かれた事で、夏侯覇は郭淮の意図を理解して複雑そうな表情を浮
かべた。
「(…また、郭淮に見られちゃうんだ…。恥ずかしい…、けど……嫌じゃない…。)」
そうしているうちに薬液の効果が現れ始めたようで、夏侯覇は太股を擦り合わせながら苦しげ
な声を漏らした。
「ぁ…うぅ……」
「お仕置きですから、この間より長い方が良いですね。…十分、我慢出来ますか?」
「っ…!? そ、そんなの無理だよぉ…!!」
夏侯覇が泣きそうな声で言うと、郭淮はその言葉を待っていたと言わんばかりに目の前に突き
出された尻に手を添える。
そして、浣腸の刺激でひくひくと蠢く肛門に肉棒を押し付け、先端で括約筋をこじ開けるように
つつく。
「な、何…してるんだよ…、郭淮……」
「夏侯覇殿が我慢出来ないと仰ったので、私のモノで栓をしようかと。」
「え……」
何か言いたげに振り向いた夏侯覇を無視するように、郭淮は肉棒の先端を潜り込ませた。
「っ…、ああぁ…っ!!」
事前に念入りに解しておいただけあって、それほど手こずる事もなく根元まで呑み込まれてい
った。
夏侯覇の内部は縋るように肉棒を締め付けているが、同時に押し出すようにも蠢いている。
「ふむ…、相変わらず良い反応です。」
「う…うぅ…、苦しい…っ!」
そう言いつつも、性器の方はしっかりと反応していて、先端に透明な液を滲ませている。
郭淮は自らの手でそれを確認すると、指先に付いた粘液を舐め取り、ゆっくりと腰を動かし始
めた。
「ひっ…! あうぅ……、ぅ…、動いちゃ…だめぇ……」
排泄欲に苦しみながら犯されるという異常な状況ではあったが、夏侯覇の身体は確実に快感
を覚えていた。
「…そんなに締め付けられては、私とて我慢出来ませんよ。」
薬液と抽送の刺激によって腸壁が忙しなく痙攣し、肉棒をぎゅうぎゅうと締め付けている。
それは夏侯覇の意志ではなく、薬液もろとも腹の中を掻き回され、痛みと快感が綯い交ぜにな
っている所為だろう。
「や、やだ…、お腹…おかしくなりそう…、もう出したい…!」
「まだ十分経ってないでしょう。気を紛らわせてあげますから、もう少し我慢して下さい。」
郭淮がそう言いながら中の敏感な部分を擦り上げると、夏侯覇は外にまで響く程の嬌声を上
げた。
「あひぃっ!! そ、そこは…っ…、んっ、あぁっ…!」
浣腸の感覚でも少なからず快感を得ていた事に加え、弱点を執拗に抉られ、夏侯覇の中の苦
痛が快楽に塗り替えられていく。
「ふあぁ…! だめぇ…、お、おかしくなるぅ…!!」
「…そんなにここが良いのですか? 中が吸い付いてきますよ。」
結合部分からぐちょぐちょと浅ましい水音が響き、夏侯覇の嬌声とも相まって郭淮の興奮を煽
った。
「ぁ…、んぅっ…、苦しいのにぃ…、い、イキそう……」
「…では、もう止めたりしませんから思う存分どうぞ。」
郭淮は夏侯覇の腰をしっかりと掴むと、今までよりも激しく腸壁を擦り上げ、何度も奥に肉棒を
叩き付けた。
「あ…ひいぃっ…!! お腹…痛い……、けど…っ、いい…、気持ちいいっ! もうだめ…っ、
イクぅ…っ!!」
夏侯覇は敷布を強く掴みながら身体をがくがくと震わせ、あられもない声を上げながら達した。
それによって腸内が更にきつく締まり、郭淮のモノを痛い程に締め付ける。
「(うぅっ…、ここはまだ我慢しなければ…!)」
郭淮は射精欲をぐっと堪え、夏侯覇の呼吸が整うのを待たずに抽送を再開した。
「ふぁ……、あっ…!? な、何…っ…、ひぅっ!!」
これで苦しさから解放されるのではと思っていた夏侯覇にしてみれば、郭淮の行動は予想だに
出来ないものだった。
「夏侯覇殿はこれが気に入ったのでしょう? 折角ですから、このまま楽しみましょう…。」
「な…っ!? そ、そんな…、嫌だぁっ!! もう出したいのにぃっ!!」
「ふふっ…、遠慮せず味わって下さい。」
夏侯覇の泣き叫ぶ姿に嗜虐心を煽られたのか、郭淮は容赦なく肉棒を突き込み始める。
すると、すぐに夏侯覇の身体がビクビクと不規則に痙攣し、腸内が再び肉棒を締め上げた。
「ぁ……、あぁ…っ……」
「くっ…!? これは…?」
どうやら、快感のあまり射精の伴わない絶頂に達したようだ。
郭淮はそれを確認すると「ふぅ…」と息を吐き、仕切り直しとばかりに抽送を再開する。
「あひっ…、もう…やだぁ……、出したい…、ひぅ…っ…、もっとズボズボしてぇ…っ!!」
「…どちらですか。出したいのかこのままが良いのかはっきりして下さい。」
「う…あぁ……、ごめん…なさい…、もう…わかんないよぉ…!!」
強烈な快感が脳内を塗りつぶしているからだろうか、郭淮を見つめる視線が定まっていない。
そのような状況だというのに今以上の快感を強請るように肉棒が締め付けられ、さすがの郭淮
も少し驚いたようだった。
…排泄を封じられたままでも、解放され排泄をしても、今の夏侯覇にとっては快感にしかならな
いだろう。
「…そうですか、では、後は私に任せて下さい。」
「え……? あ…、うあぁっ! もう…らめぇっ!!」
夏侯覇が発する嬌声を心地よく聞きながら、郭淮は更にその身体を蹂躙していった。
「ふぅ〜〜、凄く気持ちよかった! ありがとう、郭淮!」
「……そ、そう…ですか…、それは…良かっ……、ごほっ、ごほ……」
「それにしてもさぁ、郭淮ってヤッてる時だけ性格変わるよなー。いやいやいや、俺的には全然
ありだけど。」
すっかり満足して満面の笑みを浮かべる夏侯覇とは対照的に、郭淮はぐったりと疲れ果てた
様子で寝台に横たわっていた。
途中までは夏侯覇の方が郭淮にされるがままだったが、いつのまにか立場が逆転したように
なり、最後には力尽きた郭淮の上に夏侯覇が跨って「チ●ポ硬いしまだ全然イケるだろ!」な どと言いながら強引に搾り取っていったのだ。
「(夏侯覇殿は体力があるという事を…忘れていた……)」
「…あ、あのさ、郭淮…、また…したくなったら…、来てもいい?」
「うっ……」
郭淮が返事に困っていると、夏侯覇は大きな瞳に涙を浮かべながら強請るような視線を向け
た。
「……だめ?」
泣きそうな表情で「お強請り」され、郭淮の迷いはあっさりと吹き飛んでしまう。
「わ、分かりました…、またどうぞ……」
「やったー!!」
「(…私の身体…、大丈夫だろうか……)」
そんな事を考えながら、郭淮は襲ってきた睡魔に逆らうことなく目を閉じた。
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