議会ニュースNo.006プラス


2003年第4回定例会  一般質問 2003.12.3

青年の雇用対策を強めるとりくみ等について

7番 梶 雅子

 青年の雇用対策を強めるとりくみ等について、一般質問いたします。

 大きな一番目は、青年の雇用対策を強めるとりくみについてです。
 総選挙前の9月に小泉第2次改造内閣がスタートしました。
 小泉内閣は「構造改革」で「痛みのさきに明日はある」と打ち出しました。しかし、「構造改革」路線は破綻し、国民ばかりに痛みを強いるものでした。
 とりわけ重大なものは、健康保険法の改悪です。健康保険本人の医療費負担を2割から3割に引き上げ、高齢者の医療費負担も定額負担から1割定率負担を基本に一部高所得者には2割負担とし、保険料のアップも盛り込む医療制度の大改悪でした。
 医療費改悪の負担増に加え、介護保険料の引き上げ、年金給付額の引き下げ、発泡酒・ワイン等の増税、配偶者特別控除の廃止、中小・零細業者の負担を重くする消費税の免税点の引き下げなどが、今年度から来年にかけて波状攻撃の形で国民のくらしを直撃し続けています。
 経済の面では、大企業のリストラ応援・奨励政策によって、戦後最悪の規模での雇用不安と所得低下がつくられています。小泉政権のこの2年半に失業者は新たに30万人増、企業倒産は年間2万件。この5年間、サラリーマンの給与は連続減少、一方で自殺者は連続3万人を突破。小泉内閣の2年半は、くらしと平和と憲法を破壊してきました。こんな事態にはまったく無反省で、これまでのアメリカ言いなり、憲法改悪、くらし破壊、国民犠牲の「小泉路線」をいっそう推進する体制が第2次改造内閣です。
 こうしたもとで、日本共産党はくらしと経済を再建し、国民が主人公の政治にするために提言をしています。今回は、大企業のリストラとこれを支援する小泉「構造改革」の痛みが若い人に鋭くあらわれている雇用問題をとりあげます。
 総務省が11月28日に発表した労働力調査によると、10月の完全失業率は前月より0.1%悪化し5.2%になりました。特に15〜24歳層の完全失業率は9.2%です。大学生の就職内定率は10月1日現在60.2%、高校生の内定率は10月現在53.4%と、学校を卒業しても就職できない若年未就職問題は深刻の度を増しています。
 就職するために、それぞれが必死の努力をしています。しかし、いまの就職難は、個人の努力では解決できない特別な問題をはらんでいます。それは1)今の就職難の規模と内容は、これまで日本が経験したことのないほど深刻なこと。2)点目にそうした深刻さは、普通の経済活動から生まれたのではなく、大企業の人減らし・合理化と、それを応援した小泉内閣によって意図的に作り出されたことです。しかも、3)点目に法律違反のサービス残業や過労死を生む長時間労働といった、ルール破りの無法と結びついているという点です。
 日本共産党は、政府や財界・大企業の責任を追及し、深刻な青年の就職難を生み出したおおもとである政府の姿勢を変え、財界・大企業の横暴を追及し、国民の皆さんと力を合わせて解決のために努力をしています。
 こうしたなか、いわゆるフリーターの激増が注目されています。内閣府の『国民生活白書』(2003年版)は、「働く意思はあるが正社員として就業していない青年」をフリーターととらえ、1995年の248万人から、2001年は417万人に増加したと指摘しています。
 今日のフリーターは、その数が増えただけでなく、1)やむをえずフリーターになった人が多く、正社員になりたかった人が7割もいる、2)学校を卒業して、最初からフリーターになる人(新卒フリーター)が増えている、3)一度フリーターになると、なかなか正社員になれない、4)フリーターの期間が長期化し、年齢が高くなっている、などの特徴が報告されています。フリーターを、かつては「青年の自分探し」などと見るむきもありましたが、いまではまったく状況が変わり、正社員になりたくてもなれなかった青年が、やむをえずフリーターになっている大変つらい状態です。
 このように、いまの青年の就職難は、日本が今まで経験したことがないほど深刻なもので、一人ひとりが、いくらがんばっても、とても解決できない社会的大問題なのです。
 こうした異常な就職難には、特別な原因があると、日本共産党は分析しています。1995年と2001年を比べると、中小企業は全体で3万人の青年の正社員を増やしているのに、大企業は108万人もの青年正社員を減らしています。この大企業の人減らしが、青年の就職難の最大の原因なのです。
 「不況だから、人を減らすのは仕方がない」「企業には労働者を雇用する力がなくなっている」といった意見があります。いまの不況は深刻で、倒産する企業もたくさんあります。しかし、不況の影響を一番受けている中小企業が、全体として青年労働者を増やしているのに、大企業は新規採用を大幅に減らし、青年の正社員雇用を激減させています。しかも、大企業は、雇用者数を減らすと同時に、職場に残った労働者には長時間労働・サービス残業をおしつけて、人件費を大幅に削っています。
 その結果、不況なのに大企業だけは、ばく大な利益を上げているのです。銀行・証券・保険会社をのぞく大企業1064社の02年度の決算では、売上高は前年比でわずか1%増にもかかわらず、経常利益は61.3%もアップしています。トヨタ・日産など自動車メーカーの上位4社は、昨年度、これまでで最高の利益です。「不況だから」は、リストラ・人減らしの口実です。雇用する力がないのではなく、雇用を減らすことで利益を増やしているというのが現実なのです。
 リストラしながら、利益を上げることを可能にしているのは、違法なサービス残業の横行、過労死を生むほどの長時間労働が蔓延しているからです。青年の深刻な就職難と、現場での異常な長時間労働、違法なサービス残業が、セットになっているという点は非常に重要です。いっそうの利潤拡大をもとめる大企業が、リストラ・人減らしを強引に進めた結果、就職難と長時間労働の両方を生み出したのです。このリストラと長時間労働をセットでという方向は、個々の企業の対応ではなく、財界主導の方針です。各企業は、その大方針のもとにリストラを競い合ってきたのです。
 こうした財界・大企業の横暴を応援してきたのが、小泉内閣です。小泉内閣は、就職難を青年の意欲の問題だと突き放してきました。99年作成の雇用対策基本計画では「青年の転職志向のたかまりが顕著で自発的離職が多く、大都市を中心に学校卒業後、無業者が就職者を上回っている例も見られる」としています。つまり、青年が転職をもとめ、自分から仕事をやめるのだという、若者の働く意識が低いことを理由にしてきました。
 こうした理解ですから、政府の政策は、もっぱら青年の意識改革と能力向上への支援に限られ、政府の雇用対策費は諸外国に比べて極端に少ないのです。いま、政府も事態の深刻さと解決を求める世論・運動の前に、小泉首相も「看過できない大事な問題だと思う。ご指摘の点も踏まえて雇用対策に力をいれていきたい」と述べざるをえなくなってきています。(03.7.23党首討論)
 青年の就職難がこのまま続けば、日本社会の継続的な発展がおびやかされます。青年が経済的に自立できない、結婚して家庭を持ち、子育てをすることもできない、こうした事態が構造的に作り出されているわけで、日本社会の存立基盤が掘り崩されているといってもいいと思います。青年の正社員が少なくなって年金や保険料の徴収が減少し、社会保障制度を支える基盤がやせ細っていくことも起こってきます。
 さらに、産業や企業の将来にとってもマイナスです。いま大企業ほど若者の割合が減少しています。そうなると、企業がこれまで蓄積してきた技術やノウハウを受け継ぐ若者がいない。青年期、仕事や技術を身に付けるのに一番大事なときに、フリーターで職を転々とする、企業からまともな研修も教育もない。いまの企業は、労働者を「育てる」という発想を全く放棄して、使い捨てにしています。人間はものではありません。
 このように、青年の就職難は、青年だけの問題ではなく、日本の将来、社会や産業の未来がかかった大問題であり、その解決には社会全体が力を合わせることが必要です。
 そこで、以下について質問します。
(1) いままで述べてきましたように若者が夢と希望をもてる日本にすることは政治の責任です。市長はあらゆる機会をとらえて国に対し政府の責任として青年の雇用を増やすよう、対策に本腰を入れて取り組むことを要請することを強く求めます。
 また、青年の就職難は、青年だけの問題ではなく、日本の将来、社会や産業の未来がかかった大問題であると考えますが、市長の見解を伺います。

 日本共産党武野市議団は、9月29日にハローワーク三鷹で聞き取り調査をしました。聞き取り調査をもとに、10月7日に市長に対し、「青年の就職難解決のために武蔵野市としての特別対策を」申し入れました。市長は、市の施設使用に関してはハローワークからの要望があれば前向きに検討したいとの回答でした。私は、市長の回答をもって11月20日に再びハローワークと懇談をしました。また、11月6日の武蔵野市2004年度予算編成に関する会派要望でも、「青年の就職難解決のために武蔵野市として特別対策をこうじること」を要望しました。そこで、以下、武蔵野市が取り組める施策と努力について質問いたします。
(1)武蔵野市が主催もしくは共催をし、市の施設を提供し、求人自己検索装置の設置、面接相談会、若年者向き面接会など、ハローワークなどの就職情報が得られる場を拡大することを求めます。
(2)NHKのテレビでも放映していましたが、履歴書や職務経歴書などの記入欄にある、なぜわが社に就職したいのかなどの書き方などで、書類選考で落とされ、面接にまでいけないという深刻な実態だそうです。市として青年の就職活動を支援する一環として履歴書・職務経歴書の書き方などを内容とする市民講座をハローワークなどと連携し開設するよう求めます。
 現在の雇用状況は、このような講座を開かなければならないほど深刻な状況であることを市長は理解しているでしょうか。
(3)市内の企業に、例えばトライアル雇用主になるなど雇用を増やすように働きかけることを求めます。ご承知のことと思いますが、トライアル雇用とは、ハローワークの紹介により、企業に原則3ヶ月雇用され、その間に仕事をする上で必要な指導などを受け、その後の本採用への移行をねらいとするものです。トライアル雇用中は雇用された若者には賃金が支給され、企業には奨励金が支給されます。ぜひ、市内の企業にPRするなど本腰を入れてとりくむことを要請します。

 大きな2点目として「良好な住環境の確保について」質問します。

 武蔵野市は、高質な都市をめざして、用途地域等見直しの「武蔵野市素案」をまとめました。武蔵野市は市の80%が住居専用地域であり、50%が第一種低層住居専用地域です。素案は、1)住環境の保全及び向上に配慮し、安易な緩和は行はない。2)都市活力の維持・発展と住環境等の調和に配慮する。3)都市基盤の進展等を勘案しながら適切な見直しを行なう。という3つの基本的な考え方でとりまとめたとしています。また、素案では新たに敷地面積の最低限度を導入しました。ゆとりある住環境の保護・形成を図る観点から、敷地の無秩序な細分化を防止するためとしています。
 しかし現実には、敷地は広くても、法律上は適正で、境界すれすれに建つ建物、出窓などの問題で隣地とのトラブルがあります。けして良好な住環境とは思えない例をかず多く見ています。そこで、以下のことを質問します。
(1)用途地域等の見直しについては、三つの基本的な考え方を示し検討してとりまとめていますが、第一種低層住居専用地域は、さらに潤いと安らぎのある町づくりとなっていくのか市長の見解を伺います。
(2)住宅地域での新築および増・改築の場合、良好な環境を守るために隣地境界線について、建物の壁面距離などを明記した条例を制定することを求めます。
(3)市民は、隣家の新築・増改築など建築上の問題が発生したとき、市役所のどこの部または課に相談したらよいのかわからないという苦情がよせられています。また市民が相談にくるときは切羽詰ったときです。
 法律的に合法建築なら許可されることは当然です。私がここで強調したいのは、市民が相談に来たときは、市職員は市民と行政のパイプ役として、たとえそれが法律では許可されているとしても、市民の立場に立ち親身になって市民の声に耳を傾け良き相談役になってもらうことです。そのことを強く求めるとともに、建築に関する諸々の市民の相談を受ける窓口を開設することを要請します。

 市長の誠意ある答弁を求めて質問を終わります。