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一般質問全文No.023 12月議会一般質問全文


保育行政について

今回は、保育行政について一般質問いたします。



最初に大きな1番目として、国の保育政策の動向について触れ、市長の見解を求めます。

1点目は、社会保障審議会少子化対策特別部会第一次報告(以下「第一次報告」と言います)が今年2月に公表されました。日本の保育所制度や福祉・社会保障制度の根幹を覆す内容のものですが、市長としてこれをどのように評価し、今後どのように対応していくつもりか。また、社会福祉基礎構造改革についての市長の見解をお尋ねいたします。

第2点目は、市長は、現行保育所制度の公的責任と積極面についてどのように理解しているかを伺います。全国の保育関係者は現行の保育所制度を守れと要求していますが、現行の保育所制度と「第一次報告」とは何がどのように違うのか、公的責任とは何か、また、現行制度の積極的な利点とはなにかについて市長の認識を伺います。

第3点目は、「第一次報告」が実施された場合、市町村の役割はどのように変わると認識しているかを伺います。この点は今後の武蔵野市の保育行政の方向性を知る上で重要な点であると考えますので明解な答弁をお願いいたします。




次に大きな2番目の質問として、公立保育園の民間委託化問題について伺います。全部で9項目あります。

第1点目に、「第三次子どもプラン武蔵野中間報告」(以下、「中間報告」といいます)が11月10日に発表されました。その中で、公立保育園の民間委託化(=運営主体の変更)を打ち出しています。「中間報告」を「第四期長期計画・調整計画」(以下、「長期計画」と呼びます)のアクションプランとして位置づけています。しかし、「長期計画」は、保育園の民間委託化の方針をかかげてはいません。公立保育園の民間委託化をアクションプランにかかげることは、市民参加や議会意思をも踏みにじる暴挙であり、重大な間違いであると考えます。

公立保育園の民間委託化について「長期計画」は、「公立という設置形態を維持しながら質の向上と効率性を推進するという従来の方式を検証しつつ、様々な形態を検討することも、今後の課題である」というように、あくまでも今後の「検討課題」としています。

そのために、市は「公立保育園改革計画」(平成16年)に基づき、外部委員を含む公立保育園改革評価委員会を設置して「武蔵野方式」と呼ばれる改革をすすめ、公立保育園は保育水準を引き上げるなど様々な改革に取り組んで成果を得てきたことはご承知のとおりです。

こうした取組みの到達点こそが今期の「長期計画」の検討課題であり、「長期計画」に参画した市民も私たち議員もそのように認識をしています。もし、邑上市長が方針の大転換を図り、どうしても民間委託化をすすめたいというのならば、改めて市民に問い直し、次期「長期計画」の課題とするのが手順なのではないでしょうか。市民を真ん中に、と常々言われる市長の納得のいく答弁を求めます。

第2点目は、「第三次子どもプラン武蔵野」の民間委託化計画は、5月に庁内に設置した「武蔵野市公立保育園の役割及び認可保育園の運営形態を考える委員会」(以下「庁内委員会」と呼びます)の提案を反映したものです。これだけ大きな方針転換であるならば、保育園の保護者、民間保育園を含む保育園関係者、長期計画の策定にかかわった人々、市民などに事前に広く意見聴取をするべきです。しかし、残念ながら庁内委員会のみで提案をまとめるというやり方は、これまで市長が標榜してきた市民参加の市政とは逆行するもので、断じて認めるわけにはいきません。市長は、一方では「民間委託をやると決まったわけではない」と含みのある発言をされていますが、「中間報告」のパブリックコメントやヒヤリングだけではなく、もう一度市民や保護者、民間保育園を含む保育関係者、専門化などに計画案をつくるところから意見をじっくり聞くための場を設定し、計画の市民論議を深める必要があると考えますが如何でしょうか。その中で、保護者や保育関係者を始め多くの市民から、公立保育園の民間委託化反対の声が寄せられれば市長は民間委託化計画を見直すべきだと考えますが見解を求めます。

また、この間、どのような団体や個人からどのような意見が寄せられているかについても併せてお尋ねいたします。

第3点目は、「中間報告」に関連して市長の見解を伺います。市長は、公立保育園が果たしてきた役割についてどのように認識しているのでしょうか。「中間報告」は多様なニーズに対して先駆的に取組み、保育水準を引き上げてきたと述べていますが、これはさらに発展させる課題ではないでしょうか。改定保育所保育指針でも保育の質の向上は最重要課題の一つに位置づけられていますが、公立保育園のこれまでの成果を踏まえていっそう質の向上に努力するべきではないでしょうか。

あるいは、市長はもうこれでよいと考えられているのでしょうか。市長の見解を伺います。また、民間委託化によってこの水準をさらに発展させることができるとお考えならばその根拠を明確にお示しください。

第4点目は、保育の質について伺います。保育の質と言うことが「中間報告」でも安易に使われていますが、定義は極めてあいまいです。この定義があいまいなままだと民間委託化の可否についての検証もあいまいなままになります。市長は保育の質を高める要素についてどのように認識されているか、明確な答弁をお願いします。

第5点目は、民間委託化の理由に公民コスト格差を挙げており、依然として公立保育園のコストが高いと述べています。これは低いコストにあわせていくという論理です。市長は、公立保育園のコストが高い分は保育の質には関係していないから切り捨ててもかまわないとお考えでしょうか。また、保育の質を公立保育園と同じように維持向上するために民間保育園のコストは足りているとお考えでしょうか。さらに、民間保育園の財政的運営課題はどこにあるとお考えでしょうか、答弁を求めます。

第6点目は、「中間報告」は、民間委託化によって財源を生み出し、他の子ども関係の予算に充当すると述べていますが、まずどれくらいの財源を確保することを想定しているのか伺います。

また、大きな財源削減を伴う公立保育園の民間委託化は、保育の質の低下を招くことは疑いの無いことと考えますが、コストを引き下げても保育の質を高められる根拠について伺います。

第7点目は、「中間報告」は民間委託化によって保育の質を維持し、子どもと保護者に不安を与えない手法として、@保育士の大幅入れ替えがなく、保育内容、保育体制を継続できること、A経験豊かな保育士がバランスよく配置されていること、B市の関与が行なえること、の3つの条件を示しています。この3つの条件を実施しながらコストを削減するための条件とは何かについて現行との比較で伺います。

第8点目は、一般の法人ではその条件を満たすことが困難であると述べています。一般の法人では施設整備費などの補助対象となっている法人は社会福祉法人、日本赤十字社法による特殊法人、公益財団法人、公益社団法人、学校法人に限定されていますが、それ以外の財政援助出資団体に委託するということであれば補助金は出ません。これでは3つの条件を満たすどころか保育所運営そのものが困難になるのではないでしょうか。

仮に補助対象法人であったとしても、公共性、透明性を確保するためには「公私分離の原則」が適用されるべきだと考えますが、市長の明快な答弁を求めます。

第9点目に、民間委託化の理由として、もう一つあげているのが市の財源が不足するというものがあります。過去5年間の一般会計枠は560億円です。過去10年間だと550億円の枠です。今後20年間の一般会計枠を530億円とした根拠を示してください。




大きな3番目の質問は待機児童対策についてです。

第1点目は、4月から11月までの各月初日の待機児童について、新定義と旧定義で伺います。また、新定義は待機児童数の隠れ蓑であり、「中間報告」など市民向けの行政文書には両方を記載することを求めます。

第2点目は、市長は認証保育所の積極的誘致を進めてきましたが、認証保育所と認可保育所の違いについて伺います。また、認証保育所における保育上の問題点とは何かについて市長の認識を伺います。

第3点目は、認証保育所に預けている保護者の声をお聞きしたことがあるかどうか伺います。保護者の声で多いものの上位を占めているものは何でしょうか。具体的にお示しください。

第4点目は、「中間報告」では待機児童解消策として、様々な主体による多様な保育事業の展開を述べています。その中に認定子ども園の設置があげられていますが、認定子ども園の制度は市場原理の最たるものです。先日、NHKテレビでモデル園としてスタートした認定子ども園の様子が報道されていました。短時間保育と長時間保育の混合保育による混乱や保育計画の難しさなど当初の心配が現実となってきており、そのしわ寄せは子ども達に及んでいることが伺えました。私は境子ども園の設置は見直すべきであると考えていますが、市長にあらためて見解を伺います。

認証保育所の積極的誘致、認定子ども園の新たな設置など、邑上市長の保育施策は急激に市場原理に傾き、保育の公共性を解体する方向に向かっていることに保育関係者や市民は不安を抱いています。ぜひともこれらの方々の声に耳を傾け、見直しすることを求めます。

第5点目は、保育所最低基準の見直しについて伺います。最近、地方分権の名のもとに最低基準を地方自治体の裁量にまかせようという動きが出てきています。これについての市長の見解と今後の対策について伺います。

第6点目は、「中間報告」で「3歳以上の待機児童はほぼいない」と述べている点について伺います。保育関係者や保護者の意見を聞くと、乳児保育園から3歳児を保育園に転園しようとしたが、空きが無いためやむなく幼稚園に通うことにした。求職中なので保育所に入れてもらえなかったといった声をたくさん聞きます。市長も施政方針で、「保育園に入園を希望する家庭も増加傾向にあり、待機児はなかなか解消できておりません」と述べています。「3歳以上の待機児童はいない」とはどのような根拠か。また、潜在的な希望者などの調査はしているのか伺います。

第7点目は、待機児童対策の基本として、私は認可保育園の施設拡充や増設を原則とするべきだと考えます。保育所を建てれば当面はお金がかかりますが、保育がもたらした子どもの良好な発達をお金に換算すると、結果的には社会が受け取る利益は、保育に要した費用の6倍から7倍に達すると言う財政学者の研究もあります。よりよい保育がよりよい社会環境を作り出し、負の社会的要素を超えるからです。待機児童の解消は、乳児保育所の施設拡充や認可保育園の増設の援助を行なうことが基本となるべきだと考えますが市長の見解を伺います。

最後に8点目として、現在は保育観や子ども観の一大転換の時代であると言われています。そこで市長の保育観、子ども観と保育行政の役割について希望のある答弁を求めまして、壇上からの一般質問を終わります。




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