耐震診断・耐震改修を受けやすくするために等について
今回は、「耐震診断・耐震改修を受けやすくするために」「避難所について」と「外環ノ2について」の3点を質問します。
おおきな1点目は、「耐震診断・耐震改修を受けやすくするために」です。
5月12日に、中国南西部の四川省を中心とする大地震は、マグニチュード8.0で、阪神・淡路大震災の約30倍に相当するエネルギーです。死者・行方不明者合わせて約9万人にのぼるおおきな被害をもたらし、いまだ二次被害が心配されます。マグニチュード7以上の首都直下地震が、いつ襲ってくるかもわからない東京にとって、"対岸の火事"ではありません。
武蔵野市は、武蔵野市地域防災計画を防災対策の状況変化や、近年の災害教訓を踏まえ、抜本的に見直しが必要になったため、7年ぶりに修正しました。今回の計画の特徴は、初めて3つの減災目標を設定したことです。目標1の死者の半減では、武蔵野市直下型地震マグニチュード6.9や多摩直下型地震マグニチュード7.3において、住宅倒壊や家具類の転倒及びブロック塀の倒壊を原因とする死者を半減することを目標にしています。目標を達成するための対策として、建物の耐震化、家具類の転倒防止対策の推進、ブロック塀等の安全化、安価で信頼できる工法・装置の普及促進などを計画しています。
また、「武蔵野市耐震改修促進計画」を策定しました、民間・公共の住宅の現状耐震化率78%を90%に、防災上重要な市有建築物の現状耐震化率85%を100%にすることを基本方針にしています。そこで災害から市民の命と身体、財産を守るため、以下のことを質問します。
(1)耐震診断・耐震改修の助成の増額について
「武蔵野市耐震改修促進計画」では、武蔵野市内の1戸建て住宅の42%が昭和56年以前に建築されたもので、7850棟あり、耐震診断・耐震改修の必要性は高いとしています。耐震診断・耐震改修がすすまない要因として、耐震診断・耐震改修に要する費用が高額すぎる、耐震改修に伴う一時的な引越しや手間の多さが煩わしい、などがあります。
武蔵野市の耐震診断・耐震改修助成制度は、木造住宅の耐震診断助成は10万円、耐震改修助成は50万円が上限です。新宿区は、耐震改修を受けやすくするために、住民税非課税世帯と区が定めた高危険度地域内の建築物は、工事費の4分の3・300万円を限度で助成、高齢者・障害者の方が居住する建築物には4分の2・200万円を限度に助成、それ以外の建築物には100万円を限度に助成します。
武蔵野市でも、住宅の耐震化率を引き上げるため、木造住宅の耐震診断助成、耐震改修助成を増額するべきと考えます。
2)耐震診断アドバイザーを受けやすくするために
武蔵野市には、無料で簡易耐震診断を行なう「耐震アドバイザー派遣事業」の制度があります。耐震診断を受けやすくするためには、積極的に制度を知らせ、働きかけることが必要です。そのためには、
一つには、該当する市民・全世帯に直接お知らせを送るなど、ふみこんだ取り組みをしていただきたいと考えます。
二つには、現在の制度では、耐震診断アドバイザー派遣申請書に、1.建物の所有者を確認できる書類、2.建築時期を確認できる書類、3.建物の所有が共有の場合は、共有者全員の承諾書を添えて、市役所の住宅相談課にいかなくてはいけません。1.2については、登記簿謄本・固定資産税課税明細書などの写しを添えることになっていますが、固定資産税課税明細書などは市でわかるはずです。
私が、高齢者の方から受ける相談では、地震のことが心配で、市に電話で問い合わせてみたけれど、申請の手続きの説明をうけてもわかりにくく、面倒であきらめたといわれました。手続きの簡素化をするべきです。
(3)住宅の倒壊による圧死を回避する対策について
地震で住宅が倒壊しても命を守ってくれる装置として、耐震シェルター、耐震ベッド、押入れ・クローゼットなどの耐震シェルター家具が開発されています。
東京都の広報6月号によれば、東京都は、今年度から、区市町村と連携して、自宅に耐震シェルターを設置する高齢者・障害者世帯を対象に助成を始めました。現在7区市で実施され、今後5区市で予定されています。
府中市では、今年度から耐震シェルター・耐震ベッドに設置費用の4分の3・30万円を上限に助成するための予算を組み、7月から実施します。
市の計画では住宅の耐震化目標は90%です。残り10%の人の命と安全を守る対策が必要です。「武蔵野市地域防災計画」にも耐震改修が困難な住宅の地震に対する安全性を向上する対策として、防災ベッドやシェルターの普及促進がのっています。
武蔵野市でも耐震シェルターなどの助成制度を創設してください。特に高齢者・障害者世帯に補助をして普及するべきだと考えます。
(4)実態の把握について
一つは、5月23日の建設委員会の説明では、特定建築物の実態の把握はこれからだということですが、いつまでに終わらせるのか伺います。
二つは、市内の、特定建築物からもれている、昭和56年以前の旧耐震基準の民間の幼稚園、保育園、診療所、個人医院、雑居ビルなどの実態把握と、耐震化の支援策の検討も同時に行なうべきと考えます。
(5)コンクリートブロック塀の耐震化、生垣化について
武蔵野市には、どちらにも助成制度があります。
武蔵野市ではブロック塀実態調査は7年前(平成13年)に行なっています。そのときの結果では、地震時に危険なものが約2600件ありました。家屋の実態調査と同時に塀の耐震化についても実態調査をし、耐震化を進めるべきです。
(6)高齢者の防災総合相談窓口・訪問相談アドバイスの設置について
高齢者の特性として、耳が遠く、電話での問い合わせでは、完全に理解できない。足が悪くて市役所まで出かけられない。細かい書類を作成するのは困難であるなどがあります。
武蔵野市には耐震診断、耐震改修、家具転倒防止金具の取り付け、ブロック塀改修、火災警報器、など、いろいろな助成制度があります。
高齢者が安心して利用できるように、その世帯にあった方法、手続きなど、防災・震災に関することが相談できる窓口、訪問して相談にのる制度など、懇切丁寧な仕組みを考える必要があると思います。
以上6点の提案に、市長の見解をお聞かせください。
おおきな2点目に、避難所について、質問します。
(1)防災トイレについて
災害発生後の避難所などで、一番必要なのは、トイレといわれています。現在、防災トイレは、防災公園と、いくつかの公園にあるだけです。
一時避難所の小・中学校の校庭や、公園に防災トイレの設置をするべきです。
(2)災害時のペットについて
市内には、およそ1万匹の犬、1万匹の猫がいます。室内で飼われているものも多く、飼い主にとっては、ペットはわが子と同じくらい大切な家族です。災害のとき、また、その後の避難のときの対策に不安を感じています。
獣医師会などと協議し、地震対策の項目の中にペットの対策も考え、飼い主に災害のときのペットの取り扱いについてPRするべきだと思います。
おおきな3点目に、「外環ノ2」について、質問します。
住民の反対で凍結されてきた東京外郭環状道路が地下化で基本計画が決定されたのに続き、地上部について、3月31日、東京都が「外環の地上部の街路について」というパンフレットを発行しました。
このパンフレットは冒頭で次のように述べています。「昭和41年、高速道路の外環とともに、都内の都市計画道路ネットワークの一部として外環ルート上に「外環ノ2」という地上部の街路の都市計画を決定しています。
平成19年に外環の都市計画を高架方式から地下方式に変更したことをふまえて、今後、環境、防災、交通、暮らしの4つの視点で、地上部街路の必要性やあり方などについて、広く意見を聴きながら検討を進め、都市計画に関する都の方針をとりまとめていきます。」
このように、これまで都は、「外環ノ2」については、廃止も含めた3つの案を市民に示してきましたが、今回のパンフレットには「廃止」という選択肢は出てきません。最初から最後まで「4つの視点」から地上部街路建設の必要性を主張するものになっています。
都は、このパンフレットを市に説明のさい、「今回の公表は、外環ノ2に関する現時点での都のスタンスを明らかにした」といっています。つまり、今回のパンフレットは「東京都としては本線の地下化にかかわらず「外環ノ2」建設をすすめていきたい」という宣言にほかなりません。そこで、質問します。
(1)地元住民は、外環本線、「外環の2」に一貫して反対してきました。「外環の2」の廃止案を消してしまい、地上部にも巨大な道路を作りたいという意向を示した都の姿勢に強い批判の声があがっています。住民無視、地元自治体無視のやり方に対して抗議すべきと考えますが、市長の見解を伺います。
(2)石原都知事は、10日に開会した都議会での所信表明演説で、「特に外環道は、東京が首都の役割を果たす上で欠かすことができず、日本の発展にも直結する極めて重要なインフラであります。昨年12月、福田首相が協力を約束した経緯からも、国は平成21年度に事業着手するのが当然であります。国の速やかな対応を改めて要求いたします。」と述べています。
現在、地域PIが、各地で行なわれようとしていますが、どこでも都市計画変更をふまえ、外環本線の建設が前提となっています。
住民は外環本線の必要性の有無からの議論を求めています。地域PIが外環建設を前提としたものとならないよう、市として、国・都に対応していくべきです。
(3)「外環の2の整備の必要性は認識していない」というのが武蔵野市長の意見です。この立場で、外環ノ2を廃止することを、国・都に対して、積極的に働きかけていくことを強く要求します。
以上、大きく3点について、市長の答弁を求めまして、一般質問を終わります。
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