マンションの耐震診断助成制度等について
今回は、「マンションの耐震診断助成制度について」と「介護保険利用者へ市独自の助成制度について」、「吉祥寺のまちづくり問題などについて」の3点の質問をいたします。
1.マンションの耐震診断助成制度について
武蔵野市内には、「武蔵野市マンション実態調査2003」によれば、「マンション管理適正化法」及び「マンション建替え円滑化法」に規定する『マンション』は平成14年1月現在で、866棟、11211戸あり、全住宅戸数の2割弱、持ち家の5割を占めています。そのうち新耐震基準適用以前の1981年・昭和56年以前に建築されたマンションは133棟あります。
日本共産党は2005年6月に6項目からなる「安全、快適で長持ちするマンションを目指す提言」を発表しました。その内容の、1項目めは、マンションの地震対策をすすめることです。地震対策の第一は、耐震診断と耐震改修です。『これまでの地震で被害が目立ったのは、1981年に耐震基準が改正される以前に設計された建物で、特に1階が駐車場などのピロティ形式のものです。ピロティ形式とは柱だけで構成されていて、壁のない階をもった建物形式をいいます。これらを中心に、耐震診断を行い、耐震改修をすすめることが重要です。安心して耐震診断を受けられるようにするためには、横浜市など一部の自治体しか実施していない、耐震改修にたいする公的な助成も充実する必要があります。』と指摘しています。
また、日本学術会議が2005年4月に「大都市における地震災害時の安全の確保について」3項目の勧告をだしています。その第1に「地震防災上の最重要課題として、既存不適格構造物の耐震性強化(耐震補強)及び危険な密集市街地の防災対策の推進のため、必要な法改正をはじめ抜本的な対策を立て早急に実行に移すべきである。」として、「大規模地震被害における人命の損失、住宅の喪失による生活の破壊という被害の重大さ、巨大な経済的損失を考慮すれば事前の対策がいかに有効であるかが理解される。住宅政策課題の中心を当面の間、耐震補強・耐震改修による既存不適格住宅の解消、および密集市街地の防災性改善に転換し、集中的に資源投入することを強く求めたい。」と勧告しています。
横浜市のマンション耐震診断支援事業は、予備診断と本診断(精密診断)の2段階になっています。予備診断は1981年・昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工したマンションを図面確認や現地調査などにより、耐震性を判定し、本診断(精密診断)の概算費用を提示します。予備診断の費用は全額横浜市が負担します。予備診断の結果により、本診断が必要であると判定されたマンションについては精密診断を行い、あわせて耐震改修の方法、改修費用の概算などを提示します。本診断の費用は、診断費用の2分の1ただし1住戸当たり3万円を限度として横浜市が補助します。
平成17年度決算から実績をみてみますと、無料の予備診断を受けたのは、61管理組合で棟数は178棟で1800万円を補助、本診断は5管理組合の6棟がうけ、714万円が補助されています。平成10年から始めたこのマンション耐震診断支援事業により平成17年度までで、横浜市内6万5000戸の旧耐震設計のマンションのうち4万数千戸のマンションの耐震診断が終了しました。
また横浜市は、マンション耐震改修促進事業も行っています。この事業は、耐震設計及び工事費用の一部を市が助成するものです。助成内容は、国土交通省の「住宅・建築物耐震改修等事業」制度を活用し、耐震設計費の3分の1、耐震改修工事費は13.2%を助成するものです。今年度は2管理組合が助成を受け改修を予定し、横浜市は5100万円の予算を組んでいます。
武蔵野市にも、民間住宅耐震診断助成制度と民間住宅耐震改修助成制度があります。木造住宅に関しては、市の助成制度を利用して耐震診断や耐震改修が実施され、年々実績数が増えています。しかし、マンションで、市の耐震診断助成制度を利用した件数はゼロです。そこで質問します。
(1)利用実績がない理由は、何が原因だと考えているのか市の見解を伺います。
(2)民間住宅耐震診断窓口相談カードには、図面関係の有無を記入しなくてはなりません。昭和40年代建設の古いマンションでは、管理組合で「構造設計図」、「構造計算書」などの所有の有無、保存場所などがわからないマンションもあります。新しく図面を作成するのには費用がかかります。私が調べたところでは、マンションの耐震診断にかかる費用は安く見積もっても300万円前後かかります。その上、書類整備の費用もかかるとなると、莫大な費用がかかります。市は、「武蔵野市マンション実態調査2003」でアンケート調査の結果、「今後の施策の課題として、修繕・建替えへの支援策を検討します。」としています。災害に強いまちづくりをすすめていく上で、市内の旧耐震設計のマンションの耐震診断をすることは緊急の課題です。日本学術学会の勧告で言われているように大規模地震被害が起こってからの対策ではなく、被害が発生しないよう事前の対策が有効です。
武蔵野市の耐震診断助成は木造住宅は5万円が限度、非木造住宅は20万円を限度としていますが、横浜市のようにマンションは住戸数を考えて、助成額の増額を考えるべきと思いますが市の見解を伺います。
(3)診断を受けた結果、改修が必要と診断されたときのことを考えると、耐震診断を気安く受けられません。
国土交通省は、来年度から財政、税制などの各面で総合的に住民を支援し、耐震改修を促進する方針だという新聞報道がありました。報道によりますと、国交省は旧基準の建物の耐震改修に必要な費用の3分の1を国と自治体で助成する方針で、まず、耐震強度偽装事件で改修が必要とされる偽装マンションを対象に、先行的に実施する方針となっています。
武蔵野市の耐震改修の助成制度では、木造も非木造も50万円が限度額です。横浜市のように国の「住宅・建築物耐震改修等事業」制度を採用し、助成額の増額を検討するべきだと考えます。市はどのように考えるのか伺います。
2.介護保険利用者へ市独自の助成制度について
4月からの介護保険の改悪で、要支援1と要支援2、要介護1の軽度な高齢者は、原則として今年の4月から、介護ベッド、車イスなどの貸与が受けられなくなりました。従来からの利用者は経過措置として9月末までは使えても、10月以降は返却し自費で借りるか、購入しなくてはならず、膝や腰が悪くベッドなしでは自分ひとりで起き上がれない要支援高齢者にとって生活に支障が出てきます。平成17年度3月の市内の利用者数はギャッジベッド302名、車イス138名となっています。
私が6月議会の一般質問で具体的な例として述べた要介護1の方は、9月6日に、ケアマネさんが来て、10月から返却するか購入するか相談しましょうといわれたそうです。そこで質問いたします。
(1)厚生労働省は、"機械的・一律に用具の回収をしないように"とする8月14日付けの事務連絡文書を都道府県の担当者に送っています。「今般の制度改正においても、例外的に福祉用具貸与が必要である者に該当すると判定された者については保険給付の対象になるので、軽度者であることをもって機械的に保険給付の対象外とすることのないよう確実に確認するよう留意すること」としています。
武蔵野市は、介護保険サービスを利用できない日常生活上不便がある在宅の方には、介護ベッド、車イスなどの補助器具を貸与・給付しており、介護保険制度が改悪されてもこの制度は変更しません。介護保険サービスを利用していた方がうけられなくなるのではおかしいのではないでしょうか。この厚生労働省の事務連絡を活用し現在利用している軽度の利用者は10月以降もひき続き利用できるようにすべきだと考えます。市の見解を伺います。
(2)港区では2006年3月31日現在で、介護保険の福祉用具貸与により、特殊寝台を使用していた被保険者のうち、4月1日以降も特殊寝台を利用している人で、区が指定した「自立支援型ベッド」利用希望者で要支援1、要支援2、経過的要介護または要介護1の認定を受けている者には、原則月500円の利用料で2009年3月31日まで借りられる助成制度を決めました。新宿区や北区でも介護用ベッドのレンタル利用料を助成するための独自制度を決めました。武蔵野市でも市独自の助成制度をつくるべきだと考えますが、市長の見解を伺います。
3.吉祥寺のまちづくり問題などについて
(1)旧近鉄デパートの本館は内部を全面改装の予定で、本町コミセンの隣の事務所棟は取り壊しの予定です。ところが、旧近鉄デパート本館には、吹き付けのアスベストが使用されていることが確認されています。取り壊し予定の事務所棟にもアスベストが使用されている可能性があります。
近隣には、吉祥寺図書館や本町コミュニティセンターなど多数の人が利用する施設があります。居住している方々も、アスベスト除去工事に強い関心をもっています。500平方メートル以上の建物は東京都へ届け、都の管轄で行われ、都が指導します。アスベスト除去工事がいつおこなわれるのか、どのような工事方法なのか、工事前に近隣に説明会はあるのか、安全性は大丈夫なのか、何かあったときの連絡先はどこなのか、市はどのように関係していくのかなど市民の不安がひろがっています。
そこで、市は東京都と連絡を取り合い、市民が不安をもつことのないように事業者に対し指導していただきたい。事前の説明会および文書によるお知らせをするよう事業者を指導していただきたい。事業者が、工事の期間、内容、方法などについての、わかりやすい表示をするよう指導していただきたい。の3点を求めます。市の答弁を求めます。
(2)吉祥寺南町、東町の住民にとって、駅まではムーバスで行けますが、吉祥寺駅から市役所へのバスは関東バスが30分に1本しかありません。市議会の傍聴や、市役所での行事への参加、特に東部地域にはスポーツ施設がないため、総合体育館やプールの利用などにとても不便です。
今回、御殿山、本町、中町地域にムーバスが運行されることが決定しました。「ムーバスのコースを考える会」がアンケートで、「どこに行くときに一番困ったことがありますか」の設問でも、市役所、総合体育館、プールなどに行くとき、特に雨天のときは、自転車にのれず、とても不便であるという回答が多数ありました。
利用頻度の高い時間帯だけでもムーバスと同じように、15分間隔で運行するよう、バス会社に要請してください。市はどのように考えているのか答弁を求めて、一般質問を終わります。
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