少人数学級の実現等について
今回は、「少人数学級の実現」と「女性専用外来について」の2点について、質問いたします。
1点目は、「少人数学級の実現」についてです。
文部科学省は9月3日、教育委員会の希望により、少人数指導のために加配していた教員を、2005年度からは国に申請することなく、少人数学級にも自由に配置できるようにするという新しい「事務連絡」を、各都道府県教育委員会におこないました。
文部科学省が、このように制度を変えたのは、全国の父母の要求を反映し30人学級を含む少人数学級が、すでに42道府県で実施されており、学習面でも生活面でも大きな効果が上がっていることを認めているからだと考えます。
全国で30人以下学級・少人数学級を実施していないのは、東京都、石川県、岐阜県、香川県、佐賀県などの5都県だけとなっています。今年度は未実施の石川県、佐賀県も来年度から実施をすることを表明しており、東京は未実施の最後の自治体として取り残されることになりかねません。
この「国の新しい方針」を使えば、東京都が財政負担をしなくても、30人学級にふみだせます。日本共産党東京都議団は、東京都教育委員会に対して、「新しい条件を活用し、都として来年度から30人学級に踏み出すこと」と「少人数学級の実施を希望する区市町村の意向を尊重すること」を強く申し入れました。しかし、横山教育長は「習熟度別授業に配置されている教員を割いて、少人数学級をやる気はない」と回答しました。石原都知事も第3回定例都議会での日本共産党都議団での要求に対し、「付和雷同的に考える問題ではない」と少人数学級に背を向けています。
すでに少人数学級にした地方では、効果がはっきりあらわれています。たとえば、小1・2年生は全学級で、中1の一部で30人学級を実施している鳥取県の県教委育委員会事務局小中学校課が昨年9月に実施した「三十人学級の実施に伴う教育効果アンケート調査結果」では、小学校では学級担任の96%、保護者の81%が、少人数学級を「大変よい・よい」と答えています。その内容として、小学校の先生は、「子どもの活躍する場面が増えた。学習の理解度を把握しやすく、理解不十分な子により多く支援することができた」、「学級事務などに余裕ができ、話したい、聞いてほしいという一人ひとりの子どもの気持ちを受けとめることができるようになった」とのべています。保護者からは、「心の安定、落ち着きが感じられる。私語がなくなった」などの感想がよせられています。
小学校で33人以下学級編成を実施している山形県の調査では、「友だちが増えた」と回答している子どもたちが、9割に達しています。
クラスの人数が40人以下から33人以下に少なくなったにもかかわらず、「友だちが増えた」という理由について、ある校長先生は「それまでは人数が多すぎて、かえって子どもたちのかかわりが希薄だった。それが、人数が減ったたことにより、逆に子どもたちのかかわりが濃密になり、結果として「友だちが増えた」ということにつながったのだろう」と答えています。
少人数学級の教育効果は、世界でも日本でも認められています。アメリカの研究で有名なのは、「グラス・スミス曲線」と呼ばれるものです。この「グラス・スミス曲線」がしめしているのは、学級規模が小さくなるにしたがって、学習の到達度、情緒の安定、教員の満足度が高くなるという調査結果です。
日本の研究ではたとえば、1999年に研究代表者・桑原俊明筑波大学副学長による日本教育学会の「学校・学級の編制に関する研究委員会」の調査研究があります。
調査結果をもとに、桑原氏は「学級規模25人前後を境に教育効果は大きく変わる。学級定員の標準は20人程度とすべきだ」と述べています。この調査研究では、学習面でも生活面でも少人数学級が優れています。
文部科学省、東京都などは「数学など特定の教科だけ少人数授業にするから、少人数学級にしなくても大丈夫」といいますが、実際に教育活動にあたっている現場の意見はちがいます。同調査では、校長先生は「学習離れの防止」「基礎学力の定着」では、「他の条件の変更」よりも「学級規模の縮小」のほうが良いと答えています。これは、学習集団と生活集団がちがうとさまざまな面で、教育がやりずらくなることにもとづくものと考えられます。
もともと教育は、子ども一人ひとりにはたらきかけ、その人間的な成長を助ける営みです。子どもたちは一人ひとりみんな違います。勉強の理解が速い子もいれば、ゆっくり理解する子どももいます。性格も、引っ込み思案な子ども、活発な子どもなど、さまざまです。家庭環境もちがいます。そうした子どもたちにはたらきかけるわけですから、一人ひとりに丁寧に接する条件が広がる少人数学級が優れていることは、当然です。
今を生きる子どもたちは、大人の想像をこえるような悩みや生きづらさをかかえています。突発的にキレる子ども、すぐ「疲れた」という子ども、小学校低学年から勉強をあきらめてしまっている子ども、受験勉強や保護者からの過干渉に疲れている子どもなどが増えています。その背後には、保護者の長時間労働や雇用不安、競争的な教育制度など、経済や社会のゆがみがあります。
また最近では、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、高機能自閉症など、通常学級で学ぶ軽度発達障害の子どもの存在が注目され、特別にケアされる必要性が社会の認識になりつつあります。
それだけに、少人数学級にすることが切実です。もちろん、少人数学級ですべてが解決するわけではありません。しかし、子どもたちのことを考えたとき、先生が子ども一人ひとりと丁寧に接することができる、欧米では当たり前となっている規模に学級規模を少人数化することは、教育条件整備として、もっとも力をいれてとりくむべきことだと思います。そこで、私は、武蔵野市の子どもたちが「できたー」といえる勉強がたのしい、学校が楽しいといえるような学校になことを願って質問します。
(1)多摩地域の26市の市長会と市教育長会は、東京都に対して、少人数学級の実現をもとめる予算要望をしています。特に三多摩の市長会は、来年度予算要望で、少人数学級編成が可能となるよう、一学級40人という都の規準の見直しを図るよう要望しています。読み上げますと、要望事項は「少人数学級の早期実現」という題名で、(要旨)は「国の学級編成の弾力化を踏まえ、少人数の学級編制が可能となるよう1学級40人という東京都の学級編制規準の見直しを図られたい。また、そのための財政負担の拡大を国に対して働きかけられたい」とあり(説明)は「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」が一部改正されたことにより、他府県においても様々な少人数学級の取り組みが行なわれているところである。しかし、東京都においては40人を規準とする学級編制となっており、法改正の趣旨を踏まえ、現行の学級編制の規準の見直しを図られたい。また、厳しい財政状況の中で市が独自に少人数学級を実施することは困難であることから、国に対して財政負担の拡大を要請されたい」というものです。
こんなにはっきりと予算要望をしているということは、「少人数学級」の効果を認めているからだと考えます。どのような効果があると考えているのか、市長と教育長に伺います。
(2)今回、文部科学省は、地方自治体の判断にゆだねるという新しい方針をだしています。東京都としても実施に踏み出すことを、東京都に強く要請することを市長・教育長に求めます。市長・教育長の見解を伺います。
(3)現在、武蔵野市の1年生は、12の小学校のうち第五小、本宿少、井之頭小、関前南小、桜野小学校の5校はすでに30人学級編制になっており、一クラスの人数は20人から29人です。そして、あとの一小、ニ小、三小、四小、大野田小、境南小、千川小学校の7校は、40人学級編制です。同じ一年生で、少ない学校では20人から21人、多い学校では37人から38人です。同じ市内の1年生でこれだけの日常の教育格差があるのです。
武蔵野市のすべての小・中学校には一人以上の先生が加配されています。今回の制度を活用すれば、市の負担なしで、すべての小学校の1年生を少人数学級にすることができます。教室も学習室とか学年室として、使用している教室があり、その教室を利用することができるはずです。
いま入学してしばらくしても学級が落ち着かない「小1プロブレム」が問題になっているなか、小学校一年生の少人数学級の実施は、特に急がれています。
少人数学級をまず、1年生だけでも、早急に実施することを要求します。教育長の考えを伺います。
大きな2点目は、女性専用外来についてです。
私は、6月の第2回定例会でも一般質問をしこれが3回目です。市長は、「その可能性について申し入れを行なってきた。今後、引き続き検討していきたい」と答弁されました。
前回の質問のとき、武蔵野赤十字病院の三宅院長の「救急病棟の改修のとき設置を検討することはできると考えられる」と前向きでした。今回、救急病棟のことで、市長と話し合いをしたことを市長のメルマガで知り、三宅院長先生に伺ったところ、「需要があることは認識しているが、問題も多く難しい」とのことでした。
2001年9月に道府県立病院としては初めて女性専用外来を開始した千葉県立東金病院の副院長で、性差医療の普及に努める天野恵子医師は、自らが50歳代になり、治療効果のない更年期障害を経験し、まわりでも、同年代の女性患者や友人たちが、医師の知識不足で適切な治療を受けられずに苦しんでいたことを知りました。「女性患者が苦痛を訴えても、医師は専門外だと取り合ってくれない。だから女性はずっと我慢してきた。総合診療的な窓口が不可欠だと確信した」と語っています。
女性のニーズにこたえ、女性専用外来を設置する医療機関は増え、現在、41都道府県180箇所にのぼり、さらに増える勢いです。
女性外来は、単に女性医師が配置されれば良いというものではなく、まだまだ医療技術を持つ専門医が少ないこと、担当医と専門医の連携や、女性専用外来の存在意識に対する職員間の共通認識が不十分であることなど、問題があります。
市長はいままでも努力してきたと思いますが、少しでも早く、女性専用外来が設置されることを願い、質問いたします。
(1)その後の経過について伺います。
(2)日赤の院長先生は、「女性専用外来は、需要があり、重要課題だと考えている。診療提供体制を整えていくために、市の助成があればありがたい」といっておられます。市にその考えはあるのか伺います。
以上で一般質問を終わります。
再質問
(1)長期計画の特別委員会で本間団長の質問に、要望書出したと答えています。
市長会として「少人数学級の早期実現」を要求したことは、すばらしいことです。市長は、生活集団は40人学級の方がいいといってきましたが、「少人数の学級編制が可能となるよう学級編制基準の見直しをはかられたい」と要求したということは、市長も少人数学級の効果をみとめたからだということです。
親子ふれあい事業の鳥取県でもすでに30人学級に取り組み、効果があるとしています。1年生をすぐにでも、実施してください。
(2)山形県の「さんさんプラン」は、知事の政治的な判断が決定的でした。
2001年8月に山形県では知事選挙後知事が表明した。
「橋の一本二本かけなくとも、子どもたちの教育のためには公共事業を削減しても実行したい」「人生は一回しかない、手抜きしないで少人数教育の環境を整備する必要がある」
2002年度からはじまった「少人数学級」は、高校・大学に学ぶ教職志望の青年たちに大きな希望の火をともしました。
子どもは未来の宝です。土屋市長も三多摩で一番に30人学級を実施してください。
市長は反対しなかったのですよね。消極的賛成でも、賛成したからには行動するべき
乳幼児医療費の無料も他市が実施し取り残されて、今回長計にものせました。30人学級の実現もそうならないように、リーディングシティの市長として、率先して取り組むべきです。
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