幻魚(げんげ)



 「げんげ」という魚をご存知でしょうか? 「幻魚」とかいてげんげ。これを知る人は大変なさかな通です。
 ちゃんとラテン語の名前をもっているのでしょうが、なにしろ富山のある地方だけで知られる魚ですからね。

げんげ
げんげ


 げんげは実は深海魚です。これをぶつ切りにして味噌汁の具にして食べる。身は白くて柔らかくとてもうまい。しかし皮がゼラチン質なのである。 ぬるぬる、ぎょろぎょろの舌触りはなんともいえない。
 嫌いな人はぜったいぜったい食べれない代物である。
 漁師だったわたしの父は家の手伝いをしたがらない息子に「この“げんげ”!」といって叱った。「なまくらもの」の意である。 だから私にはいいイメージはない。

 これを干物にすると、うすやきせんべいのようになる。焼き過ぎると、それでなくとも少ない身が黒焦げになって、 食べるところがなくなってしまうのです。

 げんげのもともとの意味はまぼろしの魚ではなく外道の外か下等の下。つまり「下の下」だそうである。

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