授業ノート-基礎運動学10
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-LESSON1 男性の歩行と女性の歩行-
●歩行の性差(下の表参照)
 ・歩行速度は、男性のほうがやや速くなっています。
 ・歩行率は、女性のほうが高くなっています。
 ・歩幅は、男性のほうが大きくなっています。
正常歩行時の値
男性 女性
歩行速度 4.8km/h 4.5km/h
歩行率 110steps/min 116steps/min
歩幅 74.2cm 63.5cm

-LESSON2 はやい歩行とおそい歩行-
1.はやい歩行
 ・重複歩距離が身長の106%まで増加します。
 ・歩行率が増加します。
 ・立脚相の比率が減少して、遊脚相の比率が増加します。
   →立脚相と遊脚相の比率が、50%ずつに近づきます。
 ・両脚支持期が減少します。
 ・重心位置の振幅が増大します。

2.おそい歩行
 ・歩幅と歩行率が減少します。
 ・歩行比が大きくなり、変動も著しくなります。
   ※歩行比:単位時間内の、歩幅と歩数の比(歩幅÷歩行率)です。

3.歩行速度とエネルギー消費
 ・歩行速度を速くすれば所要時間は短縮されますが、消費エネルギーが増加します。
 ・速度を遅くすれば、所要時間が延長し、姿勢保持などに費やされるエネルギーが増加します。
 ・エネルギー消費の最も少ない速度(至適速度)は、歩行が70〜80m/min、走行が170〜180m/minです。
-LESSON3 小児の歩行-
1.小児の歩行運動の成熟過程
 ・中枢神経系の成熟、運動学習と深く関係しています。
 ・中枢から末梢へ、頭部から尾部へ、粗大運動から微細運動へ展開します。

2.小児歩行の特徴
 ・歩隔が広く、両脚支持期に安定した支持基底を形成します。
 ・支持基底は横に広く、前額面は安定しますが、矢状面は不安定です。
 ・重心の位置が高く、不安定です。
 ・上肢は肘関節屈曲位で外転しており、交互に振る運動はありません。
 ・安定性保持のため、成人よりも多くの筋活動が見られます(特に立脚相で)。

3.発達過程
 (1)1歳児
  ・支えなしの独り歩き(処女歩行)が可能になります。
  ・踵からではなく、足底全体で接地します。
  ・股関節を外転して、下肢を前方へ運び、そのまま接地します。
  ・単脚支持期が短いのですが、歩行率は高くなっています。
 (2)2歳児
  ・転倒しないで、早歩きや走行ができます。
  ・踵からの接地が現れます。
  ・股関節の外転が減少し、歩隔、支持基底が小さくなります。
  ・膝関節の屈曲が出現します。
 (3)3歳児
  ・片足立ちが可能になります。
  ・成人に近い、滑らかな歩行パターンになります。
  ・以後、7歳までわずかながら、歩行パターンの改善が続きます。
-LESSON4 高齢者の歩行-
●高齢者の歩行
 ・前傾度が増加します。
 ・上半身の前後動揺が大きくなります。
 ・各関節の運動範囲が減少します。
 ・筋活動の相対量が増加し、活動時間が延長します。
 ・歩行速度、歩幅、歩行率が減少します。
 ・両脚支持期が延長します。
-LESSON5 走行-
●走行の特徴
 ・同時定着時期がありません。
 ・両脚とも遊脚している時期があります。
 ・接地が母趾球から始まります。
 ・加速時に、身体前傾が大きくなります。
 ・股関節の屈曲角度が大きくなります(105°)。
 ・膝関節の屈曲角度が大きくなります(133°)。
 ・重心の上下移動が大きくなります。
 ・速度が増すと、上肢の後方への振りが大きくなります。
 ・スタート時に、慣性に打ち勝つために大きな力が必要です。
 ・消費するエネルギーは、速度が増すほど大きくなります。
走行の周期
支持相 support phase(駆動相 driving phase) 50%
非支持相 nonsupport phase(飛翔相 flight period) 50%