授業ノート-基礎運動学06
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-LESSON1 体力-
●体力(Physical fitness)
 身体活動に関係する身体全体の容量(力量 capasity)、資質(quality)、能力(ability)などを表す用語です。

 ・体力が適正な状態とは、動作が最適となるような健康良好な状態を指します。
 ・日常的に身体運動を継続していないと、最高の体力は維持されません。
   ※日常生活で必要とされる程度よりも強度の高い身体運動を、規則的に行ないます。
 ・保健医療では、呼吸循環系フィットネス(CR-fitness)が重視されます。
-LESSON2 栄養-
1.栄養素の働き
 (1)エネルギー供給:糖質、脂質、蛋白
 (2)身体成分の組成:蛋白、無機質
 (3)生理的機能の調節:水、無機質、ビタミン

2.糖質(いわゆる「炭水化物」)
 (1)糖質の分類
  ・単糖類:ブドウ糖(グルコース)、果糖(フラクトース)などです。
  ・少糖類
  ・多糖類:でんぷん(スターチ)、グリコーゲンなどです。
 (2)糖質の特徴
  ・食物の半分以上を占める、主要なエネルギー源です。
  ・でんぷんは分解され、ブドウ糖となって吸収されます。
 (3)ブドウ糖の役割
  ・エネルギー源:各細胞で酸化されてエネルギーを放出します。
  ・貯蔵:筋や肝臓にグリコーゲンとして貯蔵されます。

3.脂質
 (1)脂質の分類
  ・単純脂質:脂肪酸とアルコールの化合物(エステル)です。
   ※脂肪酸とグリセリンの化合物、中性脂肪(トリグリセリド)が重要です。
  ・複合脂質:脂肪酸とアルコールの他、アミノ酸、蛋白、糖、リン酸などを含みます。
  ・誘導脂質:ステロイド、脂溶性ビタミン、脂溶性色素などです。
 (2)脂質の特徴
  ・食物中の脂質はリパーゼ(脂肪分解酵素)によって分解されます。
  ・1gあたり、炭水化物の2倍のエネルギーとなります。
  ・コレステロールは、ホルモン、酵素、細胞膜の材料となります。

4.蛋白
 (1)蛋白の分類
  a.結合による分類
   ・単純蛋白:アミノ酸だけのペプチド結合からなるものです。
   ・複合蛋白:単純蛋白と蛋白以外のものとの結合です。
  b.形状による分類
   ・球状蛋白:アルブミン、グロブリン、リポ蛋白などです。
   ・線維状蛋白:コラーゲン、ケラチンなどです。
 (2)蛋白の特徴
  ・食物中の蛋白はプロテアーゼによって分解され、アミノ酸となって吸収されます。
   ※蛋白栄養の維持に欠かせないものを必須アミノ酸、そうでないものを非必須アミノ酸といいます。
  ・新しい組織を作るときや、古い組織を修復するときに利用されます。
  ・抗体産生に利用されます。
  ・酵素やホルモンの材料となります。

5.その他:無機質(ミネラル)、水、ビタミン
-LESSON3 エネルギー代謝-
●エネルギー代謝
 筋収縮には、摂取した栄養素から合成されたATPが利用されます(「筋学01」参照)。筋活動は熱産生をともなうため、熱量を測定することで評価が行なえます。

1.カロリー(熱量 calorie, cal)
 ・エネルギー代謝をあらわす単位です。
 ・エネルギーの量は熱量計で測定します。

2.代謝の種類
 (1)基礎代謝
  ・生命の維持だけにエネルギーの消費が行なわれている状態の代謝です。
  ・安静臥床の状態で計測され、基準値はおよそ1100〜1400kcalです。
  ・体温が1℃上昇すると、基礎代謝量は約14%増えます。
 (2)労作代謝(作業代謝)
  ・労働や運動にともなう代謝です(基礎代謝に必要なエネルギーは含みません)。

3.作業強度の尺度
 (1)エネルギー代謝率(RMR):労作代謝量とその時間内の基礎代謝量との比です。
  ・すなわち、「RMR = 労作代謝量 / 基礎代謝量」となります。
 (2)代謝当量(MET):運動や作業時にどの位のエネルギー消費がされるのか、基礎代謝を基準に定めたものです。
  ・すなわち、「METS = 運動・作業時代謝量 / 安静時代謝量」となります。
  ・1METは安静座位で、約3.5ml/kg/minの酸素消費になります。
  ・歩行でのMETSは3METSです。
   ※言うまでもありませんが、「MET」の複数形が「METS」です(同じものです)。
-LESSON4 身体運動のエネルギー代謝 その1:無酸素性エネルギー-
●無酸素性エネルギー:ATPやCPの分解、グリコーゲンの解糖によるエネルギーです。

1.非乳酸性エネルギー:ATP・CPの分解によるエネルギーで、運動開始直後に利用されます。
 ・筋のATP・CP含有量、分解度で測定します。
 ・非乳酸性酸素負債:運動終了後に酸素を供給して、失われたATPやCPを再合成します。

2.乳酸性エネルギー:解糖によるエネルギーで、運動開始後約1〜2分まで利用されます。
 ・乳酸の量を直接測定して、推定します。
 ・血中乳酸蓄積の始まり(OBLA):最大酸素摂取量の50〜55%以上になると、血中乳酸値が上昇します。
  ※訓練を受けた選手は、最大酸素摂取量の80〜90%がOBLAとなります。
 ・無酸素性作業閾値(AT):血中乳酸値が上昇した(OBLA)ときの作業強度です。
 ・乳酸性閾値(LT):血中乳酸濃度の変化をもとに、ATを求める方式です。
 ・換気性閾値(VT):呼気ガス分析から、ATを求める方式です。
↓↓↓ (運動開始後1〜2分で、有酸素性エネルギーの比率が高まります) ↓↓↓
-LESSON5 身体運動のエネルギー代謝 その2:有酸素性エネルギー-
●有酸素性エネルギー:体内に貯蔵された糖質・脂質を酸素で燃焼して発生させます。

1.最大酸素摂取量(VO2max):運動遂行中の酸素摂取の単位あたりの最大値です。(※注
 (1)最大酸素摂取量について
  ・通常、体重あたり、時間あたりの酸素量で表示します(mlO2/min/kg)。
  ・酸素1リットルにつき、5kcalのエネルギーが供給されます。
 (2)求め方
  ・まず、いくつかの運動強度の最大下運動負荷を行ないます。
  ・次に、心拍数と酸素摂取量との関係(体力指数:PFI)を1次回帰式で表します。
  ・回帰から、予測最大心拍数における酸素摂取量を求め、VO2maxとします。
   ※予測最大心拍数 = [ 200 - 年齢 ] / min

2.身体作業能力(PWC):心拍数と酸素摂取量を指標とした運動能力です。
 ・物理量(仕事量、ワット)で表します。
 ・PWC75%HRmax:VO2maxと同様に回帰式を求め、予測最大心拍数の75%の時の仕事量です。
 ・PWC75%HRmaxはAT(無酸素性作業閾値)に一致し、長時間の運動が可能な運動強度です。

 ※注:「VO2max」の「V」の文字の上には、「・」(点)がつきます。フォントの関係で表示できませんでした。