授業ノート-神経学03
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-LESSON1 間脳-
●間脳
 中脳の前方にあって、大脳と中脳を結合します。視床、視床上部、視床下部、視床腹部にわけられ、中脳以下から上行するすべての信号を大脳皮質に送り、大脳皮質からの信号を中脳以下に送ります。

●間脳の機能
 1.視床:感覚性伝導路(嗅覚以外)の中継点でシナプスが存在します。
 2.視床下部:自律神経系の高位中枢で、体の植物機能を統合します。
  a.体温調節中枢
   ・視床下部前部:温熱中枢
   ・視床下部後部:寒冷中枢
  b.飲水調節中枢(体内水分量の調節)
   ・血液浸透圧の上昇
   ・腎血流量の減少
  c.摂食調節中枢
   ・空腹中枢と満腹中枢が相反的に働きます。

●間脳各部の解説
1.視床上部:視床の後方にあります。
 ・松果体 しょうかたい:内分泌腺で、睡眠を誘発するメラトニンを産生します。
 ・手綱核 たづなかく:機能は不明です。
 ・後交連 こうこうれん

2.視床:多くの核からなり、前方が細く後方が太い卵円形をしています。
 (1)特殊核:感覚と運動に関係し、末梢と基底核・皮質の中継をします。
  a.特殊感覚伝導線維を受けて大脳皮質の1次感覚野に投射する感覚中継核
   ・後内側腹側核:三叉神経毛帯と連絡します。
   ・後外側腹側核:内側毛帯と脊髄視床路の線維を受け、中心後回と連絡します。
   ・内側膝状体:聴覚の中継核です。
   ・外側膝状体:視覚の中継核です。
  b.小脳と淡蒼球からの線維を受けて運動野へ投射する中継核
   ・外側腹側核:小脳、淡蒼球、黒質、運動野と連絡します。
   ・前腹側核:髄板間核、淡蒼球、黒質、歯状核、前運動野と連絡します。
  c.大脳辺縁系と連絡する核
  d.連合野に広く投射する連合核
   ・背側内側核、大視床枕を含む外側核
 (2)非特殊核:網様体の最高部で、皮質と広く結合します。
  ・非特殊核の種類:中心正中核、外側中心核、中心傍核、結合核
  ・網様体賦活系 もうようたいふかつけい:大脳皮質を活性化します。
 (3)特殊連合核:皮質と間脳核の間を広く結合しています。

3.視床下部:視床の前下方にあります。
 (1)形態
  a.表面:視束交叉、視床漏斗(下垂体後葉に連なる部分)、左右の乳頭体があります。
  b.内部:前・中・後に大別される3つの核群があります。
 (2)機能:自律神経系の最高中枢として働きます。
  ※下垂体と血管連絡を通じての内分泌機構、情緒や動機づけにも関係します。

4.視床腹部:視床の後腹部にあり、中脳に連なります。視床下核、黒質などの基底核と関係する核があります。
-LESSON2 中脳-
●中脳
 橋の上端から上丘の上縁までが中脳です。中脳蓋、被蓋、大脳脚底にわけられます。

●中脳にある機能中枢
 ・姿勢反射中枢
 ・視覚に関する反射中枢(眼球運動、遠近調節、瞳孔の縮小、対光反射)

●中脳各部の解説
1.視蓋 しがい(中脳蓋 ちゅうのうがい):中脳水道の背部です。
 ・四丘体 しきゅうたい:上下1対の上丘と下丘からなります。
  a.上丘 じょうきゅう:光に対する眼の反射路の中間に位置します。
  b.下丘 かきゅう:聴覚の中継点になります。

2.被蓋 ひがい:中脳水道と黒質の間にあります。
 ・内側毛帯(ないそくもうたい)、外側毛帯(がいそくもうたい)、網様体の投射線維などが縦走します。
 ・赤核 せきかく:大脳や小脳からの線維を受け、下オリーブ核や脊髄へ信号を出し、無意識の運動と姿勢を制御しています。
 ・脳神経核:動眼神経核(III)、滑車神経核(IV)
 ・上小脳脚 じょうしょうのきゃく:小脳と結合する部分です。

3.大脳脚底 だいのうきゃくてい
 ・大脳脚:内包からの下行路で、皮質脊髄線維、皮質延髄線維、皮質橋線維の太い束です。
 ・黒質:メラニンを含んだ神経細胞の集まりで、基底核と連結して運動制御に関係します。
-LESSON3 橋-
●橋
 後脳の腹側部にある膨隆で、頭蓋骨の斜台の上にのっています。左右には中小脳脚があり、小脳に連なります。

●橋にある機能中枢
 ・呼吸調節中枢
 ・顎反射中枢

●橋各部の解説
1.橋底部 きょうていぶ(橋腹側部 きょうふくそくぶ)
 ・皮質脊髄線維、皮質延髄線維、皮質橋線維が縦走し、その間に橋核があります。
 ・橋核:橋核からの横行線維は中小脳脚を経て小脳に至ります(大脳橋小脳回路)。

2.被蓋 ひがい(橋背部 きょうはいぶ)
 ・脊髄毛帯(前脊髄視床路、外側脊髄視床路)
 ・内側毛帯:延髄から上行して視床へ向かう神経線維の束です。
 ・内側縦束 ないそくじゅうそく(MLF):内側毛帯の背側中央部にあり、頭部と眼球の協調運動に関係します。
 ・網様体:ニューロンと神経線維が混在する部分です。
 ・脳神経核:三叉神経核(V)、外転神経核(VI)、顔面神経核(VII)、内耳神経核(VIII)
-LESSON4 延髄-
●延髄
 大後頭孔の部位、錐体交叉の下端で脊髄から移行し、上方は橋下端となっています。

●延髄にある機能中枢
 ・呼吸中枢
 ・心臓抑制中枢
 ・血管運動中枢
 ・吸(啜 てつ)中枢
 ・咀嚼リズム発生中枢
 ・嚥下中枢
 ・嘔吐中枢
 ・咳、くしゃみ中枢
 ・唾液分泌の反射中枢

●延髄各部の解説
 ・錐体 すいたい:前正中裂(腹側面の正中)の両側にある、遠心性神経線維の束です。
 ・錐体交叉 すいたいこうさ:延髄の下端にある、錐体が交叉する(対側に向かう)部分です。
  ※左右の皮質脊髄路が交差して、脊髄の外側皮質脊髄路となります。
 ・オリーブ:錐体の外側の部分で、下オリーブ核があります。
 ・下オリーブ核:小脳歯状核、赤核、基底核、皮質からの線維を受けて、対側小脳皮質へ線維を送ります。
  ※小脳を介する反射運動や随意運動に重要な役割を果たします。
 ・神経核:IX〜XII脳神経核、薄束核、楔状束核など。
  ※舌咽神経核(IX)、迷走神経核(X)、副神経核(XI)、舌下神経核(XII)
 ・毛帯交叉 もうたいこうさ:薄束核(はくじょうかく)と楔状束核(けつじょうそくかく)からの線維束の交差です。
 ・内側毛帯:毛帯交叉後の線維のことで、上行して視床へ向かいます。
 ・内側縦束:内側毛帯の背側中央部にあり、頭部と眼球の協調運動に関係します。
 ・下小脳脚 かしょうのうきゃく:延髄上方の背外側にあり、小脳と連結します。
  ※背側脊髄小脳路からの線維、オリーブ核、前庭核、網様体からの線維が通って小脳へ入ります。
-LESSON5 小脳-
●小脳
 延髄と橋の背面にあり、小脳皮質(灰白質)と小脳核(白質)とにわかれます。

●小脳の機能
 ・体のバランス機能
 ・姿勢反射の調節
 ・随意運動と不随意運動の統合調節

●小脳各部の解説
1.機能区分
 (1)皮質と核の結合(縦軸)による区分
  a.正中帯(虫部、片葉小節):全身(軸性)の姿勢と運動
  b.傍正中帯(傍虫部):同側四肢の微細運動
  c.半球:同側四肢の微細運動、大脳皮質・視床・赤核との協調
 (2)発生的(横軸)な区分
  a.古小脳:体幹の平衡(軸性)、姿勢、筋緊張
  b.旧小脳:平衡、姿勢、下肢の筋緊張
  c.新小脳:上下肢の相動運動における協調性

2.小脳皮質と小脳核
 (1)小脳皮質:厚さ1mmほどで、神経細胞からなります。
  a.分子層:星状細胞と籠細胞(ろうさいぼう)があります。
  b.プルキンエ細胞層:プルキンエ細胞でできています。
  c.顆粒層:顆粒細胞とゴルジ細胞があります。
 (2)小脳核:白質内に左右4対の深部核があります。
  ・歯状核 しじょうかく:最も大きく、後葉からの線維を受けています。
  ・栓状核(せんじょうかく)、球状核(きゅうじょうかく):前葉からの線維を受けます。
  ・室頂核 しつちょうかく:片葉小節葉(へんようしょうせつよう)から線維を受けます。

3.小脳の入出力
 (1)入力:苔状線維(たいじょうせんい)と登上線維(とうじょうせんい)があります。
  ・多くは苔状線維で、プルキンエ細胞、顆粒細胞、ゴルジ細胞に連なります。
  ・オリーブ核からの入力は登上線維となり、プルキンエ細胞に連なります。
  ・プルキンエ細胞の軸索は小脳核に抑制シナプスを形成します。
 (2)出力:運動制御に重要で、3系にわけられます。
  a.正中帯
   ・室頂核、前庭核と結合します。
   ・前庭脊髄路を介して脊髄反射を調節します。
   ・伸筋群の筋緊張を促通し、身体平衡をつかさどります。
  b.傍正中帯
   ・栓状核と球状核、対側赤核と結合します。
   ・赤核脊髄路を介して脊髄反射に作用します。
   ・同側屈筋の筋緊張を促通し、歩行などの協調運動にも関係します。
  c.半球
   ・歯状核、視床腹外側核を経由して、大脳皮質運動野に連なります。
   ・同側肢の随意運動の発現や調整を行ないます。

4.小脳脚:小脳と脳幹を結合します。
 (1)上小脳脚:遠心性と求心性の線維がある、小脳出力の主要経路です。
  a.求心性線維:前脊髄小脳路からのものです。
  b.遠心性線維:歯状核からの線維が対側の赤核、視床、オリーブ核と連絡しています。
   ※運動制御に重要な2つの回路
    ・「皮質-橋-小脳-歯状核-赤核-視床-皮質回路」
    ・「小脳-歯状核-オリーブ核-小脳回路」
 (2)中小脳脚:対側橋核からの求心性線維があります。
 (3)下小脳脚:遠心性と求心性の線維があり、脊髄と延髄から情報を受けます。
  a.求心性線維
   ・後脊髄小脳線維(固有感覚)
   ・前庭小脳線維(平衡感覚)
   ・対側オリーブ核からの線維
  b.遠心性線維:前庭核と網様体に至ります。
-LESSON6 脊髄-
●脊髄各部の解説
1.位置と形状
 ・円柱形をした神経組織で、脊柱管の上方から2/3を占めます。
 ・環椎上縁から第1〜2腰椎に位置し、長さは40cm、太さ1cmです。
 ・上端は延髄に連なります。
 ・脊髄円錐 せきずいえんすい:脊髄の下端のことをいいます。
 ・終糸 しゅうし:脊髄円錐の下方にあり、尾骨後面に付着します。
 ・馬尾 ばび:腰髄や仙髄から出る脊髄神経のことです。
 ・頸膨大 けいぼうだい:上肢への神経が出入りする、頸髄の膨大部です。
 ・腰膨大 ようぼうだい:下肢への神経が出入りする、腰髄の膨大部です。

2.横断面の形状
 (1)中心管:横断面の中央にあり、脊髄を縦に貫く管です。
 (2)灰白質:中心管を取り囲むように存在し、細胞体と樹状突起があります。
  ・H字状をしていて、左右の腹側には前角、背側には後角があります。
   a.前角 ぜんかく:運動神経細胞群からなります。前根(左右1対の運動神経)がでます。
   b.後角 こうかく:感覚神経2次ニューロンがあります。後根(左右1対の知覚神経)
 (3)白質:灰白質の外側に存在し、有髄線維が多く、細胞体はあまりありません。
  a.構成:前索(ぜんさく)、側索(そくさく)、後索(こうさく)に分かれます。
   ※前索や側索では、脳と脊髄を連絡する線維がほとんどです。
   ※後索では、薄束(下肢からの神経線維)と楔状束(上肢からの神経線維)が延髄まで上行します。
  b.神経路
   ・上行路(感覚神経路):上位中枢と脊髄を結びます。
   ・下行路(運動神経路):上位中枢と脊髄を結びます。
   ・連合路:脊髄髄節間を結びます。