授業ノート-神経学02 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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-LESSON1 大脳半球について- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1.大脳について 全脳の重量は成人で1300gあります。大脳は中央の深い溝(大脳縦裂 だいのうじゅうれつ)によって左右の大脳半球に分けられ、両者は脳梁(のうりょう)、前交連(ぜんこうれん)などの神経線維の束で互いに連絡しています。 2.大脳半球の構成 ・大脳基底核(大脳核):大脳半球深部に位置する大きな灰白質です。 ・白質(皮質下白質、大脳白質、大脳髄質):大脳半球の内側にある、神経線維の集まりです。 ・大脳皮質:大脳半球の外側にある、神経細胞の密集した厚さ1.5〜4mmの灰白質です。 |
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-LESSON2 大脳基底核- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1.大脳基底核の構成 大脳半球深部にある灰白質から視床を除いたものを、大脳基底核と総称します。基底核は尾状核、被殻、淡蒼球からなりますが、これに扁桃核と前障を加える場合もあります。 ・線条体:尾状核と被殻を併せた部分で、基底核の入力部分です(出力は視床)。 ・レンズ核:被殻と淡蒼球を併せてレンズ核と呼びます。 ・淡蒼球:さらに、外節(がいせつ)と内節(ないせつ)にわかれます。 ・扁桃核:視床から様々な感情情報を受け、喜怒哀楽などの情動の発現を生じます。 ・前障:働きはよくわかっていません。 ・内包 ないほう(後脚 こうきゃく):レンズ核と視床の間にある白質で、錐体路が走行します。 2.出入力 基底核は大脳皮質、間脳と連結して運動行動に重要な機能を果たす、錐体外路系の中枢です。この部位が障害されると、不随意運動や筋緊張の異常が起こります。 (1)入力:線条体が入力を受けます。 ・黒質線条体路:黒質緻密部(こくしつちみつぶ)から入力を受ける経路です。 ・皮質線条体路:大脳皮質から入力を受ける経路です。 (2)出力:淡蒼球内節と黒質網様部から出力し、視床を経て、大脳皮質に伝達されます。 ・直接路:線条体から直接淡蒼球内節と黒質網様部に連絡し、必要な運動を促進します。 ・間接路:線条体から淡蒼球外節、視床下核を経て連絡し、不必要な運動を抑制します。 |
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-LESSON3 白質- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
白質は皮質下白質(ひしつかはくしつ)、大脳白質(だいのうはくしつ)、大脳髄質(だいのうずいしつ)とも呼ばれ、主に有髄神経線維からなります。 1.投射線維 とうしゃせんい:皮質と皮質下核や脊髄とを結びます。 線維束となって内包を形成し、皮質下核の間を通って、皮質へ向かって扇状に線維を広げています(放線冠 ほうせんかん)。逆に、脳幹や脊髄に向かう線維束は大脳脚(だいのうきゃく)といいます。内包は前から、前脚、膝、後脚の部分に分かれます。 ・前脚 ぜんきゃく:視床から前頭葉、前頭葉から同側橋核への線維があります。 ・膝 しつ:皮質運動野から脳幹運動神経核への線維があります。 ・後脚 こうきゃく:皮質脊髄線維、視床から皮質感覚野への線維などがあります。 2.交連線維 こうれんせんい:左右半球の皮質間(同一部位)を結びます。 ・脳梁 のうりょう:新皮質の全域を結びます。 ・前交連 ぜんこうれん:嗅球、1次嗅皮質などの古皮質、側頭葉前部の新皮質などを結びます。 ・後交連 こうこうれん ・海馬交連 かいばこうれん ・手綱交連 たづなこうれん 3.連合線維 れんごうせんい:同側半球皮質間を結びます。 ・弓状線維 きゅうじょうせんい:隣接の回、同一回内を結びます。 ・上縦束 じょうじゅうそく:前頭葉、側頭葉、後頭葉の間を結びます。 ・下縦束 かじゅうそく:後頭葉と側頭葉の間を結びます。 ・鉤状束 こうじょうそく:前頭葉眼窩面と側頭葉前部を結びます。 ・帯状束 たいじょうそく:帯状回や海馬傍回の中を走ります。 ・前頭後頭束 ぜんとうこうとうそく:前頭葉と後頭葉を結びます。 |
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-LESSON4 大脳皮質、皮質領域- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1.大脳皮質:大脳半球の表層にある灰白質の部分です。 (1)系統発生学的分類 ・新皮質 しんひしつ:ヒトでは90%を占めています。 ・中間皮質 ちゅうかんひしつ ・古皮質 こひしつ:嗅覚に最も関連します。 ・原皮質 げんひしつ:大脳皮質で最も早期に分化する領域です。 (2)形態的分類:隆起(大脳回 だいのうかい)と溝(大脳溝 だいのうこう)から分類します。 ※頭蓋骨に対応して葉(よう)に区分した場合:下の表(大脳半球の区分)参照。 a.前頭葉 ぜんとうよう:中心溝の前方にあります。 ・中心前回 ちゅうしんぜんかい:運動野があります。 b.頭頂葉 とうちょうよう:中心溝の後方、頭頂後頭溝の前方です。 ・中心後回 ちゅうしんこうかい:体性感覚野があります。 ・縁上回 えんじょうかい ・角回 かくかい ・帯状回 たいじょうかい c.後頭葉 こうとうよう ・視覚野があります。 d.側頭葉 そくとうよう ・横側頭回 おうそくとうかい:聴覚野があります。 ・海馬傍回 かいばぼうかい ・歯状回 しじょうかい e.辺縁葉 へんえんよう ・中間・古・原皮質からなり、本能行動や記憶、情動に関わります。 (3)機能的分類:細胞構築(層の厚さや密度)の違いによる分類です。 ・ブロードマンの大脳皮質地図:機能が局在する52の領野に区分したものです。 (4)構造:基本的に6層の円柱構造になっています。 ・第I層(表在層):小型の水平細胞が少数見られます。 ・第II層(外顆粒層):小型の星細胞(顆粒細胞)が密集しています。 ・第III層(外錐体層):小型の錐体細胞が集合しています。 ・第IV層(内顆粒層):小型の星細胞(顆粒細胞)が密集しています。 ・第V層(内錐体層):中・大型の錐体細胞が集合し、錐体路線維を出します。 特に大きなものをベッツの巨大錐体細胞といい、皮質中心前回運動野にあります。 ・第VI層(多形層):紡錘形の細胞からなります。 ・錐体細胞:三角形で、長い先端樹状突起を皮質表面へ、軸索を皮質下へ出しています。 ・星細胞:皮質内の別の細胞とシナプスを形成します。中心後回感覚野に多く見られます。 |
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2.機能局在 (1)運動野:ブロードマンの4野、中心前回にあります。 ・錐体路系に線維を出し、反対側の骨格筋の運動を支配する運動中枢です。 (2)体性感覚野:ブロードマンの1・2・3野、中心後回にあります。 ・皮膚感覚(表在感覚)や深部感覚の中枢です。 (3)聴覚野:ブロードマンの41・42野、横側頭回にあります。 ・一次聴覚野で情報を受け、二次聴覚野や感覚性言語野で情報を認識します。 (4)視覚野:ブロードマンの17・18・19野、後頭葉にあります。 ・一次視覚野で情報を受け、二次視覚野に送り処理することによって視覚認識を行います。 (5)言語中枢:右利きの95%、左利きでも70〜80%の人は左半球にあります。 ・言語中枢のある側の大脳半球を優位半球、他側を非優位半球(劣位半球)といいます。 ・運動性言語野(ブローカ野):音声の組み立て(発語)に関与する中枢です。 ・感覚性言語野(ウェルニッケ野):聞いた言葉(言葉の内容)を理解する中枢です。 |
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