授業ノート-筋学01 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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-LESSON1 筋の分類- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
筋は収縮性を持っており(伸びることはありません)、分類は下の表のようになります。 ・随意筋は意識的に動かせる筋、不随意筋は無意識で動く筋です。 ・骨格筋は骨と骨の間に張っており、関節運動に必要です。 ・骨格筋でも、耳小骨の筋は例外的に不随意筋となっています。 ・平滑筋についてはくわしく解明されていないのが現状だそうです。 これ以降、骨格筋についてみていきます。 |
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骨格筋は一般に紡錘状で、2つ以上の骨の間に張られています(付着)。骨格筋の作用を理解するためには、その付着部(起始と停止)を知ることが重要になってきます。 骨格筋の中央部分を筋腹と呼びます。筋(具体的には筋膜)は腱や腱膜に移行していき、両端の付着部はそれぞれ、筋頭(起始)、筋尾(停止)と呼びます。筋の両端のうち、固定されているか動きの少ないほうを筋頭(起始)、動きの多いほうを筋尾(停止)とします。 ●単関節筋 たんかんせつきん:1つの関節のみを越えて付着する筋です。 ●二関節筋 にかんせつきん:複数の関節を越えて付着する筋(2つ以上でも「二関節筋」)です。 ・二関節筋は複数の関節に作用し、共働運動、反働運動を行います。 |
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筋の性質には次のようなものがあります。 1.興奮性:刺激に対して反応する性質です。 2.収縮性:細胞の長さを短縮する性質です。 3.伸展性:静止時より引き伸ばされても収縮する性質です。 4.弾力性:収縮後に元の長さに戻る性質です。 筋の機能は以下のとおりです。 1.骨格の運動:筋収縮により腱を引っ張り、骨格を動かします。 2.姿勢の保持:筋収縮により、姿勢が保持されます。 3.軟部組織の支持:板状の骨格筋などで内臓を支え、保護しています。 4.器官系の出入り口の開閉:嚥下・排便・排尿の随意運動を行ないます。 5.体温の維持:筋収縮によるエネルギーが一部熱となります。 |
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-LESSON2 骨格筋の構造と補助装置- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●腱:筋の張力を骨の限られた領域に伝達する場合に使われる、強靭線維性結合組織です。 ●腱膜:腱が広い部位に付着する場合で、膜状に広がったものです。 ●筋上膜:筋の表面を包む線維性結合組織で、筋の保護や、収縮の制限をします。 ●支帯 したい:腱が浮き上がるのを防ぐ役目を果たします。 ●滑液包 かつえきほう:滑液の入った袋で、筋や腱が硬い部分と接するとき、その部位の摩擦を軽減します。 ●腱鞘 けんしょう:手根・足根などで、激しい運動による摩擦を軽減するために腱を覆うものです。 ・腱鞘の外層:線維鞘 せんいしょう ・腱鞘の内層:滑液鞘 かつえきしょう(滑膜でできています) ●筋滑車 きんかっしゃ:腱の方向転換をするためのものです。 ●種子骨 しゅしこつ:腱が筋の突出部を越えて走行するときに、摩擦に抵抗するために介在する骨です。 |
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-LESSON3 筋の収縮- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●収縮のメカニズム(興奮収縮連関):筋収縮は筋原線維のアクチンとミオシンの相互作用で起こります。 1.神経から興奮が伝えられると、筋小胞体からカルシウムイオンが放出されます。 2.カルシウムによってアクチンはミオシンと接触し、ATPを分解してエネルギーを放出します。 3.エネルギーによって細いアクチンフィラメント(細糸)が太いミオシンフィラメントの間に引きずりこまれ、筋収縮がおこります。(フィラメント滑走説) 4.神経からの刺激がなくなるとカルシウムが吸収され、筋肉が弛緩します。 ・カルシウムイオンは収縮と弛緩を制御しているといえます。 ●収縮の様式 ・単収縮 たんしゅうしゅく:単一刺激による、1回だけの速い収縮です。 ・強縮 きょうしゅく:単収縮が連続で起こって加重し、収縮力が大きくなる現象です。 ・弛緩 しかん:筋に収縮のない状態です。 ●筋の張力 筋力(張力)の大きさは、収縮に関与した筋線維数で決まります。発生する最大筋力と筋断面積との比を絶対筋力といいます(人間では4〜8kg/cm2)。 筋張力は筋長が変化した場合にも変わってきます。全張力から静止張力(静止する長さを保つための張力)を引くと、活動張力(筋収縮によって発生した張力)を求めることができます。静止張力は筋長が長くなると増加しますが、活動張力は逆に減少してしまいます。筋は生体内での長さ付近で最大張力を発生しています。 |
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●筋の疲労:筋収縮を長く続けると、ATPの分解に酸素の供給が追いつかなくなり、無酸素で解糖しなければいけません。そのとき多量の乳酸が蓄積し、興奮収縮連関の能率が低下します。 ●筋の線維:大きく2種類に分けられますが、この分類にもATPを得る方法が関係します。 ・I型線維 いちがたせんい(赤筋 せききん・遅筋 ちきん):好気的代謝が活発で、収縮は遅くなっています。ミオグロビン・ミトコンドリアを含み、赤く見えます。(上記の表、方法3) ・II型線維 にがたせんい(白筋 はくきん・速筋 そくきん):嫌気的代謝が活発で、収縮は速くなっています。ミオグロビンが少なく、白く見えます。(上記の表、方法2) (余談)ここでよく出てくる話が、赤身の魚と白身の魚の話です。マグロが水中にずっともぐっているには、ミオグロビンで酸素を保持する必要があり、持続力があって疲れにくい赤身(赤筋)となっています。一方、タイは速い流れを泳ぐため、瞬発力はありますが疲れやすい白身(白筋)となっています。 |
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-LESSON4 筋と運動神経- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●神経筋接合部 運動神経は筋肉内で細かく枝分かれして、筋の終板(しゅうばん)に埋め込まれています。運動神経軸索終末と筋の終板の接合部分を、神経筋接合部といいます。 運動神経終末部の内部にはミトコンドリアと多数のシナプス小胞があり、終末部に興奮が伝達されると、脱分極によってアセチルコリン(Ach)を放出します。アセチルコリンは筋の終板にある受容器と結合し、脱分極を起こします(このときの電位を終板電位といいます)。その結果、筋線維膜に興奮が発生し、筋収縮に至ります。 アセチルコリンは終板にあるコリンエステラーゼによって分解されます。 ●運動単位 1本の運動神経線維とそれが支配する筋線維群が、筋の運動単位(神経筋単位)になっています。1本の運動神経線維が何個の筋線維を支配しているかを神経支配比といいます。 ・粗大な運動を行なう筋:筋線維が多い、筋の神経支配比が大きい ・精緻な運動を行なう筋:筋線維が少ない、筋の神経支配比が小さい ●サイズの原理 筋収縮の程度は運動単位の発射頻度と、活動する運動単位の数、各運動単位の活動のタイミングの一致によって変化します。運動単位の発射順序は一定しており、閾値の小さい運動単位がまず活動し、しだいに閾値の大きな筋が活動に参加します。これをHenneman(ヘンネマン)のサイズの原理といいます。 |
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-LESSON5 筋の運動- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
筋収縮とは、筋張力が発生する意味であり、必ずしも短縮を意味しません。なお、筋に収縮のない状態を弛緩といいます。 筋収縮の様態には下表のようなものがあります。具体的な運動は、「関節運動」、「関節可動域」を参照してください。ただし、関節運動を伴わない筋の運動もあるので、とりあげておきます。 ・括約 かつやく:開口部を狭める運動 ・散大 さんだい:開口部を広げる運動 |
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●共同筋のはたらき 1.中和筋 ちゅうわきん:他の運動を打ち消す働きをします。 2.支援共同筋 しえんきょうどうきん:作動筋による不必要な動きを抑制(中和)します。 3.真正共同筋 しんせいきょうどうきん:二関節筋が短縮するとき、中間関節の運動を防止するために、別の筋が静止性収縮を行います。 ●てこ 人体にはてこがみられ、筋収縮で発生した張力を効率的に利用し、運動を行なっています。 |
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●筋肥大 きんひだい:強力な筋活動を続け、筋の大きさが増大することです。 ●筋萎縮 きんいしゅく:筋肥大の逆で、筋を使用しないでいると、小さくなることです。 |
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-LESSON6 筋の呼称と形状- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●形状 1.平行筋 へいこうきん:筋束が筋の長軸に平行な筋で、大部分の骨格筋がこれに当たります。 2.収束筋 しゅうそくきん:起始部は広く、停止部は収束しています。扇状や三角形を示します。 3.羽状筋 うじょうきん:腱が筋腹を貫いていて、筋束が腱に対して斜めに配列しています。 4.輪状筋 りんじょうきん:輪状に配列し、体内の通路の出入り口を閉じるように働きます。 ●呼称 1.部位による呼称:胸、殿、背、側頭、上腕、膝窩など 2.形状による呼称:三角、菱形、方形、鋸状(複数の肋骨に起始・停止する場合)、梨状など 3.作用による呼称:伸展・屈曲、内転・外転、括約・散大など 4.起始・停止による呼称:起始・停止している骨名 5.走行による呼称:垂直、斜め、横(水平)、輪状など 6.筋頭・筋腹の数による呼称:二頭、三頭、四頭、二腹など 7.その他形容詞による呼称:大・中・小、長・短、前・中・後、内・外、橈側・尺側など 具体的な筋の名前は次ページです。 |
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