授業ノート-関節靱帯05
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-LESSON1 下肢の関節・靱帯-
1.骨盤 こつばん
 ・鼠径靱帯(鼡径靱帯) そけいじんたい:上前腸骨棘と恥骨結節の間に張っています。
  ※スカルパ三角:鼡径靱帯、縫工筋、長内転筋で作られる三角です。
  ※鼡径靱帯と大腿動脈の交点から下方・外側へ3cmのところで、大腿骨頭に触れることができます。

2.恥骨結合 ちこつけつごう
 ・骨盤前面の正中線上で、両側の恥骨結合面が連結しています。
 ・ほとんど可動性はありません。
 ・上恥骨靱帯 じょうちこつじんたい:恥骨結合の上方を補強します。
 ・恥骨弓靱帯 ちこつきゅうじんたい:恥骨結合の下方を補強します。

3.仙腸関節 せんちょうかんせつ:平面関節(半関節)
 (1)特徴
  ・仙骨の耳状面と、腸骨の耳状面との間の関節です。
  ・ほとんど可動性はありません。
 (2)靱帯
  ・前仙腸靱帯 ぜんせんちょうじんたい:仙腸関節の前面を補強します。
  ・短後仙腸靱帯 たんこうせんちょうじんたい:仙骨稜と下後腸骨棘の間に張っています。
  ・長後仙腸靱帯 ちょうこうせんちょうじんたい:仙骨外側縁と上後腸骨棘の間に張っています。
  ・骨間仙腸靱帯 こつかんせんちょうじんたい:仙骨粗面と腸骨粗面の間の強い靱帯です。
  ・腸腰靱帯 ちょうようじんたい:第4・5腰椎の横突起と腸骨稜後縁の間の強い靱帯です。
  ・仙結節靱帯 せんけっせつじんたい:仙骨の外側縁および下後腸骨棘と坐骨結節を結ぶ強力な靱帯です。
  ・仙棘靱帯 せんきょくじんたい:仙骨の外側縁と坐骨棘の間の靱帯です。
 (3)運動
  a.うなずき運動:仙骨の岬角が前下方に、仙骨尖が後上方に動く回旋運動です。
  b.逆うなずき運動:うなずき運動とは逆に動きます。
-LESSON2 股関節-
●股関節 こかんせつ:球関節(臼関節)

1.特徴
 ・大腿骨頭と寛骨臼との間の関節です。
 ・関節包は強靭です。
 ・大腿骨頭の2/3(関節面は240°)が関節窩に入ります。

2.靱帯
 ・寛骨臼横靱帯 かんこつきゅうおうじんたい:関節唇とともに、関節窩を深くしています。
 ・大腿骨頭靱帯 だいたいこつとうじんたい:寛骨臼窩と大腿骨頭窩を結ぶ、関節包内靱帯です。
  ※大腿骨頭への血液供給を行ないます。骨頭を固定する機能はほとんどありません。
  ※股関節内転時に緊張し、外転時に弛緩します。
 ・輪帯 りんたい:大腿骨頸を輪状に取り巻く靱帯です。
 ・腸骨大腿靱帯 ちょうこつだいたいじんたい(Y靱帯 ワイじんたい):350kgに耐える、人体で最強の靱帯です。
  ※下前腸骨棘および寛骨臼上縁と、転子間線を結び、逆Y字型を呈しています。
 ・恥骨大腿靱帯 ちこつだいたいじんたい:寛骨臼と小転子の間の靱帯です。
 ・坐骨大腿靱帯 ざこつだいたいじんたい:寛骨臼と、輪帯および転子窩との間に張ります。
  ※腸骨・恥骨・坐骨大腿靱帯は、すべて股関節屈曲位で弛緩します。

3.運動
 a.角度
  ・解剖軸 かいぼうじく:垂直軸に対する、大腿骨の角度です。正常は9〜10°。
  ・運動軸 うんどうじく:運動を行なうときの軸です。垂直軸に対して3°あります。
  ・頸体角 けいたいかく:前額面上で、大腿骨頸と大腿骨体とのなす角度です。正常は120〜130°。
   ※170°以上を外反股(がいはんこ)、100°以下を内反股(ないはんこ)といいます。
   ※小児は150°が正常です。
  ・前捻角 ぜんねんかく:水平面上で、大腿骨頸と大腿骨体とのなす角度です。正常は10〜30°。
   ※小児は35°が正常です。
  ・臼蓋角 きゅうがいかく:腸骨最下端部と臼蓋嘴を結んだ線と、両腸骨最下端線を結んだ角度です。
   ※正常は、成人で10°、小児で20〜30°です。
 b.運動
  ・屈曲、伸展、外転、内転、外旋、内旋を行なうことができます。
  ・股関節屈曲運動の1/3〜1/4は、骨盤の回旋によるものです。
  ・屈曲9°から骨盤の回旋は起こります。
  ・骨盤を固定せずに30°以上外転すると、反対側の股関節も外転します。
  ・股関節屈曲位で内転を行なうと、関節における骨の接合状態が最弱になります。
-LESSON3 膝関節-
●膝関節 しつかんせつ:大腿骨、脛骨、膝蓋骨から形成されます。

1.大腿脛骨関節 だいたいけいこつかんせつ:蝶番関節(らせん関節)
 (1)特徴
  ・大腿骨下端の外側顆および内側顆と、脛骨上端の外側顆および内側顆との間の関節です。
  ・大腿骨外側顆は見た目は大きいのですが、関節面は小さくなっています。
  ・大腿骨内側顆は見た目は小さいのですが、関節面は大きくなっています。
  ・大腿骨の長軸と脛骨の長軸の間には170〜175°の角度があります(生理的外反)。
  ・人体で最も大きい関節で、複雑な関節であるため、関節半月や靱帯による補強がされています。

 (2)関節半月
  a.関節半月の機能
   ・関節の適合性を良好にします。
   ・緩衝作用を持ちます。
   ・可動域を適正に保ちます。
   ・関節内圧を均等化します。
   ・滑液を分散させます。
  b.外側半月 がいそくはんげつ
   ・脛骨の外側顆関節面上にあります。
   ・O字状をした、小さな関節半月です。
   ・外側側副靱帯には付着していません。
  c.内側半月 ないそくはんげつ
   ・脛骨の内側顆関節面上にあります。
   ・C字状をした、大きな関節半月です。
   ・関節包を介して、内側側副靱帯には付着しています。

 (3)膝十字靱帯
  a.前十字靱帯 ぜんじゅうじじんたい(ACL:anterior cruciate ligament)
   ・脛骨の前顆間区から上後方に向かい、大腿骨外側顆の内側面後部に付着します。
   ・脛骨の前方への滑り出しを防ぎます。
  b.後十字靱帯 こうじゅうじじんたい(PCL:posterior cruciate ligament)
   ・脛骨の後顆間区から上前方に向かい、大腿骨内側顆の外側面前部に付着します。
   ・脛骨の後方への逸脱を防ぎます。
  ※前十字靱帯と後十字靱帯は十字型に交叉するので、「十字靱帯」と呼ばれます。
  ※前十字靱帯と後十字靱帯の長さの比は、5:3です。

 (4)その他の靱帯
  ・外側側副靱帯 がいそくそくふくじんたい:大腿骨外側上顆と腓骨頭を結びます。
  ・内側側副靱帯 ないそくそくふくじんたい:大腿骨内側上顆と脛骨内側顆を結びます。
   ※側副靱帯は膝関節の左右方向を補強し、伸展時に緊張、屈曲時に弛緩します。
  ・膝蓋靱帯 しつがいじんたい:膝蓋骨尖と脛骨粗面の間に張ります。
  ・斜膝窩靱帯 しゃしつかじんたい:半膜様筋腱の下端と大腿骨外側顆後面を結びます。
  ・弓状膝窩靱帯 きゅうじょうしつかじんたい:大腿骨外側顆後面と腓骨頭を結びます。
  ・後半月大腿靱帯 こうはんげつだいたいじんたい:外側半月と大腿骨内側顆内面を結びます。
  ・膝横靱帯 しつおうじんたい:内側半月の前縁と外側半月の前縁を結びます。

 (5)膝関節の運動
  a.運動の種類
   ・屈曲、伸展、外旋、内旋を行ないます。
  b.ころがり運動(rolling)とすべり運動(sliding)
   ・大腿骨の関節面は、脛骨の関節面に比べて、前後方向に2倍の長さを持ちます。
   ・屈伸運動の際、大腿骨が脛骨関節面上で行なうのが、ころがり運動とすべり運動です。
   ・完全伸展位からの屈曲初期には、ころがり運動だけを行ないます。
   ・完全伸展位から屈曲を続けると、しだいにすべり運動が加わります(ころがりとすべりの複合運動)。
   ・完全伸展位からの屈曲終期には、すべり運動だけを行ないます。
   ・大腿骨の関節面は外側顆のほうが短いので、距離を補うため、ころがり運動の要素が大きくなっています。
  c.終末強制回旋運動 screw-home movement(「膝をしめる」、「膝をロックする」)
   ・屈伸運動の際、不随意に起こる自動的な回旋運動です。
   ・完全伸展位から屈曲を行なうと、脛骨の内旋がおこります。
   ・屈曲位から伸展していくと、脛骨は外旋します。
   ・屈曲30°では、脛骨は正面を向きます(内外旋0°になります)。

2.大腿膝蓋関節 だいたいしつがいかんせつ:平面関節
 (1)特徴
  ・大腿骨下端前面と、膝蓋骨との間の関節です。
  ・大腿脛骨関節の動きに追従して動きます。
 (2)膝蓋骨の機能
  ・膝関節前面を骨性に保護します。
  ・伸筋群が効率よく作動するための滑車の機能をもちます。

3.脛腓関節 けいひかんせつ:平面関節
 (1)特徴
  ・脛骨外側顆の後外側にある腓骨関節面と、腓骨頭関節面との間の関節です。
  ・膝関節の形成に直接関与しません。
  ・前腓骨頭靱帯 ぜんひこつとうじんたい:関節包の前面を補強します。
  ・後腓骨頭靱帯 こうひこつとうじんたい:関節包の後面を補強します。
  ・前脛腓靱帯 ぜんけいひじんたい:腓骨切痕と腓骨下端との結合を、前面で補強しています。
  ・後脛腓靱帯 こうけいひじんたい:腓骨切痕と腓骨下端との結合を、後面で補強しています。
 (2)運動
  ・膝関節に伴なう運動はなく、足関節に伴なって運動します。
  ・足関節が背屈すると、腓骨は外旋しながら上昇します。
  ・足関節が底屈すると、腓骨は内旋しながら下降します。
-LESSON4 足の関節・靱帯-
1.距腿関節 きょたいかんせつ(足関節 そくかんせつ):蝶番関節(らせん関節)
 (1)特徴
  ・脛骨の下関節面、内外果関節面と、距骨滑車との間の関節です。
  ・背屈、底屈を行なうことができます。
  ・距骨滑車の幅は前方のほうが5mm広くなっており、底屈位での内外転が可能です。
 (2)靱帯
  ・内側側副靱帯 ないそくそくふくじんたい(三角靱帯 さんかくじんたい):足関節の関節包内側部を補強します。
  ・前距腓靱帯 ぜんきょひじんたい:腓骨外果前縁と距骨外側縁を結びます。
  ・後距腓靱帯 こうきょひじんたい:腓骨外果窩と距骨後突起を結び、関節包後外側を補強します。
  ・踵腓靱帯 しょうひじんたい:腓骨外果下縁と踵骨外側面結び、関節包外側部を補強します。

2.距骨下関節 きょこつかかんせつ:顆状関節
 ・距骨下面と踵骨上前面との間の関節です。
 ・外がえし、内がえし運動が可能です。
  ※外がえし=回内+外転+背屈の複合運動です。
  ※内がえし=回外+内転+底屈の複合運動です。
 ・外側距踵靱帯 がいそくきょしょうじんたい:関節包の外側を補強します。
 ・内側距踵靱帯 ないそくきょしょうじんたい:関節包の内側を補強します。
 ・骨間距踵靱帯 こつかんきょしょうじんたい:距骨と踵骨を結ぶ骨間靱帯です。

3.横足根関節 おうそくこんかんせつ(ショパール関節)
 ・横足根関節は、距踵舟関節と踵立方関節からなります。
 a.距踵舟関節 きょしょうしゅうかんせつ:平面関節
  ・距骨、踵骨、舟状骨の間の関節です。
  ・距骨下関節と共同して、外がえし、内がえしを行ないます。
 b.踵立方関節 しょうりっぽうかんせつ:鞍関節
  ・踵骨と立方骨の間の関節です。

4.楔舟関節 けつしゅうかんせつ:楔状骨後面と舟状骨前面との関節です。
5.楔間関節 けつかんかんせつ:内側・中間・外側楔状骨の間の関節です。
6.楔立方関節 けつりっぽうかんせつ:外側楔状骨と立方骨の間の関節です。

7.足根中足関節 そくこんちゅうそくかんせつ(リスフラン関節):平面関節
 ・足根骨遠位列と中足骨底の間の関節です。
 ・内側楔状骨と第1中足骨との関節(第1足根中足関節)だけが鞍関節です。

8.中足間関節 ちゅうそくかんかんせつ:平面関節
 ・隣接する中足骨の間の関節です。

9.中足趾節関節 ちゅうそくしせつかんせつ:顆状関節
 ・第1〜5中足骨と基節骨との間の関節です。

10.趾節間関節 しせつかんかんせつ(IP関節):蝶番関節
 a.母趾趾節間関節 ぼししせつかんかんせつ(IP関節):母趾の基節骨と末節骨との間の関節です。
 b.近位趾節間関節 きんいしせつかんかんせつ(PIP関節):第2〜5趾の基節骨と中節骨との間の関節です。
 c.遠位趾節間関節 えんいしせつかんかんせつ(DIP関節):第2〜5趾の中節骨と末節骨との間の関節です。
-LESSON5 足のアーチ-
1.足のアーチの機能
 ・緩衝作用、体重支持(足底にかかる体重を分散)の役割を持ちます。
 ・安静立位では、体重の50%ずつが両足の距骨にかかります。
 ・距骨にかかった体重は、踵部に50%、母趾球部と小趾球部に50%かかります。

2.内側縦アーチ(内側縦足弓 ないそくじゅうそくきゅう)
 ・踵骨、距骨、舟状骨、内側楔状骨、第1中足骨からなり、かなめ石は舟状骨です。
 ・「土踏まず」を形成し、歩行運動と密接に関係します。
 ・後脛骨筋が形成に重要な働きをします。
 ※「かなめ石」とは、アーチの頂上のことです。

3.外側縦アーチ(外側縦足弓 がいそくじゅうそくきゅう)
 ・踵骨、立方骨、第4中足骨、第5中足骨からなり、かなめ石は踵立方関節部です。
 ・足のバランスと密接な関係があります。

4.横アーチ(横足弓 おうそくきゅう)
 ・内側楔状骨、中間楔状骨、外側楔状骨、第1〜5中足骨頭からなります。