授業ノート-解剖生理学12
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-LESSON1 内分泌について-
●ホルモン:分泌細胞から血液中に放出される化学物質です。標的器官細胞にしか働きません。
 ・標的器官細胞:ホルモンが働く特定の器官や組織のことです。

1.種類
 (1)内分泌:下垂体前葉、甲状腺、上皮小体、膵臓、副腎、生殖腺、唾液腺、松果体、消化管など
 (2)神経分泌:視床下部、下垂体後葉など

2.分類
 (1)化学構造による分類
  a.ペプチドホルモン:下垂体、副甲状腺、膵臓などから分泌されます。
  b.ステロイドホルモン:副腎皮質、性腺などから分泌されます。
  c.アミン型ホルモン(アミノ酸誘導体ホルモン):甲状腺ホルモン、カテコールアミンなど。
 (2)作用機序による分類(細胞膜を通過して作用できるかできないか)
  a.細胞膜受容体:ペプチドホルモン、アミン型ホルモン
  b.細胞質受容体:ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン(チロキシン)
 (3)分泌方法による分類
  a.開口分泌型:ペプチドホルモン、アミン型ホルモン
  b.細胞膜透過型:ステロイドホルモン
内分泌系の模式図
視床下部(内分泌の中枢)
下垂体前葉 交感神経 下垂体後葉
GH
TSH

ACTH

ADH

オキシトシン
骨・筋組織 甲状腺 副甲状腺
(上皮小体)
副腎皮質 副腎髄質 腎臓 膵臓 子宮
サイロキシン
カルシトニン
パラソルモン コルチゾール
アルドステロン
アドレナリン
ノルアドレナリン
インスリン
グルカゴン

-LESSON2 分泌部位別ホルモン-
●視床下部:ホルモンを調節するホルモンを放出します。
 (1)成長ホルモン放出ホルモン
 (2)成長ホルモン放出抑制ホルモン
 (3)プロラクチン放出ホルモン
 (4)プロラクチン放出抑制ホルモン
 (5)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
 (6)副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
 (7)黄体形成ホルモン放出ホルモン

●下垂体ホルモン:視床下部の調節を受けて、ホルモンを分泌します。
 1.下垂体前葉
  (1)成長ホルモン(GH):骨や筋、組織に作用し、身体成長を促進します。
  (2)甲状腺刺激ホルモン(TSH):甲状腺に作用し、甲状腺の成長と分泌を刺激します。
  (3)副腎皮質刺激ホルモン(ACTH):副腎皮質に作用し、副腎皮質の成長と分泌を刺激します。
 2.下垂体後葉
  (1)抗利尿ホルモン(ADH、バソプレッシン)
   ・腎臓の尿細管に作用して、水分の再吸収を促進(抗利尿)します。
   ・末梢血管の収縮に作用し、血圧を上昇させます。
  (2)オキシトシン
   ・子宮筋に作用し、収縮させます(分娩促進)。
   ・乳腺に作用して、乳汁放出を促します。

●甲状腺
 (1)サイロキシン(チロキシン、T4)、トリヨードサイロニン(T3)
  ・体組織(全身の細胞)に作用し、熱産生、代謝促進を行ないます。
 (2)カルシトニン
  ・骨に作用し、血中のCa濃度を低下させ、骨吸収(破骨細胞)を抑制します。
  ・腎臓に作用し、Caの排出を増加させます。

●副甲状腺(上皮小体)
 (1)パラソルモン(PTH)
  ・骨に作用し、血中のCa濃度を上昇させ、骨吸収(破骨細胞)を促進します。
  ・腎臓に作用し、Caの排出を減少させます。

●膵臓(ランゲルハンス島)
 (1)インスリン:標的器官は肝細胞で、B細胞から分泌します。
  ・ブドウ糖からグリコーゲンを生成します。
  ・ブドウ糖の細胞内への取り込みを促進(血糖値の減少)します。
 (2)グルカゴン:標的器官は肝細胞で、A細胞から分泌します。
  ・グリコーゲンを分解(血糖値の上昇)します。

●副腎皮質
 (1)糖質コルチコイド(コルチゾール)
  ・脂肪や蛋白質からブドウ糖を合成(血糖値上昇)します。
  ・ストレスに対して抵抗性を高めます。
 (2)電解コルチコイド(アルドステロン)
  ・腎臓でNaの再吸収とKの排泄を促進します。

●副腎髄質:交感神経の興奮時の働きと類似します。
 (1)アドレナリン
  ・心拍数増加、末梢血管収縮、血圧上昇、血糖上昇に作用します。
 (2)ノルアドレナリン
  ・心拍数減少(または変化なし)、末梢血管収縮、血圧上昇、血糖上昇に作用します。
  ・ストレスに対して抵抗性を高めます。

●唾液腺
 ・パロチン:骨髄、軟骨、歯の石灰化を促進し、血中Ca濃度を低下します。
-LESSON3 ホルモンによる障害-
●甲状腺機能亢進症:バセドウ病(グレーブス症)
 ・甲状腺の機能が亢進し、甲状腺ホルモンの生成分泌が異常に増加した状態です。
 ・全身の細胞(代謝など)を過剰に活性化します。

●甲状腺機能低下症:クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)
 甲状腺の働きが生まれつき低下している状態です。発育や知能が遅れます。

●テタニー
 上皮小体ホルモン(パラソルモン)の不足のため血液中のCa濃度が低下して、末梢神経の興奮性が高まり、筋肉の持続的な硬直をきたした状態です。血中のCa濃度は血液のpHによって左右されるので、血液がアルカリ性に傾いて低カルシウム血症になってもテタニーになることがあります。

●糖尿病
 インスリンの分泌が低下するなど、空腹時の血糖値が180を越えた場合です。
-LESSON4 水分の調節-
口渇(水分の不足)時の作用
(1)細胞内外液量減少(血流量の減少) (2)浸透圧の上昇(Na濃度の上昇)
レニン分泌促進 飲水を促す バソプレッシン分泌促進
アルドステロン 水の再吸収促進
Naの再吸収促進

-LESSON5 調節機能別ホルモン-
■血糖値上昇
(甲状腺) サイロキシン →全身の器官が標的
トリヨードサイロニン
(膵臓) グルカゴン →肝臓が標的
(副腎皮質) コルチゾール
(副腎髄質) アドレナリン
ノルアドレナリン
■血糖値下降
(膵臓) インスリン →肝臓が標的
■血中Ca濃度上昇
(上皮小体) パラソルモン →腎臓が標的
(腎臓) 活性型ビタミンD3 →小腸が標的
■血中Ca濃度下降
(甲状腺) カルシトニン →骨が標的
■血圧上昇
(下垂体後葉) バソプレッシン
(腎臓) レニン
(副腎髄質) アドレナリン →末梢血管が標的
 ※最高血圧上昇、最低血圧下降
ノルアドレナリン →末梢血管が標的
 ※最高血圧・最低血圧ともに上昇