授業ノート-解剖生理学10
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-LESSON1 体温-
●体温:核心温度のことで、血液の温度に相当します。
 ・産生する(作る)温度と放散(放出)される温度は一定です(熱産生+熱吸収=熱損失)。

1.体温の分布
 ・核心温度:身体内部の温度は恒温状態にあり、この体温のことを核心温度といいます。
 ・外層(外殻)温度:身体周囲の冷たい組織温度のことです。

2.体温測定
 ・腋窩温(36.0℃) < 口腔温(36.5℃) < 直腸温(37.0℃)

3.体温の変動:生理的変動があり、核心温度±0.7℃前後で規則正しく周期的に変化します。
 (1)日周変動:夕方(PM3:00〜6:00)が高く、早朝(AM4:00〜6:00)が最も低くなります。
   ・基礎体温:日周変動での最も低い時の体温をさします。
 (2)月周変動:排卵直後に基礎体温は0.5℃上昇し、この高温期は2週間続きます。
 (3)年周変動:一般的に冬季は低く、夏季に高くなります。
 (4)食後変動:食後30〜60分間上昇します。
-LESSON2 熱産生-
●熱産生の種類
 1.ふるえ熱(筋収縮による熱産生)
  ・短時間の寒冷刺激で誘発され、筋細胞内のミトコンドリアによって産生されます。
  ・伸筋と屈筋が細かな周期で律動的に収縮します。
 2.非ふるえ熱(筋収縮以外による熱産生)
  ・ミトコンドリアを多く含む褐色脂肪細胞による熱産生です。
  ・長時間の寒冷刺激によって、交感神経を介して熱の産生が生じます。

●熱産生を行なう部位
 1.安静覚醒時:内臓(52%)、骨格筋(25%)、脳(18%)
 2.筋活動時:骨格筋(75%)
-LESSON3 熱損失(熱放散)-
●熱損失:体表面から物理的機序によって熱が発散することです。
 1.放射(輻射 ふくしゃ):外界温度が体温より低いときに生じ、体温の熱が空中に逃げます。
 2.伝導:直接他の物体に体温を伝導します。
 3.対流:空気に流れによる体温の放散です。
 4.蒸発:発汗と不感蒸泄(ふかんじょうせつ)の2種類があります。
  (1)発汗:1gの汗の蒸発で、0.6kcalの熱が奪われます。
  (2)不感蒸泄:皮膚あるいは上皮の細胞から直接水分が蒸発することをいいます。

 ※熱損失の割合 → 放射10 : 伝導・対流8 : 蒸発5
-LESSON4 発汗-
●発汗
 ・汗は汗腺から作られ、皮膚に排泄されます。
 ・汗腺は200〜500万個存在しますが、実際に分泌を行なっているのは180〜275万個です。
 ・汗の成分:99%は水分です(Nacl、尿素、乳酸を含みます)。
発汗の種類
(種類) (分泌部位) (特徴)
温熱性発汗 手掌・足底部をのぞく全身に分泌 体温調節に関与
精神性発汗 手掌・足底・腋窩部に分泌
味覚性発汗 顔面に分泌

性状による分類
(開口部) (内容物) (分泌量) (体温調節)
エクリン腺 全身皮膚に開口 多量の水分 多量 関与
アポクリン腺 毛根部に開口、腋窩に多い 脂肪・蛋白質を含む、有臭 少量 関与しない

-LESSON5 体温調節-




自律神経(交感神経) 汗腺(エクリン腺)促進 熱放散促進
皮膚血管収縮 熱放散抑制
立毛筋収縮
褐色脂肪細胞 非ふるえ熱産生
心拍数・心収縮増加 熱産生促進
体性神経(錐体外路系) 骨格筋 ふるえ熱産生
下垂体前葉 甲状腺
(サイロキシン)
肝臓の代謝促進
骨格筋の代謝促進
非ふるえ熱産生
副腎皮質
(糖質コルチコイド)
副腎髄質
(アドレナリン)
心拍数・心収縮増加 熱産生促進
※バセドウ病:甲状腺からのサイロキシン(チロキシン)分泌過剰による機能亢進のため、基礎代謝が促進され、体温が上昇します。
-LESSON6 発熱の機序-
細菌の毒素 炎症の発現 他の発熱物質
単球・マクロファージなどが貪食時にIL-1(インターロイキン-1)を産生する
IL-1が視床下部の体温調節中枢に作用する
アラキドン酸からプロスタグランジン(発熱物質)が合成され、発熱する