授業ノート-解剖生理学06
「まえいき」トップページ> 授業ノート> 解剖生理学06
-LESSON1 循環-
●循環:主器官は心臓です。
 1.体循環と肺循環
  ・体循環:左心室→(大動脈弁)→(大動脈)→全身→(大静脈)→右心房→(三尖弁)→右心室
  ・肺循環:右心室→(肺動脈弁)→(肺動脈)→肺→(肺静脈)→左心房→(僧帽弁)→左心室
   ※右の房室にある弁(房室弁)を「三尖弁」、左の房室弁を「僧帽弁(二尖弁)」といいます。

 2.動脈血と静脈血:「動脈」、「静脈」の名前と一致しないので注意です!
  ・動脈血(※上で赤色で示した部分):O2が多く、CO2が少ない血液。大動脈と肺静脈。
  ・静脈血(※上で青色で示した部分):CO2が多く、O2が少ない血液。大静脈と肺動脈。

 3.全身の血液分布(心臓から送られる血液量の、各臓器への割合)
  ・消化器(30%)、腎臓(20%)、脳(15%)、筋肉(15%)、皮膚(10%)。
  ・脳への血流量は、安静時、運動時ともに15%に保たれます。

●冠動脈(かんどうみゃく):心臓の栄養血管です。冠動脈には、心臓の拡張期に血液が流れ込みます。
 1.右回旋枝(みぎかいせんし)
 2.左回旋枝(ひだりかいせんし)
 3.左前下行枝(ひだりぜんかこうし):一番心筋の厚い領域を栄養します。
-LESSON2 血圧-
●血圧
  ・血管内を流れる血液(一般的に動脈の血液)が、血管壁に与える圧力のことです。
  ・血圧が高ければ、血管壁に障害を与え、動脈硬化や狭心症、脳出血の原因となります。
●血圧の求め方: 血圧 = 心拍出量 × 末梢血管抵抗

 ※心拍出量(約5000cc/分) = 拍出量(約70cc) × 心拍数(約70回/分)
●平均血圧の求め方: 平均血圧 = 最低血圧 + 脈圧 ÷ 3

 ※脈圧 = 最高血圧 − 最低血圧
 ※最高血圧と最低血圧のまんなかが平均血圧ではないので注意です。

●収縮と拡張
 ・収縮期血圧(最高血圧):心臓が収縮し、血液が動脈に送り出されるときの血圧です。
 ・拡張期血圧(最低血圧):心臓が拡張し、大動脈弁が閉まったときの血圧です。
血圧(mmHg):WHO基準
最高血圧 最低血圧
低血圧 100以下 60以下
正常血圧 139以下 89以下
境界高血圧 140〜159 90〜94
高血圧 160以上 95以上

-LESSON3 刺激伝導系-
●自動能
 心臓は特殊な心筋線維で構成され、活動中でも睡眠中でも律動的(リズミカル)に規則正しく血液を全身に送り出しています。

●刺激伝導系:(1)から(5)に向かって刺激を伝導し、心筋を興奮させます。
 (1)洞房結節(洞結節):60〜80回/分。歩調取り電位(ペースメーカー)の役割を持ちます。
 (2)房室結節(田原の結節):〜60回/分。
 (3)ヒス束:〜40回/分。
 (4)左脚・右脚
 (5)プルキンエ線維:固有心筋につながり、刺激を伝導します。
  ※それぞれ別々のリズムですが、一番速いリズムに淘汰(速いリズムに合わせる)されます。
-LESSON4 心電図-
●心電図:心筋の活動電位の総和で、両腕と左足の電極で測定します。運動療法の強度を決定する根拠となります。
 1.心電図の波形
  (1)振幅:心電図の縦軸です。P波、Q波、R波、S波、T波、U波の順で振幅します。
   ・P波:心房の脱分極(心房の興奮、心房の収縮)です。
   ・QRS波:心室の脱分極(心室の興奮、心室の収縮)です。
   ・T波:心室の再分極(心室の回復過程、心室の弛緩)です。ST波が低下すると、心筋虚血(心筋梗塞)が疑われます。
   ・U波:プルキンエ線維の再分極です。
   ・基線(きせん):複数のP波の始めを結んだ線です。基線を基準として、波形の高低を見ます。
    ※心房の再分極も起こっているのですが、R波の大きな振幅の影響で検出されにくくなっています。
  (2)時間:心電図の横軸です。
   ・P-R(P-Q)間隔:房室間伝導時間(刺激が洞結節から心室に達するまでの時間)です。
   ・S-T間隔:心室全体に興奮が広がる時間です。通常は基線に一致します。
   ・Q-T間隔:心室の興奮が始まってから、消えるまでの時間を表します。
   ・R-R間隔、P-P間隔:R(P)波から、次のR(P)波までの距離です。正常では等間隔になります。

 2.心電図の基本
  ・紙送りの速度は、25mm/秒です。すなわち、記録紙の1目盛(1mm)は0.04秒に換算されます。
  ・記録紙の太線の1目盛(5mm)は0.2秒に換算されます。
  ・通常は第U誘導の心電図を計測します(波形が大きいため)。
  ・aVRは波形が上下逆になります。

 3.心電図の評価
  (1)心拍数の算出:R-R間隔(R波とR波との間隔)を1分に換算します。
   a.「60/R-R間隔(mm)×0.04」で求める方法
   b.「6秒あたりのR波の数×10」で求める方法
    があります。
  (2)P波、QRS波、T波は、1:1:1の割合になります(同じ興奮が伝導していくため)。
  (3)R-R間隔、P-P間隔、P-Q間隔と、その整・不整を見ます(正常ではすべて均等になります)。

 4.電極の張り方(12誘導)
電極を貼り付ける位置と診断
(誘導の種類) (電極名) (電極の色) (電極の位置) (診断部位)
双極誘導
(標準肢誘導)
第T誘導 - (aVRからaVLに向かって見る) 前側壁
第U誘導 - (aVRからaVFに向かって見る) 側壁、下後壁
第V誘導 - aVLからaVFに向かって見る) 側壁、下後壁
単極肢誘導 aVR 右手 右心室
aVL 左手 前側壁
aVF 左足 側壁、下後壁
単極胸部誘導 V1 第4肋間の右 右心室前壁、心室中隔
V2 第4肋間の左 右心室前壁、心室中隔
V3 V2とV4の間 心室前壁、心室中隔
V4 第5肋間と鎖骨の中間の垂線との交点 左心室前壁、心室中隔
V5 V4とV6の間 左心室前側壁、下側壁
V6 第5肋間と腋窩の垂線との交点 左心室前側壁、下側壁
●異常心電図
 1.不整脈:脈が速くなったり、遅くなったり、リズムが狂うことです。
  ・期外収縮(きがいしゅうしゅく):正常な拍動とは異なる拍動(リズムの乱れ)が起こることです。
  ・頻脈(ひんみゃく):脈拍が安静にしていても、1分間に100以上になることです。
  ・徐脈(じょみゃく):脈拍が1分間に60以下になることです。

 2.ブロック
  ・房室ブロック:P-Q間隔が延長します(房室で興奮が伝わらなくなります)。心臓ペースメーカーの適用となります。
  ・心室ブロック:心室で興奮が伝わらなくなります。
  ・右(左)脚ブロック:右(左)脚で興奮が伝わらなくなります。

 3.代償性休止:迷走神経の刺激により、心筋の動きが一拍抜けることです。
-LESSON5 収縮・拍出の調節-
●神経支配:自律神経による支配です(調節中枢は延髄)。
自律神経による調節
洞房結節 心筋
交感神経 収縮の回数を増加 1回拍出量の増加
副交感神経 収縮の回数を減少 1回拍出量の減少

●受容器による調節
 1.大動脈弓、総頸動脈:圧受容器によって血圧をモニターします。
   ・制圧感知神経が心臓抑制中枢に働きかけ、拍出量を減少させます。
 2.大動脈体、頸動脈小体:化学受容器によってCO2量をモニターします。
   ・増圧感知神経が心臓促進中枢に働きかけ、拍出量を増加させます。