授業ノート-解剖生理学04
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-LESSON1 血液の機能-
 血液は心臓によって、体中を循環しています。全血液量は体重の8%(1/12〜1/13、体重60kgの人なら約5kg)です。

 血液の機能には、
●物質の運搬:酸素、栄養、老廃物などを運搬します
●体内のpH維持:pH7.4に保ちます
●身体の防衛機能:白血球などの働きによります
●止血作用:血小板などにより止血します
 があります。

 血液は血球と血漿にわかれ、血球には赤血球、白血球、血小板の3つがあります。血漿はほとんどが水分ですが、血漿蛋白質(けっしょうたんぱくしつ)が存在します。
血液の構造
血液 血球 けっきゅう
(45%)
赤血球 せっけっきゅう:ヘモグロビン(Hb)の作用による酸素の運搬
白血球 はっけっきゅう:免疫作用
血小板 けっしょうばん:止血作用
血漿 けっしょう
(55%)
水分(血漿の90%)
有機物
(血漿蛋白質)
アルブミン:pHの維持、浸透圧の維持、蛋白質補給
αグロブリン:ビタミン・ホルモンの運搬
βグロブリン:ビタミン・ホルモンの運搬
γグロブリン:免疫に関与(免疫グロブリン)
フィブリノーゲン:血液を固める(凝固作用)
無機物 ナトリウム、カルシウムなど

-LESSON2 赤血球と貧血-
 赤血球はヘモグロビン(Hb)の作用によって酸素を運搬します。
 ヘモグロビン(Hb)とは赤血球に含まれている血色素のことで、鉄と蛋白質から構成されています。特に鉄分は、体内の2/3もの量がヘモグロビンに含まれています。ヘモグロビン値(Hb値)は、男性で16g/dl、女性で14g/dlです。

 赤血球の特徴は以下のようなものがあります。
●男性で500万/mm3、女性で450万/mm3存在し、直径は6.0〜9.5μm、厚さは2μmです
●骨髄で産生されます
●鉄分を含みます:野菜に含まれる鉄分の吸収率は2〜5%、肉・魚は15〜25%です
●ビタミンB12、葉酸(ようさん)は赤血球産生に必要となります
●赤血球は脾臓や肝臓で破壊されます(寿命は約120日)

 貧血は、赤血球やヘモグロビンの量が減少した状態を指します。
1.再生不良性貧血:骨髄機能の低下
2.鉄欠乏性貧血:鉄分欠乏による赤血球不足
3.悪性貧血:ビタミンB12欠乏による
4.溶血性貧血:赤血球の異状による

●溶血 ようけつ:赤血球を構成する膜が破れて、ヘモグロビンが細胞外へ流出する現象です。
●繊維素溶解 せんいそようかい(線溶):血液凝固で生じる網状のフィブリン(繊維素)が、プラスミンによって溶解される現象。
 
-LESSON3 白血球-
白血球の構造
白血球 顆粒球 かりゅうきゅう 好中球 こうちゅうきゅう
好酸球 こうさんきゅう
好塩基球 こうえんききゅう
無顆粒球 むかりゅうきゅう 単球 たんきゅう(マクロファージ):食作用、抗原提示
リンパ球 T細胞 キラーT細胞:細胞性免疫担当
ヘルパーT細胞:B細胞へ情報伝達
サプレッサーT細胞:抗体産生抑制
B細胞:形質細胞へと分化して抗体を産生
●好中球:食作用によって異物を処理します。白血球で最も数の多い細胞です。
●好酸球:特殊な蛋白を放出して寄生虫やその虫卵を傷害します。喘息や薬物アレルギーなどのアレルギー反応を引き起こします。
●好塩基球:ヒスタミンなどが放出されて、即時型のアレルギー反応を引き起こします。
●単球:強力な食作用を持ちます。血管外ではマクロファージに変化します。
●リンパ球:免疫の抗原抗体作用を担います。
-LESSON4 免疫とアレルギー-
●免疫
 免疫には、細胞性の免疫と、液性の免疫があります。
 ・細胞性免疫 さいぼうせいめんえき:細胞主体の免疫作用で、担当細胞が直接異物を攻撃します。
 ・液性免疫 えきせいめんえき:B細胞で抗体を産生して、それにより異物を排除します。

 抗体とは抗原と特異的に反応する免疫グロブリン(γグロブリン)の総称です。免疫グロブリンは、血液中の濃度が濃い順に、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があります。

●アレルギー
 アレルギー反応とは、免疫反応が生体にとって不利に働き、組織が傷害される反応です。主に免疫グロブリンによって引き起こされます。
 1.I型アレルギー:抗体によって引き起こされる反応です。
  (例)アナフィラキシーショック:抗原の進入に抗体が過剰反応し、炎症物質を放出させます。
 2.II型アレルギー:自己の細胞が非自己として認識され、攻撃されてしまいます。
  (例)ウイルス性肝炎など
 3.III型アレルギー:抗原抗体結合物(免疫複合体)が血管壁などに付着して炎症を起こし、組織を傷害します。
 4.IV型アレルギー(遅延型アレルギー):主にTリンパ球によって引き起こされ、免疫グロブリンは関与しません。
-LESSON5 血小板と止血・輸血-
 血小板は止血作用をもち、20〜50万/mm3存在し、大きさは2〜5μmあります。

1.止血の種類
 ・一次止血:出血→局所血管収縮→血小板粘着・凝集→血小板血栓
  (出血から血小板血栓ができるまでを出血時間といい、正常値は1〜2分です)
 ・二次止血:血管外の血液→自然に血餅(けっぺい)形成(血液凝固)
  (血液凝固までの時間を凝固時間といい、5〜10分です。)

2.血液凝固因子(12種)
 ・I(フィブリノーゲン)、II(プロトロンビン)、III(トロンボプラスチン)、IV(Ca2+:カルシウムイオン)など。
 ・血友病は、血液凝固因子が先天的に欠如している病気です。
  (血友病Aは第VIII因子の欠如、血友病Bは第IX因子の欠如)

3.出血傾向の原因
 ・血管の異常:血管が収縮しない、血管壁の異常など
 ・血小板の異常:血小板が少ないなど
 ・血液凝固因子の欠損:凝固因子がない、少ないなど
 ・線溶系の亢進:繊維素溶解が亢進(凝固した血液がプラスミンによって溶解)

4.輸血:交差適合試験(クロスマッチ)によって試験されます。
 ・主試験:供血者の血球と受血者の血清の適合を検査します。
 ・副試験:供血者の血清と受血者の血球の適合を検査します。