授業ノート-病理学04
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-LESSON1 循環障害-
 循環障害は血液の循環障害と、リンパ液の循環障害に分けられます。それぞれ、解剖生理学の血液体液の項を参照してください。
 さらに血液の循環障害は、大循環系、小循環系、門脈系の循環障害に分けることができます。

●循環障害の分類
 1.局所的循環障害
  a.機能的循環障害
   ・血液:充血、うっ血、虚血
   ・体液:脳水腫、肺水腫
  b.器質的循環障害
   ・血栓、塞栓、梗塞、出血

 2.全身的循環障害
  a.機能的循環障害
   ・血圧:高血圧、低血圧
   ・血液:心不全、貧血、ショック
   ・体液:水腫、脱水症
   ・凝固:出血性素因、血栓症
  b.器質的循環障害
   ・動脈硬化
  c.側副循環障害
   ・門脈圧亢進症
-LESSON2 局所的循環障害-
●充血とうっ血
 ・充血:動脈が拡張して血液が溜まることです。炎症などによっておこります。
 ・うっ血:静脈が圧迫され、狭くなって血液が溜まることです。
 ・血行停止:高度なうっ血がおこり、血液の流れが停止した場合です。

●虚血
 局所に動脈血が足りなくなった状態を虚血(局所の貧血)といいます。

●血栓症と血栓
 心臓や血管内で血液の塊ができた状態をを血栓症といいます。塊は血栓と呼びます。
 1.血栓症の種類
  ・赤色血栓:赤血球、繊維素によって構成されます。
  ・白色血栓:血小板、繊維素によって構成されます。
  ・繊維素血栓:繊維素によって構成されます。全身性に見られます。
 2.血栓症の原因
  ・血管壁の変化:血管壁の内皮細胞が傷害され、血小板が付着、血液凝固を起こします。
  ・血流の変化:血流がゆっくり流れたり、停止したり、渦を巻く部位に血栓ができます。
  ・血液性状の変化:血液自体の凝固性が高まった場合です。

●塞栓症と塞栓
 血栓や異物が血流に乗って末梢の血管を詰まらせた状態を塞栓症といい、原因となった物質を塞栓と呼びます。
 1.血栓塞栓症
  ・静脈性塞栓症:下肢に起因したものが多く、肺で塞栓症を起こします。死亡例が多いです。
  ・動脈性塞栓症:心臓や大動脈の内膜の血栓が原因で、脳・心・腎・脾臓で起こります。
 2.空気・ガス塞栓症
  ・空気・ガス塞栓症は、静脈の損傷で大量の空気が入った場合に生じます。
  ・潜函病:潜水夫が水中と地上との外気圧の差によって塞栓症をおこします。
 3.細胞塞栓症
  ・骨髄、脂肪、腫瘍、細菌、カビ、寄生虫など。妊娠期では羊水塞栓症もおこります。

●梗塞
 小動脈が閉塞して、その支配領域が壊死することを梗塞といいます。
 1.貧血性梗塞(白色梗塞):灰白色に壊死します。心筋梗塞、脳梗塞、腎梗塞、脾梗塞など。
 2.出血性梗塞(赤色梗塞):出血を伴なう梗塞です。肺、腸管、卵巣に好発します。
  ・敗血症性梗塞:感染症塞栓による梗塞です。

●出血
 血液、特に赤血球が血管外に出ることを出血といいます。
 1.出血のおこるしくみ
  ・破綻性出血:血管が破れて起こる出血です。
  ・漏出性出血:血管壁が破れずに、毛細血管や静脈の周囲に赤血球が漏出することです。
 2.出血の種類
  ・血腫:出血した血液が周囲の組織を押しやって溜まったもの。
  ・紫斑:皮膚や粘膜にみられる出血です(内出血)。
  ・出血部位による呼び名:喀血(気管支・肺)、吐血(上部消化管)、下血(下部消化管)、卒中(臓器内)
 3.出血性素因(出血傾向)
  ・血小板の異常
  ・凝固因子の異常:血友病など。
  ・線維素溶解の亢進:播種性血管内凝固症候群(血栓でフィブリノーゲン・血小板を大量消費)
  ・血管壁の障害:壊血病など、血管透過性の異常です。
-LESSON3 全身的血管障害-
●高血圧と低血圧
 ・高血圧:体循環の動脈血圧が異常に高い状態です。
 ・低血圧:体循環の動脈血圧が異常に低い状態です。

●貧血
 全身的に動脈血が足りなくなった状態です。

●ショック
 低酸素・酸素欠乏状態でおこる、急性の循環障害をショックといいます。
 1.出血性ショック:大出血、内臓破裂などで、急激に大量の血液を失った場合です。
 2.細菌、毒素、エンドトキシンショック:感染病巣から細菌などが放出された場合です。
 3.心原性ショック:心筋梗塞など、心臓に原因がある場合です。
 4.アナフィラキシーショック:アレルギー機序による場合です。
 5.薬物中毒性ショック:薬物に起因する場合です。

●側副循環障害
 動脈・静脈の、いわゆるバイパス経路を側副循環といいます。動脈・静脈の血行が妨げられた場合、側副循環路の血圧は高くなります。
-LESSON4 リンパの循環障害-
●水腫(浮腫)
 水分が異常に増加した状態です。腹水(腹腔)、胸水(胸腔)、関節水腫(関節腔)など。

●脱水症
 体液が減少した状態です。嘔吐、下痢などの際に生じます。