授業ノート-病理学03
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-LESSON1 進行性病変-
 前回触れた退行性病変(細胞・組織の機能が低下した状態)に対して、今回は進行性病変を扱います。進行性病変とは、細胞・組織の物質代謝および機能が亢進した結果生じる変化のことです。

 進行性病変の分類は7つです。
1.肥大・増生
2.再生
3.化生
4.肉芽組織
5.創傷の治癒
6.異物の処理
7.移植
-LESSON2 (1)肥大・増生-
●肥大 ひだい:細胞数は変化せず、細胞の容積が増大することです。
 1.生理的肥大:スポーツマンの筋肉などです。
 2.病的肥大:以下のものがあります。
  ・作業性肥大:必要以上の負担がかかる場合(心筋肥大、高血圧など)
  ・代償性肥大:複数ある組織の1つが使えなくなり、もう1方に負担がかかること(腎臓など)
  ・内分泌性肥大:内分泌のバランスが崩れた影響で肥大(末端肥大症、前立腺肥大など)
  ・再生性肥大:組織の欠損を再生する場合(骨折の治療など)
  ・特発性肥大:原因不明

●増生 ぞうせい:細胞数は変化するが、細胞の容積は変化しない状態です。
-LESSON3 (2)再生-
●再生:生体の組織や細胞の欠損した部分が、同一の細胞・組織で修復されることです。
 1.生理的再生:生活過程で組織が老化・死滅し、新たな組織と交替することです(表皮など)。
 2.病的再生:病的に失われた部分が同一細胞によって新生されることです。
  ・完全再生:再生した跡が残らない再生です。
  ・不完全再生:再生した箇所を肉芽組織で埋め、瘢痕組織となって修復することです。
           傷害が起こる前にあった機能はなくなります。

●再生の一般原則
 1.系統発生的に、下等なほど強い
 2.個体発生的に、年齢が若いほど強い
 3.組織発生的に、未分化な組織ほど強い

●再生能力
 ・再生しない組織:心筋細胞、中枢神経細胞
 ・再生能力の弱い細胞:骨格筋、平滑筋、腺上皮、軟骨
 ・再生能力の強い細胞:結合組織、神経膠細胞、末梢神経細胞、血液細胞、表皮、粘膜上皮

●断端神経腫:組織が過剰再生し、増えたままになってしまうことです。
-LESSON4 (3)化生-
●化生 かせい:一定の発育・分化を果たして、固有の機能と形態を有する細胞・組織が、他の細胞・組織に変化する現象です。

(一例)
 ・腸上皮化生:胃炎のとき、胃上皮が杯細胞などに置き換わってしまう
 ・扁平上皮化生:慢性刺激やビタミンAで、不足線毛円柱上皮が扁平上皮に置き換わってしまう(上顎洞や気管支粘膜)
-LESSON5 (4)肉芽組織-
●肉芽組織 にくげそしき:組織の損傷を修復する役割です。

(肉芽組織の構成)
 ・毛細血管
 ・線維芽細胞
 ・結合組織線維
-LESSON6 (5)創傷の治癒-
●創傷(外傷による皮膚、粘膜、体内組織の損傷や欠損)に続いて起こる修復過程のことです。
 1.一次治癒:創面が密着していて、非感染性の切創です。
 2.二次治癒:創面が開放し、壊死や感染を伴ないます。
-LESSON7 (6)異物の処理-
●異物:組織が正常な機能を営むのに障害となるものです(外界から入った無生物、体内で形成された病的産物)。
 1.肉芽組織を伴なわない処理:簡単に吸収できる異物の場合
  ・吸収:血管やリンパ管を通して吸収
  ・貪食:好中球やマクロファージによって消化吸収
  ・融解:好中球由来の蛋白分解酵素によって融解、吸収
 2.肉芽組織を伴なう処理:大きな異物の場合
  ・器質化:周囲から徐々に異物を処理(線維性結合組織に置き換わる)
  ・被包 ひほう:大きい異物を肉芽組織で囲み、線維性被膜で包む
-LESSON8 (7)移植-
●移植:生体の一部の組織や臓器を離断し、同一個体の他の部位、もしくは他の個体内の一部に植えつける操作です。
 ・自家移植:提供者=宿主
 ・同種移植:同一種族内の個体
 ・異種移植:種属を異にする個体

●移植片の拒絶(免疫による拒絶:組織適合性抗原)
 ・宿主対移植片反応(HVG)
 ・移植片対宿主反応(GVH)