授業ノート-病理学02 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「まえいき」トップページ> 授業ノート> 病理学02 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
-LESSON1 代謝異常(代謝障害):変性- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
代謝異常(代謝障害)とは、代謝を営む細胞・組織が正常に働かなくなる状態のことです。代謝異常は、退行性病変(細胞・組織の機能が低下した状態)と、異常物質による変性(代謝関係物質の沈着)に分けられます。 まずは、退行性の病変からです。 ●変性 へんせい:生体とその構成要素が生理的活動を妨げられ、死に至る過程のことです。 変性の起こる原因は、以下のものです。 1.循環障害(低酸素状態、酸素欠乏) 2.病原体感染 3.外傷、熱、放射線 4.化学物質、薬剤 5.免疫異常(自己抗体を生じる) 6.遺伝子異常 7.栄養障害 8.老化 ●萎縮 いしゅく:細胞・組織の容積や数が減少した状態です。原因は5つあります。 1.加齢 2.栄養障害 3.無為(廃用性) 4.圧迫 5.神経性 ●壊死 えし(ネクローシス):細胞・組織の死をさします。 ・凝固壊死:凝固性が高まって壊死することです。結核による乾酪壊死(かんらくえし)など。 ・融解壊死:細胞が液化して壊死することです。 ・アポトーシス:遺伝子に支配され、プログラムされた細胞の死のことです。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
-LESSON2 異常物質の沈着の種類- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
異常物質の沈着には、下の図のようなものがあります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
-LESSON3 異常物質の沈着について- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
蛋白質変性(蛋白質の沈着)の具体的な疾患としては、 1.ネフローゼ症候群:腎糸球体に顆粒状物質が沈着して起こる疾患です(蛋白尿)。 2.尿毒症:BUN(血中尿素窒素の濃度)が高い場合で、腎不全につながります。 3.高アンモニア血症:肝性昏睡につながります。 4.痛風:プリン体の代謝異常です(血中尿酸が増加します)。 5.アミロイドーシス:全身にアミロイドが沈着します。原因不明の原発性、疾患による二次性があります。 6.糖原病:グリコーゲンの代謝異常です(先天性代謝異常の酸素欠損症の場合)。 一方、脂質変性は脂質が沈着することで、具体的な疾患は、 1.肥満 ・単純性肥満 ・症候性肥満:クッシング症、内分泌障害などがある場合です。 2.動脈硬化:粥状硬化症(じゅくじょうこうかしょう)などで、脂肪の沈着が血栓・動脈瘤になります。 3.脂肪肝:アルコール脂肪肝などがあります。 4.高脂血症:血中のコレステロール、中性脂肪が多くなります。 以下はその他の異常物質についてです。 ●石灰沈着:カルシウムの異常沈着には2つの様式があります。 ・異栄養性石灰沈着:動脈血供給不足による組織の壊死が起こった場合に起こります。 ・転移性石灰沈着:副甲状腺ホルモンの過剰分泌、癌による骨の破壊で血中に大量放出されます(高カルシウム血症)。 ●黄疸 おうだん:ビリルビンの血中量(正常は1.2mg/dl)が2mg/dlを越えて沈着します。 ・溶血性(肝前性)黄疸:溶血が亢進し、血中ビリルビンから生じたヘモジデリンが沈着します。 ・肝細胞性(肝性)黄疸:ウイルスや薬剤での肝細胞壊死・機能不全で、ビリルビンを生じます。 ・閉塞性(肝後性)黄疸:癌や結石による胆汁の通過障害で、血中のビリルビンが増加します。 ●糖尿病:インシュリン不足によって糖が代謝されずに起こります(高血糖状態)。I型はインシュリン依存型、II型はインシュリン非依存型です。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|