あらすじ

 

【ソーサリエ〜アガサとアガタと火の精霊】いままでのお話。


*第1章

  物心ついた時から、火の精霊に付かれているアガサ・ブラウン。
  火の精霊・フレイのおかげで、彼女は常に誰もから変人扱いされてしまうのであった。
  12歳の誕生日を迎えた夜、突然自宅が火事になり、死にかけてしまったアガサだが、今まで悪さばかりしてきた精霊に助けられた。

 「ねーさんは、火の精霊使い――ソーサリエなんだ」と、説明されてもよくわからないアガサ。
  つまるところ、ソーサリエは火の精霊を使いこなすべく、天空にある【ソーサリエの学校】にて勉強する義務があるという。
  12歳になったアガサは、フレイの予定通り入学するために学校へと連れてこられたのだ。
  がんばって、ソーサリエとして新しい人生を生き抜こう! と決心したアガサであった。
  が……。
  なんと、そこで聞かされたのは
 「あなたはソーサリエの血筋になく、すべては間違いです」
  という学長・マダム・フルールの宣告だった。
  ここで引き下がるわけには行かず!
  がんばるアガサは、アガタという名前の間違いを訂正することは出来なかったが、1ヵ月間の仮入学を認めさせた。

  仮入学を喜ぶアガサだったが……。どうやら、アガサには謎があるらしい。
  氷の王子と呼ばれる美少年ファビアンが、アガサの情報をマダム・フルールから盗み出そうとしたのだ。
 「この書類が盗まれてしまっていたら……あの子の正体を見抜けずに、簡単に入学させていたわよねぇ。
  としたら、ファビアンはあの子を入学させたかったのかしら? そもそも、あの二人、知り合いなのかしら?」

  はたして……。
  アガサは無事に入学できるのだろうか? フレイは消されてしまうのだろうか?
  そして、氷の王子とアガサの関係は? その恋の行方は?
  多くの疑問を抱えたまま、アガサ……もとい、アガタのとりあえず仮の学生生活が始まる――

*第2章

  ソーサリエの学校に仮入学したアガサは、内気なヤマトナデシコ・ルームメイトのイミコと出会う。
  そして、親切な少年・火のソーサリエ寮生徒総監のジャン- ルイとも知り合った。
  しかし、火のつけ方をどうにかマスターしなければならないアガサ。
  禁断の中央図書館へと行くために、ジャン- ルイからホール・パスを盗んだフレイと共に、忍びの者となる。
  図書館には属性の違うソーサリエのために、火のつけ方を易しく解説した書物があるというのだ。
  だが、そこで『火の用心』のために見回りしている水のソーサリエの力を受けたフレイは、大暴走。あたりを火の海としてしまう。
  なす術もなく焼け死ぬところだったアガサを救ったのは、水のソーサリエで氷の王子の異名を持つファビアンだった。
  しかも、彼はアガサの名前を『アガタ』ではなく『アガサ』と呼べる唯一の人だったのだ。
  しっかり舞い上がるアガサ。だが、フレイから「火と水のソーサリエはいっしょになれない」という宿命を聞かされて呆然とするのだった。

  ショックを受けるアガサの前に現れたのは、美味しそうなケーキたち。
  ケーキは太る! のフレイの忠告を無視してマカロンにかじりついたアガサは、防犯装置に引っかかってしまい、御用となってしまった。
  ジャン-ルイの必死の弁護にもかかかわらず、学生牢行きになってしまったアガサ。
  しかも、この学生牢は、底が時々抜けるという恐ろしい場所だった。
  見事、底を踏み抜いてしまったアガサは、真っ逆さまに地上に落下、哀れな一生を終えるはずだったが、運良く助かる。
  補修工事中の土のソーサリエ・イシャムと風のソーサリエ・アリに救われたのだ。

  バルバル王国出身の彼らは、なんと空飛ぶ絨毯に乗っていた。しかも、アリはバルバル国王だという。
  夢の国のようなアリの部屋でミント茶などを飲み、舞い上がるアガサ。
  しかも、彼は……
 「美しい人よ、私はバッラーの神の導くがまま、あなたに求婚いたします」
  人並みはずれた美的感覚で、アガサにプロポーズ?
  アガサ・ブラウン、十二歳。はたして、その結末は???

*第3章

  バルバルのアリに求婚されたアガサは、答えを保留するも、ちょっぴりお調子に乗って、ジャン- ルイやイミコの心配や心遣いを台無しに。
  ジャン- ルイとアリの険悪ムード・イミコの不機嫌に悩まされる。
  しかも、アリは既婚者で、なんと、アガサは第四夫人になってしまうのだ。
  怒ったアガサの鉄拳は、なぜか火を吹き、とんでもないことに。あたりを火の海にしてしまった。
  ジャン-ルイの魔法でことなきを得たが、自分の中に潜む危険性に驚くアガサ。
  そこで、険悪ムードも何もかも一新して、みんなでアガサを爆発しないように鍛えることになった。
  とはいえ、誰もが力足らず。ジャン-ルイは、アガサの力を抑えるために、水のソーサリエのファビアンに協力を依頼した。
  ところが、ファビアンは「アガサはアガタではない」と言って、協力を拒否。ハグレ地まで飛んで行った練習は、全員揃って寒中水泳という結果に終わった。
  だが、火をつけることに手応えを感じたアガサは、翌日、アリを誘って再度特訓を行う。
  水の中に入って、何度も練習した結果、ついにロウソクに火をつけることに成功した。
  ところが、あまり熱心にやってしまったため、アガサは溺れる。しかも、アリは寒中水泳がたたって倒れてしまった。
  万事休す! のアガサを救ったのは、なんとファビアンだった。
  病院で、第一発見者となったファビアンを怪しむジャン-ルイ。彼は、どうにかアガサの練習につきあうという約束をファビアンから取り付けるが、ファビアンの秘密までは探り切ることができなかった。
  ファビアンは、なんとフレイの力をアガサに合わせるため、フレイを切ってしまうことを提案。
  見事、そのアイデアはうまくいったが、イミコのおせっかいで水の泡に。
  しかも、なぜかファビアンを嫌うフレイは、切り刻まれることに腹を立て、ついにファビアンと決別してしまう。

  ファビアンの態度を怪しむジャン-ルイ。
  そして、ついにファビアンが動き出した。
  彼は、マダム・フルールの元へ行き、なんと、マダムの秘密をたてに、フレイを自分の物にする約束を取り付けたのだった。
 「アガサはソーサリエじゃない。フレイは僕の物だ」
  火水の精霊にかかわる『無のソーサリエ』への道。ファビアンの野心の果てにあるものは?
  その困った事態に、マダムができることと言えば……ミステリーの続きを読んで気を紛らわすことだけだった。