068 彼岸花



赤く、赤く、どこまでも続く彼岸花の群れ

子供のころ田んぼの畦道に咲いていた花

細い茎に大輪の花を咲かせていた。

秋のお彼岸に家族と出かけたお墓参り

墓地へ一歩はいると彼岸花の群生・・・

赤い絨毯を引きつめたように・・・





あのころの光景をふと思い出す・・・

今、僕は一人墓前にたたずむ。

父母や兄親子の眠るここに・・・

なかなか時間が取れず、訪れることが出来ないけど

時間の許す限りここにいてもいいかな?

ねぇ・・・兄さん・・・

無邪気に走り回っていた僕を追いかけてきたよね。

兄さんに追いかけてもらいたくてよく逃げ回っていたけど・・・

後ろから追いかけてくる兄さんの姿を見ては安心していたんだよ。

逆に、兄さんの姿が見えなくなるととっても不安になって

兄さんを探したこともあったね。

あのころのように彼岸花の群生は見られないけど・・・

それでも墓地のところどころに彼岸花の花が咲いている。

一人墓地の前に座り、

風に揺れる彼岸花を見つめている。

今年の秋ももうすぐ終わり。

今度くるときはユキも連れてこようか。

この花のこと、ユキはなんて思うだろう・・・

ゆらゆらと揺れる彼岸花を見て懐かしい子供のころを思い出す・・・



                                                2003/9/25

さとみ

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