015 兄と弟




古びた箱を見つけた・・・

中に入っているのは・・・





久しぶりの休日。

ユキは仕事でいない・・・

となると、家にいてもつまらないので

地下都市にあるマンションへ行ってみる。





両親と暮らすはずだった部屋。

目新しい箱は兄貴とサーシャの荷物。

その中に古ぼけた箱・・・

「すすむ」と書かれている箱を開けてみる。

中には小学校で作ったものや作文や夏休みの思い出と書かれた絵も入っていた。

画用紙に描かれていた絵は色もだいぶ落ちてしまっていた。

一枚一枚懐かしくなって見ていると、

あのころのことが思い出される。

友達と駆け回った森や、浜辺。

今では思い出の中の出来事でしかない・・・

傍らに入っていた作文を一つ広げてみる。

題名は


 『ぼくのにいさん』

                       いちねんにくみ   こだい すすむ

 ぼくのおにいさんは、ぼくと10さいもはなれています。

 だけど、ぼくといっしょにあそんでくれます。

 ときどき、からかわれてりもするけれど

 もりのなかでこんちゅうをみつけてくれたり、

 はまべでかいがらをひろってくれたり

 にいさんもべんきょうがいそがしいのに

 ぼくといっしょにあそんでくれます。

 そんなにいさんが、ぼくはだいすきです。



小学校に入ってすぐ書いたものだろう

全部ひらがなで書いてあるところが僕らしいけど・・・



パラパラとめくっていく・・・
一番下にあったものは、兄さんにあてた手紙の下書きのようだ。




『兄さん。

僕と父さんと母さんは地下都市にある

マンションへ引っ越します。

引越しの前に一度兄さんのところへ

行っていいですか?

都合のよい日を教えてください

                         進』


この手紙に返事をもらったから兄さんに会いに行ったんだけど・・・

こんな手紙出さなければよかったのかな?

そうすれば父さんや母さんと一緒にここで暮らせてのだろうに・・・

でも、そうするとユキとは会えなかったかもしれない・・・

ねぇ・・・兄さん。

ユキと会えなかった場合僕はどんな風になっていたんだろう・・・

生物学者にでもなっていたんだろうか?

本棚に飾ってあった兄さんの写真を手に取りつぶやいてみる。


いまさらそんなことを思ってみてもしょうがないけど・・・

いつか、地球に平和が訪れて

僕らのような宇宙戦士の活躍することがなくなったとき

もう一度、昔の夢を見るのもいいことだよね。

いつか、必ず・・・・

だから兄さん、
遠い宇宙の果てから僕が間違った道へ進まないように見守っていてくれるかな?

いつか会えるときまで・・・



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