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四月一日の心境を語る

ペンダントとリング<後編>

「如何したんですか?侑子さん・・・」

四月一日は突然店を出て行った侑子にそう言う。

「嫌なものが・・・こめられてるわ・・・」

侑子はそう言い、次にこう語り出す。

「クローバー・・・あの店に在った物は、全て四葉だった・・・四葉には『幸せ』と言う意味がこめられていると言う・・・その辺に生えているクローバーの中から、四葉を・・・『幸せ』を探すのは大変・・・それと同時に『不幸』を探すのも大変・・・違う?四月一日」

四月一日に問いかけ、話をいったん止める。

辺りは相変わらず薄暗いが、侑子が話している間はもっと暗く感じた。

「・・・俺には分かりませんが・・・そんな気がします・・・それがどうかしたんですか?」

「『不幸』・・・よ・・・あのアクセサリーにこめられたものは・・・」

侑子がそう言った後ひまわりは、自分のリングに目をやった。

「こめたって・・・どう言う事ですか!?」

何かに恐怖を感じたのか、ひまわりが声を上げた。其の声は当たり周辺に響き渡った。

「あの店員は『全て手作り』って言ってたでしょ、その作ってるときにこめたのよ・・・自分の今までの『不幸』を!」

「でもどうやって・・・」

「よくお菓子を作るときなんかに言うじゃない・・・『愛』をこめて作れって・・・それと同じよ・・・」

侑子は歩き出した。

「何処行くんですか!?」

四月一日がそう言うと侑子の動きが止まった。

「少し喉が渇いたわ・・・四月一日、何か奢りなさい」

(えーこんな時にー!)「あ・・・はい・・・」

四月一日の心の声が聞こえたのか、侑子がこう言った。

「どんな時でも喉を潤す!これ常識よ!」

侑子たちが出て行った後の店では――

(な・・・何・・・この悪寒・・・嫌な感じ・・・)

「は!?だっ誰!?」

店員は幻覚を見ていた。

(私の前に立っている人・・・誰・・・え・・・私!?)

体だけが現実に取り残された店員は、自分の前に立っている自分に話しかけてみる。

「貴方は・・・誰・・・?」

「私は貴方よ・・・」

「どうして・・・私がもう1人・・・?」

「貴方が私だから・・・」

「意味が分からない・・・」

「分からなくて良いの・・・私も分からないから・・・貴方も分からない・・・ただ其れだけの事・・・」

「貴方は・・・私・・・じゃ・・・私は・・・?」

「貴方は私・・・」

頭の中が混乱した店員はフッと目を覚まし我に返った。気づいたら、レジのテーブルの上に体を半分置いていた。

(私は・・・貴方・・・貴方は・・・私・・・)

ボソッとそう言い、苦笑する。

「はー!んさぁ、烏龍茶も飲んだし、店に戻って勝負よ!」

侑子は公園のベンチに座ったまま、右手に持っているお茶のペットボトルを潰しながら言った。

「勝負って・・・如何するつもりなんですかー!?」

四月一日はペットボトルの方には見向きもしなかった。それに変わり百目鬼は――

(あっ潰れた・・)

と心で思い、自分も潰してみる。百目鬼の場合アルミ缶だったので、直ぐに潰れた。

「侑子さん・・・私のリングとペンダントは・・・如何したら良いんですか?・・・このままだったら私・・・」

ひまわりは自分が心配になり、侑子に尋ねてみる。

「大丈夫よ・・・私が引き取るわ・・・」

場所は再び、店に移る――

(やっぱりきついわ・・・この空気・・・四月一日は何も感じない=あやかし・・・じゃない・・・って事だけしか分からない)

「ねぇ、百目鬼君・・・」

ひまわりが、隣に居た百目鬼の服を引張って言った。

「どうした?」

「あれ・・・死んでない?」

遠くから見ればただ寝ているようにしか見えなかった、しかし、ひまわりの言うとおり店員は死んでいた。

「えっ・・・嘘だろ・・・」

四月一日は、店員に駆け寄り、死を確かめる。

「あらあら・・・こんな所に『不幸』を溜めていたからね・・・」

侑子は肩にかかった髪の毛を後ろにはらいながら言う。

「えっ」

「こんな薄暗い所に『不幸』を溜めていたから、逝ってしまったのよ・・・」

〜Fin〜

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