Fanfic

雪よりも…氷よりも…

「――逃げろ!!」

クスィーのまわりは、まるで氷の結晶で包んでいたかのようだった。

あたりは、猛吹雪に包まれ、気温はマイナス50度まで達するほどだ。

「こんな奴なんて、こんな奴なんて・・・」

「ちきしょー、こんなに氷まみれになりやがって!!欠片どころかつららみてえだ」

「攻撃するにしても、氷で前が見えませんし・・・」

しかし、一人の男はあきらめてはいなかった。

「クスィー、お願いだから・・・ちゃんときいて」

まるでツンドラのように凍りつくクスィー。

それでも全身がボロボロに傷ついた体とともに1歩1歩踏み出すファイ。

今までの時間は消えることなんてないし、あの頃にも帰れない。

もう二度と自分を好きになってもらえなくなったとしても・・・

キミのことキライになることなんてできない。

「だまれだまれだまれーーーっ!!」

「お願い、俺の話をきいて!!」

・・・とその瞬間。

彼女に包んでいた小さな氷の結晶が一気に弱まった。

「・・・ここは?」

ファイは、灰色の空間に立っていた。

崩れ去った家に、崩れ去った木。人の気配も全くない。

彼はただまっすぐに歩き続けた。

するとその向こうにひとつの大きな木があった。

そこにいる一人の幼き少女。

どうやら木の大きな穴の中で泣いているようだ。

「ふぇっ、ふぇっ・・・」

「なぜ貴方は泣いているのですか?」

「寂しいの・・・ずっと一人だったから」

「一人ぼっち・・・?」

両親や親戚を幼き頃に亡くした彼女。

おまけに自分は病弱で外に出ることすらできぬ状態でただ一人屋敷にこもる日々。そんな中、頼ることができたのはただ一人・・・。

「ごめんね・・・ずっと一人ぼっちにしてしまって」

「え・・・?」

「貴方は・・・クスィーですね?」

「どうして・・・」

「分かるよ。生まれたときからずっと・・・俺たち一緒だったんだから」

たった一人木の穴に座っていた彼女の正体。

それは彼女の心そのものだった・・・。

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