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四神の封印と四神の贄巫女

同時刻〜ペンギン公園〜

「はじめまして。」

にっこりと自分たちに微笑んでくる少女に、桜達は戸惑う。

「挨拶も出来ないのか?無愛想な奴らめ。」

少女の隣に立つ少年も、桜達を見下ろし皮肉げに笑みを浮かべる。

「ココにいるってことは、やっぱり君たちも『時空神の騎士』なのかなぁ?」

杖を握る手の力は弱めず、警戒を解くことなく問いかけた。

「はいそうです。武蔵野第一中学3年。秦崎鈴(しんざきすず)です。」

「俺は武蔵野第四中学の3年の松葉海斗(まつばかいと)。」

学校まで別に知りたくはないとケロちゃんは突っ込みたかったが、一応シリアスな雰囲気なので止めることにした。

「中学生・・・子供じゃないか。」

確かに今彼らがいった学校の制服を身に纏う2人に驚きを隠せない。

「子供ってお前らと一歳しか違わねぇよ!」

子供と言われたことに怒った海斗は背中に背負っていた剣を取り出し桜達に向けた。

「分かってるだろうが、俺らはおまえたちを倒しに来たんだ。」

「倒しに来たって・・・君たちがどれだけ強いか知らないけど、数ではこっちが勝ってるんだよ?」

ファイが言うとおり、『守護者』であるファイはもちろん、小狼もケロちゃんも『贄巫女』である桜さえも立派な戦闘員となる。

海斗はそれを聞くとニィと無邪気な笑みを浮かべた。

「ばっかだなぁ〜そんなの知ってる。だから鈴が来たんだ。」

海斗は自信たっぷりに言う。

「どういうこと?」

桜や他の者達も意味を理解できない。目の前にいる少女はそれほど力を持っているように見えない。

「意味分かんねぇって顔だな?まぁ戦えば分かるさ。」

海斗は自分たちが立っていたペンギン大王の滑り台から飛び降りると、先ほどまでは感じられなかった殺気を桜達に向けた。

そして鈴は、足下に置いていた学生鞄に手を伸ばした。

「あれは・・・人形?」

鈴が鞄から出したのは、3体の人形だった。見た感じはリカちゃん人形にも似ていた。

「お人形遊びしてる場合やないで!!」

ケロちゃんは思わず突っ込んでしまう。

「そうですか?折角だし遊びましょうよ。この子達は強いですよ?」

「強い?」

人形がどう強いのか理解できない。あれらはどう見てもただの人形だった。

「いま見せてあげますよ。『意志なきモノよ 我が魔力を捧げよう 意志あるモノとなり 命の律動を響かせ』」

鈴は持っている3体の人形に息を吹きかける。

そして、人形達を自分の目の前に置くと、一歩後ずさった。

すると、今まで閉じられていた人形達の目はゆっくりと開き、小さな体は少しずつ大きく成長する。

「何だって!!」

小狼は驚きの声を上げる。桜にいたっては声も出ないほどだ。

普通の人間と同じ大きさになった人形達からは、普通の人間から感じる律動があった。

「紹介します。左から、ヒカル、鈴鹿そしてウィザードです。」

鈴に紹介されると、3体・・・いや、3人は小さく会釈する。

「『時空神の騎士』が開発した、人形(ドール)です。人間で心臓と呼ばれる部分に、特別な魔法で作られた『核』があり、それに魔力を吹き込むことによって、彼らは動くことが出来ます。」

鈴は懇切丁寧に説明する。

秘密主義な『時空神の騎士』にしては珍しいタイプの人間だ。

「鈴は『時空神の騎士』の中で唯一人形達を操れる『人形使い(ドールマスター)』なんだぜ。」

なぜだか海斗が自信たっぷりに言う。

「これで人数の不利は無くなりましたね?それでは、戦いを始めましょうか?」

鈴はにっこりと微笑むと、人形達をファイ達に嗾けた。

それに続くように、海斗も剣を背中にかけていた剣を構え、突っ込んできた。

「『風よ 戒めの鎖となれ 《風(ウィンディ)》』」

一直線に桜に向かってきたヒカルを迎え撃つように、桜は《風》のカードを発動させる。

しかし、スピードが速いヒカルは、風の速さをもってしても捕らえることは出来ない。

自分を捕らえようとする《風》を避けると、ヒカルは桜に蹴りかかった。

「《盾(シールド)》」

ヒカルの足は、桜に当たる寸前で、《盾》によって防がれる。

「《剣(ソード)》」

杖を《剣》に変えると同時に、桜は《盾》の防御を解除しヒカルに斬りかかる。

ヒカルは後ろに飛び退き難なく避けると、飛び退いた先にあった木をクッションに、先ほどより速いスピードで桜に攻撃を仕掛けた。

「きゃ!!」

とっさに剣で防御したが、完全ではなく、ヒカルの攻撃の衝撃で、桜は吹っ飛んだ。

「桜!」

本来の姿に戻ったケルベロスは、倒れた桜に近づこうとする。しかし、足下に飛んできた手裏剣がそれを許さなかった。

「邪魔すんな!」

木の上から自分を狙う人形をにらみ付ける。ケロちゃんの相手をしているのはくノ一の格好をした鈴鹿だ。

ヒカルに負けず劣らずスピードの速い鈴鹿は、一瞬にしてケルベロスとの距離を詰める。

「っくそ!!」

ケルベロスは一歩飛び退くと、口から炎をはき出した。

鈴鹿は小さな動作でそれを右に避けると、まだ炎をはき出しているケルベロスの頬に、きつい蹴りを入れた。

「ぐあぁぁ」

ケルベロスは大きく身じろぐと、鈴鹿から逃げるように空中へと飛んだ。

さすがの鈴鹿も空は飛べず、地上からケルベロスを見上げた。

「人形ごときに空は飛べんってことか・・・こら好都合や。」

ケルベロスは、滑り台の上から動かず、人形達に指示を送っている鈴に目をむける。

(そらの上からやったら、人形ども邪魔されずに親玉であるあの女をやれる!)

ケルベロスはそう考え、鈴の方に飛んでいくが、それは甘い考えだったようだ。

「戻って、鈴鹿。・・・『意志なきモノよ 我の魔力を捧げよう 意志あるモノとなり 命の律動を響かせ』・・・行けアテナ。」

新しい人形であるアテナは、白い翼を羽ばたかせ、空中からこちらに向かうケルベロスに向かっていった。

「アテナ!『魂の光(ライトオブソウル)』」

鈴に命じられ、アテナは手の中に光りをためる。

「やらせるか!!」

ケルベロスはアテナに向かって火を吐き出した。

ケルベロスが炎をはき出すと同時に、アテナも光りを放つ。2人の攻撃は空中でぶつかり合い、激しい轟音を轟かすと、2人の中央で爆発した。

「っち!これじゃ目がみえん!」

爆発より生じた煙が辺りに立ちこめる。いくら嗅覚が強く気配を感じとるのが得意なケルベロスとはいえ、人形達は臭いはおろか気配すらない。

「しかし目が見えんのはお互い様や!」

煙で見えないが、鈴がかすかに笑ったように感じた。

その刹那、ケルベロスの視界に飛び込んできたのは、アテナだった。

「な!!ぐぁ!」

とっさに避けようとしたが、反応が追いつかない。ケルベロスはアテナの攻撃を少しの防御をすることなく受けてしまった。

空を飛んでいたケルベロスは、地面に叩きつけられる。

「行け!鈴鹿。」

アテネは空中戦専門なのか、ケルベロスが地上に戻ると、アテナに変わり鈴鹿が攻撃を仕掛けてくる。

「ケルベロス!」

小狼は倒れたまま攻撃を防げないケルベロスを庇おうとするが、自分に攻撃を仕掛けてくる海斗のせいで、近づくことが出来ない。

「よそ見してて・・・いいのかよぉ!」

身の丈ほどある大剣を軽々と持ち上げ、勢いよく振り下ろす。

「っく!」

しっかりと剣で防御はするが、あまりに重い攻撃に、剣を握る腕はしびれる。

「仲間が大事なのも分かるけど、よそ見してちゃ俺には勝てないぜ?」

そう言いながらも、海斗は攻撃の手を休めることはない。

「分かってる!『稲妻招来』」

小狼は懐から札を取り出すと、そう叫んだ。すると、海斗の頭上にはいままで存在しなかった雷雲が発生し、海斗めがけて雷が落ちた。

「うわっと!ほわぁ!」

数発の雷を、飛び退き避ける。小狼は自分から離れていく海斗を確認すると、鈴鹿から一方的な攻撃を受けている、ケルベロスを助けるため側に向かった。

小狼はケルベロスに駆け寄ろうとしたが、その途中で横から感じた気配に、飛び退いた。

小狼が感じた気配は、鈴が新しくだした人形だった。猫の耳を生やした、中国服にも似た服をきた人形。

「猫(マオ)!彼に鈴鹿の邪魔をさせちゃ駄目!海斗もはやく戻って。」

ペンギン大王の上から動かず、そこから戦闘の指示を送る。

「・・・うぅ。」

鈴は小さくうめいた。

「鈴!」

海斗は鈴に駆け寄ろうとしたが、鈴の呻きが何からくるものなのかわかり、猫と交戦している小狼に再び攻撃を仕掛けた。

「鈴!小狼はおれがやるから、猫をもどせ!」

海斗が叫ぶと、鈴は小さく頷き猫をもとの人形へと戻した。

(あう〜やっぱり複数体同時戦闘は負担が大きい・・・はやく決着をつけないと。)

今、鈴が操っているのは、ヒカル・鈴鹿・ウィザードの3体。自分にそれほどの負担をかけないのはこの数が限界だ。4体以上だと体と魔力が悲鳴を上げる。

「仲間が心配なのはお前も同じじゃないか!」

「悪いか・・・よぉ!」

海斗は先ほどよりも激しく攻撃を仕掛ける。小狼に札を取り出させる暇を与えないほどに。

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