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四神の封印と四神の贄巫女

「それではありがとうございました。お気をつけて。」

「ああ。」

黒鋼は知世を家まで送ると、知世が家の中に入ったのを確認し、いつものように家に護りのまじないをかけ帰っていった。

「あら知世、お帰りなさい。」

知世が家のリビングに入ると、いつもこの時間はほとんど家にいない母・園美の姿があった。

「お母様・・・こんなにはやくに帰ってくるとは珍しいですわね。」

知世は手に持っている鞄を近くのメイドに渡すと、母が座っている向かいのソファーに座った。

「ええ・・・ちょっとした息抜きよ。ライバル社の『時空神の騎士』が出した新しい電子機器とうちの会社が出した電子機器の売り上げが抜きつ抜かれつで、一瞬たりとも気が抜けないわ・・・明日から新しいCMの撮影の視察で大阪まで出かけるの、。だから今日はもう仕事を切り上げて休んでるのよ。」

今までは母の会社のライバルというだけだった『時空神の騎士』。今はそれだけではなく、自分自身の敵として意識しなくてはいけない。

「大変ですわね。」

その言葉は母と自分に向けた言葉。

「一週間ほど大阪にいるわ。悪いけどお留守番をよろしくね。」

「はい。」

知世は返事を返すと、宿題があるからと園美に言い自分の部屋へ向かった。

知世は部屋にはいるとパソコンを起動させる。

ログインしインターネットに接続すると『時空神の騎士』で検索した。

大手電子会社なのだから、パソコンを通じて多くの情報を得ることができる。

しかし、その中には当然だが裏の顔の情報のヒントすら落ちていない。

「黒鋼さんは裏で暗殺業を営んでいると言っておられましたが、やはりそう簡単にそのような情報は得られませんわね。」

少しでも彼らと戦うための情報が欲しかったが、無駄の努力に終わってしまった。

「守られるだけは嫌です・・・私も自分の身くらい自分で守れるようにならなくては。」

知世は先ほど黒鋼からもらった紅い勾玉を見つめた。

〜黒鋼・ファイの家〜

「おっかえり〜」

黒鋼が玄関の扉を開くと、中から明るいファイの声が出迎えた。

「大道寺さんはなかなかの行動派だね〜ボクビックリだよ!」

まるで黒鋼が何をしてきたか知っているような口ぶりだ。

「いつから覗いてた・・・?」

黒鋼が怒ったように瞳を煌めかせるのを見て、ファイは少し反省したように肩をすくめる。

「でも最後までは覗いてないよ?喫茶店のなかでの会話だけだよ。」

チッと黒鋼は舌打ちをする。重要なところは覗いていない・・・説明が面倒だと思ったからだ。

「有間紫呉に会った・・・」

「え!?」

ファイは驚いたように、リビングに進めていた足を止めて振り返る。

「道を尋ねられた・・・まぁそれが本当の目的って訳じゃねぇだろうがな・・・」

黒鋼は思い出して忌々しげに呟く。

「『時空神の騎士』は思ったより積極的に動くね。」

風や『玄武の守護者』達に聞いた話でも、ココまで積極的に動く『時空神の騎士』はいなかった。それだけ、今回の再封印を阻止したいのだろうか・・・

「ますます再封印を早く済まさなきゃね。」

「そうだな。」

廊下に止まっていた足を進め、リビングへと入る。

「!!」

2人はおかしな気配を感じ、気を巡らす。

「ベランダだ!」

黒鋼が叫ぶのと同時にファイはしまっていたカーテンと窓を開けベランダへとでる。

「・・・誰もいない。」

先ほどまでそこに存在していた気配も消えている。

「逃げたか・・・『時空神の騎士』の奴らか?」

「そうだろうね。家にまで来るなんて・・・なめられたもんだね。」

ファイは右手を強く握りしめ怒りを抑えた。

ファイ達が住んでいるマンションの屋上で月明かりに照らされているのは1人の少女と1人の少年。

「良い反応をするね。あんなに早く気づかれるなんて・・・」

「さすがは『守護者』さまさまだな〜戦うのが楽しみだぜ!」

少年はいつか剣を交えるであろう強敵に喜んだ。

「おはようございますわ。」

知世は迎えに来た桜と小狼と共に学校へと向かう。

黒鋼やファイは、桜は小狼と、知世は桜と小狼といるときは行動を共にしない時がある。

敵が来ても自分たちが向かうまでの時間稼ぎは桜達だけで十分出来るだろうからだ。

時間稼ぎだけでなく、敵を倒してしまうことも可能だろう。

昨日、知世と黒鋼が出会った『時空神の騎士』の一員である紫呉のことを桜達に話した。

桜達の方には接触がなかったらしく、そのことを聞いてとても驚いている。

「大丈夫だったの、知世ちゃん?」

桜は心配そうに知世の顔を覗き込む。

「大丈夫ですわ。接触と言っても道を尋ねられただけですから・・・黒鋼さんは私達に対する挑発だろうとも仰っていましたわ。」

「挑発・・・それにしても随分と大胆なことをする。」

もっともだ、と桜と知世も頷く。

「とうとう『時空神の騎士』は動き出したんだね・・・私も気を引き締めなくちゃ!」

桜は両手をぐっと握りしめ、『契約の紋』のある手の甲を見つめた。

「知世ちゃんも一緒に頑張ろうね!」

「はい。」

知世はにっこりと微笑むと桜の手を握った。

「おはよう〜」

教室に入るとすぐにファイが挨拶をかけてきた。

桜達はファイと黒鋼がいる机に近づくと、近くの椅子に腰を下ろした。

「昨日のことは大道寺さんに聞いた?」

ファイは桜達に確認する。昨日のこととは、紫呉の事だ。

「うん。聞いたよ。」

「じゃあ、もう一つ報告だよ。昨日俺たちの家に『時空神の騎士』が来た。・・・まぁ来たっていってもベランダから気配が感じただけだけどね。」

「多分。有間紫呉じゃねぇな。気配が奴とは違うかった。」

「『時空神の騎士』は主に2人1組で行動するらしいよ。有間紫呉のパートナーは多分、水戸絵里花だろう。・・・この人だよ。」

まだその姿を知らない桜と小狼に紫呉と絵里花の写真を見せる。

「ふぁ〜綺麗な人達だね。」

「容姿に油断しちゃだめだよ。詳しいことは分からないけど、彼らも『時空神の騎士』の一員だ。戦闘能力は高いはずだよ。だから、彼らを見つけたら注意してね。」

桜、小狼、知世の3人はコクリと頷いた。

1時間目の国語の授業が終わると、黒鋼とファイは風に呼び出された。

「少し用事があります。白鷺さんとフローライトさんは国語科準備室まで来て下さいな。」

ファイと黒鋼は一瞬顔を見合わせたが、すぐに席を立ってフウの後を追った。

「何のようだ?」

国語科準備室に入ると黒鋼は後ろ手で扉を閉める。

中に人がいないのはすでに風が確認している。

「昨日、有間さんと会ったそうですわね?」

やっぱりそのことかと黒鋼は納得した。まだ風には言っていなかったが、風の情報網はどこにしかれているか分からない。

特に隠しもしなかったので、風にはすぐばれてしまうと思っていた。

「あいつが接触してきたんだ。一体何を考えてんだか。」

「そうですか。」

風は考え込むような仕草で椅子に腰かける。

「彼はつかみ所のない性格をしてらっしゃいますからね。」

それは風にだけには言われたくはないだろう。と2人は心の中で呟いたが、地雷を踏みたくはなかったので口には出さない。

「何を考えていますの?」

「別に。」「何にも。」

2人の心の中を読んだような台詞に、首を振って否定する。

「何はともあれこちらも急いで行動を起こさなくては。しかし、再封印の吉日はまでまだ日がありますわ。どうしますの?」

『四神の封印』の再封印に必要な力は、月の魔力に大きく左右される。

再封印の吉日と呼ばれる日は、黒鋼が行う『青龍の封印』の再封印では一週間後の満月の晩。ファイに至ってはさらに後となる。

「とりあえず一度、封印がある場所へ連れて行ってみようと思います。」

「それがよいかもしれませんわね。」

何も知らないままでは『贄巫女』が不安がるだろう。

深い事は教えられないが、せめて封印のある場所くらいは知っていた方が良いだろう。

「今日行きますの?」

2人は頷く。

「今晩彼女たちが友枝町に到着しますわ。私は彼女たちを迎えに行かなくてはいけませんから、貴方達についてはいけませんから、十分に注意なさって下さいな。」

風の忠告を2人は素直に聞き入れた。

「私達を封印へ?」

放課後。黒鋼達は知世達へ封印がある場所へ行くことを提案した。

「ああ。今日行っても何も出来ないが、場所くらい知っておいた方がいいだろう。」

それもそうだな。と桜達は納得する。

「封印ってどこにあるの?」

桜は当然の疑問を口にする。何故今まで気にならなかったのか不思議なほど、当然な質問を。

「『青龍の封印は』月峰神社だ。」

「『朱雀の封印は』ペンギン大王の滑り台がある、ペンギン公園だよ。」

桜達はそれを聞いて驚きを隠せない。

いつも自分たちが普通に行く場所。そんな所に封印が存在するのだ。

「確かに月峰神社は不思議な魔力があるが、封印らしきものなんて存在しないぞ?ペンギン公園もだ。」

小狼の当然の疑問に、桜達は同意するように首を縦に振る。

「確かに今はあそこには封印らしきものは何にもないね。でも、それでいいんだよ。『四神の封印』とはその場所自体を指すものなんだ。昔はちゃんとした祭壇とかもあったんだけど、時代と共にそれは失われてしまった。」

「祭壇・・・。」

ファイの説明に、知世はあることを思い出す。

祭壇寝かされた、自分と瓜二つの少女。

知世が前に見た過去の夢。今思えば、あれが『青龍の封印』だったのだろう。夢の中で黒鋼と呼ばれた青年もそれを思わせるような台詞を言っていたし。

「知世ちゃん?どうしたの?」

急に黙り込んだ知世を桜は心配そうに覗き込んだ。

「何でもありませんわ。」

桜の心配を振り払うかのように、知世は笑顔で首を横に振って見せた。

「何はともあれ、今日は君たちを封印の場所へ連れて行くよ。大道寺さんは黒鋼と月峰神社へ。桜ちゃん達は俺とペンギン公園へ。」

「あの・・・ケロちゃんも一緒でいい?封印に関して動くときは、呼べって言われてたの。」

「もちろんかまわないよ。」

万一の時彼は戦力になるからね。とファイは付け加えた。

桜が電話をしてから数十分後。ケロちゃんは桜達の待つ友枝高校まで飛んできた。

そして、それぞれの封印へと向かって、5人とケロちゃんは歩き出した。

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