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proud of you

エピローグ

「I love youとは少し・・・違う。でも、I like youよりは強い気持ち」

総てをわかりあう事は出来ないけれど、総てを感じあえる事が出来るだろうという相手に対しての想い。恋とか愛などと呼ばれるものとは全然異質のもの。

「proud of you」

柔らかい微笑みを浮かべながら雪兎が言った。僕は桃矢みたいな相棒に会えて良かったと思ってる、と言う雪兎に桃矢も応える。

「proud of me」

そう。俺の相棒・俺の片割れ・俺の誇り。それでいい。

「じゃ、乾杯といこうか」

そう言って雪兎はどこからか、一升瓶(いっしょうびん)を取り出した。何処から出したんだ・・・?視線が瓶に釘付けになった桃矢の顔がヒクッと強張った。

「ちょっと待て、ゆき・・・」

それはっ! それはひょっとしなくても、俺のおとっときの酒じゃないのか? 幻の名酒といわれているあの・・・。

「いやいやいや。こんな所であの〝越の寒梅(かんばい)〟に出会えるとはっ!」

一升瓶を脂下(やにさ)がっている雪兎から、桃矢は瓶をぶん取った。

「駄目っ!」

「何で、折角五年ぶりに会えたんだし、乾杯しようよ、乾杯! 桃矢」

桃矢の腕から瓶を取り戻す雪兎。

「だってそれ、まだ封切ってないじゃないかっ!」

懸命に反論する桃矢。だがそんなもので応えるような雪兎ではない。にんまり笑って、封に指をかける。あああっ! とすがるような目で訴える桃矢に雪兎は無慈悲な一言を投げた。悪いね。相棒。開けるね。

「やっ・・・やめろよ・・・」

桃矢の声はちょっと情けない響きを帯びている。雪兎の指が封にめり込んだ。雪兎の声と、封の敗れる音が桃矢を襲う。ふふっ、という笑顔と目の前で枡(ます)に注がれていく酒。

やめてなんかやらない、という雪兎の言葉が桃矢の頭の中を駆け回る。"だめだよ、桃矢"。実際に雪兎が言ったのはほんの一言だったのだが・・・。そう、たったこれだけの言葉。

『駄目』

<完>

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