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proud of you

真昼のきつい日差しにもめげず、青年はずっと立っていた。絶えることのない海からの風があるとはいえ、この地方特有の湿度(しつど)のせいで体感温度(たいかんおんど)はかなり高い。

「どうしようかな」

先刻(せんこく)から何千何百と繰り返してきた問いをもう一度繰り返す。見付けるのに五年もかかった――――五年前、ズタズタになった――――精神(こころ)も身体(からだ)も――――自分を何もかも閉ざして出て行った相棒を探す為に、後を追うようにして軍を脱(ぬ)けた。それがいいことなのか悪いことなのかは分からないが、今自分はこうして此処(ここ)に立っている。

「どうしようかな」

探して見付かったはいいが、その後の事は全然考えていなかった。勢いだけで此処まできてしまったけれど、ひょっとして自分が今此処で彼の前に姿を現したらかれにとって物凄(ものすご)くダメージを与えるんじゃないだろうか。あああ、どうしよう・・・。でもそうしたら此処まで彼を探してきた自分の五年間はどうなるのだ?

「どうしようかな」

堂々巡(どうどうめぐ)りである。日に焼けてバサバサになった金の髪を、青年はがしゃがしゃとかきまわした。ややあって、彼は意を決したように[木之本煎餅店]と看板のかかった店の紺色の暖簾(のれん)に手を伸ばした。

<5に続く>

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