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小狼・ピアニスト

・・・ここに、希望を持ちかけた少年が居る。

希望と言う名の願いに沿って。

一瞬の油断も許されない・・・大ホール・・・。

〜小狼・ピアニスト〜

第四章

『ノータイトル』

おれは・・・・どうしたいんだろう?

自分でも・・・良くわからない・・・・。

「・・・じゃあ、本当はペナルティーのところだけど、ヴァイオリンさんに免じて教えてあげようじゃないの。」

微笑んで、ユウコが言った。

そして、その言葉を聴いたヴァイオリン演奏者が顔を赤面させた。・・・ヴァイオリンは、さっきまで今にも泣きそうな顔をして、不安におれを見ていた。

・・・それに、指揮者も気付いたのだろう。

「あなたはね、まだ記憶が完全じゃないの。その記憶は無くてもきっと大丈夫よ。なくした物なんて、忘れられないのだから。」

おかしい・・・。指揮者は、さっきまでおれを見ながら言ってたのに、最後は自分に言い聞かせているよう・・・。

「心を亡くして、忘れる。そういう意味を、考えて。・・・貴方のやりたいことは、見つかるかしら?」

・・・ここから、居なくなりたい・・・。

こんな静けさしかないホールなんて、興味もない。

・・・おれはいつごろからここに居たんだろう?

「・・・見つかったようね・・・・。」

ユウコが、フワリと中に浮く・・・・。

その足元には、魔方陣。

「・・・対価は貴方の指に巻きついた、その糸。」

・・・糸?  おれは必死に自分の指を見たけれど、糸なんて無い。次に、触ってみる。

・・・空気のような手ごたえしか、無い。

でも・・・ユウコの言葉には つい、反応してしまう。勝手に指が動く。おれにはそんな現象があったから・・・・。

「・・・貴方の糸は、すぐそこに。貴方の糸は、目の前に。さぁ、気付ける筈よ。」

・・・・そうか・・・そうだったのか・・・。

おれは、そっと・・・鍵盤から指を離した・・・。

でも、おれ一人じゃこの糸は、切れない・・・。

いや、おれだからこそ、この糸は・・・切れない。

誰か・・・このおれに巻きついた糸を・・・!

・・・・その時、静かに立ち上がった者が居た。

〜第四章・完〜

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